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趣味作品

VRMMORPG『soul』の 世界ランキング1位プレイヤー~異世界ルールの裏をつく~【短編】

作者: 異世界用語

 「終わった……」

 

 VRMMORPG soulソウルのラストバトルが終わったのだ。

 

 ラストバトル。それは、soulソウルにおいてのラスボス戦である。

 ラスボスは、一体しかいない。

 プレイヤーの誰が、ラスボスを倒し、そして新たなラスボスとして君臨するのか。

 それを、決めるバトルが今、終わったのだ。

 

 俺は、油断した。

 終わったからと、油断した。

 バカだった、終わったからといってラスボスの間にはプレイヤーはまだ残っている。

 ラスボスを倒した俺は、今。新たなラスボスとして君臨した。

 

 だからこそ、プレイヤーは俺を狙う。

 無論。

 世界ランキング一位の俺に、一対一で勝てるわけがない。

 

 18人だ。18人。世界ランキング2位~19位のプレイヤー。全員で、俺を狙った。

 油断した、僅か1秒。その時点で俺の負けは確定していた。

 

 「しまっ――」

 

 設定画面を開き、ログアウトボタンを押す。

 無論。遅かった。 

 

 「……」

 

 噓だ……ろ。

 課金がない、このゲームにおいて1万時間プレイした俺の分身プレイヤーデータは今。消えた。

 このゲームではHPが0になると、プレイヤーデータが消える。その代わり、どこにいても転移出来るし、ログアウトも出来る。

 そんな、ゲームで俺の一万時間は無に帰したのだ。しかし、約一週間の間だけだ。

 だが、その一週間というまだ希望があった現状をさらに追い詰める事態が起きる。

 

 俺のメインアカウント〔箔夜はくや〕のクラック、そしてサブアカウント〔ソウルイーター〕のデータハッキングだ。

 

 「……………は、はは。ハハハ」

 

 諦めた。

 半笑いだ。絶望すると、半笑いするというのは本当だったようだ。

 俺は、その勢いのままベランダに出た。

 気分を休めようと、風にあたりにいった。

 

 その日は、台風だと、いうのに。

 



 「………はっ!」

 

 目が覚めると、俺は床に寝転んでいた。ベランダに出るための扉を開けたままびしょ濡れの体で。

 

 そうか、ベランダに出た後台風の風で飛ばされてきた看板に頭をやられたのか……

 

 状況を確認すると、soulソウルの最新情報を発信しているネット掲示板に目をやる。

 

 そこには、


 ソウル最新スレッド102回目【クラック】

 

 ~~~~~~~

 1002.〔神速〕34

 世界一が、クラックは草

 

 1003.〔デューク〕

 サブ垢も、クラックって話し聞いた

 

 1004.〔公式〕

 正確には、プレイヤーデータハッキングです

 

 1005.〔トリィ〕

 てか、最新情報がクラック事件て損したわ

 

 ~~~~~~~~

 

 3000.〔ソウルイーター〕99

 どうも、世界一のサブ垢ですwww

 

 3001.〔ネイル〕

>>3000 おいおい、データハッキングしたご本人の登場だぞww


 3002.〔ロレンツォ〕26

 通報した方が、良くない?

 

 3003.〔愛の罪人〕4

 >>3002 そんなこと言って大丈夫?世界ランキング26位さん?

 

 3004.名無しプレイヤー

 相当、えぐいな。3303お前、4位だろ?脅しはヤバい。

  

 ~~~~~~~~~

 

 ・・・・・

 ・・・ 

 ・・

 ・

 

 11100074.〔†猫猫天使†〕26

 話題が、クラックからハッキングになってんの笑

 

 ~~~~~~~~~~

 

 23440033.〔シンオウ〕

 めっちゃ続いてんじゃん、

 

 23440034.〔変体A〕86

 久しぶりだな、ここまで長いの。

 

 ~~~~~~~~~~

 30000000.〔神〕

 見てるんだろう?内藤 蓮夜

 

 -----------

 

 「なっ。なんで、俺の名前知ってるんだ!?」


 最後のコメントを、読み終えるころには1時間は、経っていた。一万コメントごとに、ページを飛ぶ事が出来るがそれでもコメントの数は3000ということになる。飛ばし飛ばし読んで1時間なら早い方だろう。

 

 問題は、プレイヤー名〔神〕だ。

 俺の本名を、内藤 蓮夜を知っている。これは異常なことだ。

 ハッキングなどをしたとしても、俺のアカウントの設定(本名設定)は内藤 箔夜なのだ。

 運営には、一応兄のデータだったと説明しているので問題っちゃ問題だが大丈夫だろう。

 

 そんな、事を考えていた時。

 

 

 30000001.〔神〕errorエラー

 安心しろ。君はもう、この世界の住人じゃない――――errorエラー

 

 

 -----------

 

 「は?どういうこ――」

 

 全て言い終える前に俺の意識は、消えた。





 「――どこだ?ここ?」

 

 目が覚めると、森の中にいた。

 

 (マジで、どこだ?)

 

 soulソウルの世界でも、似たような森があったがログインをした記憶はない。

 ゲームキャラクターも、作っていないのだから入れること自体がおかしいのだ。

 なら?どこだ?

 

 「コード1ログアウト」

 

 ダメだ。ログアウトを即座に実行できる、コマンドを実行したがログアウトできない。

 無論。設定画面もなにもかも、出せないのだ。

 

 (どうなってんだ?)

 

 多分だが、ここはsoulソウルの世界にある怪妖樹かいようじゅの森だと思う。

 理由は幾つかあるが、決定打となる理由は樹木から出てくる怪気と妖気があるので、怪妖樹かいようじゅの森で間違いないだろう。

 なぜ?そんな事がわかるかって?

 そりゃあ、ゲームだからあたり…ま…え……いや、おかしい。

 

 だって、ログアウトが出来ないんだぞ。それに、キャラクターだって作っていない。

 よく、体を見れば現実の俺だ。ゲームだとしたら、おかしい。

 緊急ログアウトもないし、ここは……。

 

 異世界なのか……。

 まだ、確証はない。仮に異世界だとしても、soulソウルの世界とは限らない。

 だが、それでも今は楽しもう。

 どうせ、あの世界に戻っても絶望するだけだしな。

 クラック事件で世界一位には、もうなれないだろうし。まぁ未練があるとしたら兄貴には、会いたかったけどどうせいつもみたいに「学校行け」って言われるんだろうな。

 

 考えるのは、やめだ。

 夢だろうと、何だろうとやるしかない、な。

 

 

 

 

 

 

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