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#4

#4

きっと、僕は今、初対面人にも分かるくらい不機嫌な顔をしていると思う。

理由は簡単だ。

先ほどから僕が腰掛けてるソファーで、僕の横で身を預けるように寝息を立ててる存在。

僕は彼女を少女と呼んでいる。

彼女の元・飼い主の存在を知り、あってみれば悪漢であったからだ。

しかし、彼女はそのことを忘れているようだ。

僕の考えでは、少女は飼い主の存在を忘れるほどに虐待か、それに近いものを受けていたと思う。

それが気に入らない。

僕らは、お巡りさんに悪漢を渡した後、そそくさと交番を後にした。

後日、詳しい書類が送られるらしい。

ふと、僕は横を見る、少女の体が少し動いたからだ。

「にゃぅ・・・ぅ」

少女の唇は固く結ばれ、手は胸の前で握られている。

眉はよっており目もきつく閉じている。つまり、怯えてるようだ。

「怖がらないで、僕は君を傷つけない。

恐れないで、君は僕が守るから

逃げないで、君は強いから」

そういいながら、少女の頬を左手で撫で、近くにあったハンカチで彼女の汗を拭う。

「にゃぁ・・・・ぁぅ」

彼女の手が、僕の右手を掴む。

少女とは思えない力だ。

「ッ・・・・振りかざさないで、君は優しいだろう?」

僕はあえて少女の手をそのままにしておく。

「ふぅ・・・にゃ」

彼女は突然に一息つき、僕の右手を放す。

「さぁ、落ち着いて。

少しずつでいいから、ゆっくり。」

彼女の息遣いが、ゆっくりと穏やかになってゆく。

「みゃぁ・・・?」

呼吸が元に戻ると、少女は目を覚まし、汗をかいてる僕に不思議そうな視線を向ける。

「おはよう、よく眠れたかい?まだ眠そうだね、ベッドに行きなさい」

彼女は僕を見ながら欠伸をする。

「にゃーにゃ」

僕のシャツを掴んで引っ張る少女。

「僕はここでいいよ」

「にゃー」

首を振る少女。

「仕方ないね」

僕はソファーから腰を上げる。

少女を着替えさせ、自分も着替える。

「ふぁ〜・・・・にゃぅ」

部屋の明かりを消す頃には、少女の目はトロンとしており、欠伸を隠しもしなかった。

「ふふ、おやすみ」

僕は明かりを消して、布団に入る。

「にゃうにゃう〜」

モゾモゾと少女が体を寄せる。

「ん?・・・少女は暖かいな」

僕は少女を抱きかかえるようにして、お互いを暖める。

(やっぱり、妹みたいだ)

ふと、そんな事を考えた。

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