アル!後ろ
こんばんは
全くもって、その通りだ。
全てはアリサ先生の言う通りで、自分の多大なるミスをあんまし好きじゃない先生(コレしか居なかったけど)に気づかせて貰えるとは!
「うん!そうだな。
じゃあ、どうすれば良いかな??」
「じゃあ、全てのナイフを出して見せてくれる?」
(めっ女神が!女神の微笑みが降臨したようだぁ!?ってボス!それじゃあ詐欺師に)
「アリサさん!今はコロが一人で戦っています!ですから、手助けをして欲しいです。」
うん。それが良い!仲間の一人がたぶんピンチだ。
「アルさんは助けに行かないんですか?」
(アハハハハ、アハハハハ……勝てないやぁ。
ボス!俺には好いている女性に、きつく行く事は無理でした。)
「では!行って来ます!!」
「オウ!行ってこい。後ろは任しとけ!」
仲間の気持ちを考えず、ボスの勇ましい『任しとけ』を聞き受け取ったからには、後ろから背中を押して歩を進ませていた。
後ろから聞こえて来る『これで全部だよ』と言ったボスの声と言ったらもう。
(ボス!それでも俺達のボスです!)
「それでどうするの?」
「グレイン聖王国の所有している二本の武器は、大聖霊の属性は確か……火と水だったハズです。
ですから、このナイフの中から火と水の大聖霊が居るとすれば、何処かの大陸から持ち運ばれたと言うことになるでしょう。」
ウンウン。それで?
「さぁ!私の光の聖霊。出てきて手伝って。」
そう言うと、アリサ先生の胸が!?
「あ!オッパイが光ってる。」
指を指す俺に先生は『違います』と言い、首から下げていたロザリオを取り出そうとする仕草をとった。
シスター姿のアリサ先生の細くしまった首元を強引に手で広げてロザリオを取り出そうと
「アル!敵は前方だ!後方では無いぞ!!」
この声を聞いて、ワザワザ先生が後ろを向いてロザリオを取り出していた。
光輝くロザリオから光りが一点に集中すると、ポンと一点の光りの玉が出た。
「なんだこの小人?」
「これが聖霊で、この小人は私と聖霊が通じ合い私の中で想像して出来た姿なの。」
「こんな男が好みなのか。」
「アル!?後ろを振り向くな!今は吸血コウモリの大群なんだぞ。
一匹たりとも、ここを通してはイケナイと!ボスを守ろうと誓ったろ!?」
俺の言った事が正解だったのか『別に良いじゃない』と言って手で掬い上げた。
「ボックン?この中で大聖霊はどれで、属性は何種類あるの?」
ボックンってなんだ?という疑問とは裏腹に、小さき小人はスラスラと指差しして大聖霊と聖霊・属性を言って行く。
「ボックンが言うには、大聖霊が宿ったナイフはこの七本で後の三十三本は聖霊というわけね。
更に、七本全てに違う属性が宿っていると。」
俺は特に驚くなんて事はしない。
だってこの七本のナイフは、朝の目覚めをすると枕元に並んでいたんだから。
「そう。はーん。」
「坊?私の話、最初から聞いてる??」
聞いてる聞いてるって!
アレだろ!?簡単に言うと、大聖霊は島に同じ属性は一つしか無いんだろ?という事は、俺のもっているナイフは何処かの島の大聖霊だと言う事だ。
そんな凄いとされている大聖霊を、誰か知られると国が動く程のヤバさというわけだ。
ってのを、ふまえると……
「とりあえず、この事は内密って事だろ?別に知れ渡るわけないし!俺は仲間を信じてるから。」
「そうね。アルさんとコロさんは正反対だけど、とても良い方ですからね。
なんせ坊を、信じ着いて来てくれるんですもの。」
なんだ?この意味深な言い方は。
「所で、俺の聖霊も出せたりするのか?」
「やってみる?」
頷く俺を見てアリサ先生はウフフと笑った後、『だけど、相当の訓練が必要よ?』と言っていた。
「訓練?」
「そう!訓練。
例えばで言うけど、言葉を発しない聖霊を使役するためには、どうしても心で通じ合わせなければならないの。
その方法というのは、所持している人が光りなら光りを何回発光させれるかで決まる。それは、魔法使いのマナを鍛えると一緒なの。
その後は、聖霊との意志疎通が出来る様になるわ!だけどそれには相当のマナが必要になるから!!
マナを鍛えたければ、魔法を!物に宿る聖霊から発せられる魔法ではない聖霊魔法・通称武器魔法をする必要があるの。」
なんか難しいなぁ……そう思っていると何かを思い出す。
「多分、ソレはいつもやってるぞ。
ホレ……コレ。」
ゴト!と置かれたのは、木のブロック。
「……何コレ?」
「え!?知らないの?俺が作ったトランプだよ」
木のブロックに俺の指を横から押すと、カシャと厚さ五ミリの木の板がある。
この木の板の大きさは手に収まり、まるでトランプのよう
「トランプじゃ無いでしょ。」
即、否定された。
「我が家のトランプです!」
「紙じゃ無いでしょ。」
「俺が欲しくて!作ったんだよ!
俺のナイフを使ってなぁ。薄くスライスしたんだよ!」
え?知らないの?という俺の反応を少しばかり受けつつ、本来の質問へ戻るアリサ先生は本当に俺の事を良く知ってます。
「……それで?……どうやって使うのかな?」
再びゆっくりとした話は、この間の取り方を見れば分かるように、最大に怒りを抑えているかのようだ。
そんな事をお構い無しに、俺は淡々と説明して行く。
で
「ボス!粗方掃除しましたぜ!」
流石は掃除大好きなアル。
戻ってくるや、二人して見慣れた光景が広がっていた。
「アレ?アリサ先生、我が家が開発したトランプを使って勝負しているのですか?
でも、コレって賭けゴトしか使わない……
って!?アリサ先生?ウチのボスはコレでは、負け無しですよ!?」
そう、既に勝負は始まっていた。
勝負方法は、木の札に数字とマークが着いてあり、それは裏を向けて置いてバラケている。
それを俺達は同じ数字を当てて行くというゲームなのだ。神経衰弱と言うべきモノだ。
「ホレ!先生!!先手五回を譲ったんですよ?あと一回残っているでしょ?
ホラッ!集中して!大ヒント・サービスです。
トランプの下の文字を聖霊に読ませるのです!そうしたら直ぐに答えが分かりますからね。」
神経衰弱とは、最初の一手は運である。
しかし、俺が開発した木で出来てるトランプは一味違う。
やり方は、俺が言った通り!全てが聖霊に任せるのだ。
そしてアリサ先生が言った事で『聖霊と意志疎通』俺は既に編み出して、更にアリサ先生の先を行っていたんだ!俺って凄い。
次第にアリサ先生は額に汗が出始め、息を切らして行く
「アリサ先生?時間切れ!じゃ、俺が捲っていくね。」
それからズバンズバンと見抜いて行き、全ての枚数を取得した俺は、悦に入ったのは言うまでもない。
「アリサ先生弱い。アルでも三試合は持つのに」
(この偽りのトランプ……なんということなの!?全てが一体となり聖霊との訓練が一度で出来るじゃないの!
というか、アルさんが三試合も出来るの!?
というか坊は負け無しということは、
何試合出来るの?
こんな強い存在なのに!なんて自覚が無い自由の義賊なんでしょうか。)
「落ち込んでる所悪いけど、言うべき事を言ってもらわないと!」
ガックリしたアリサ先生。ヘッ!とイキがっている俺の顔を見て尊敬の眼差しをするアル。
コロは、石畳に散らばった木のトランプを静かに収集。
「ハイ!言って!!」
キッと睨み付けて、一息タメ息が出た
「……これは紛れもなくトランプです。」
「知ってるよぉ!だから、何回もトランプって言ったじゃん!」
勝った!アリサ先生に完膚無き勝利を得たり!
「喜んでいる所ボスすみませんですが、さっきから何の話をしていたんです?」
そうだな。アルとコロにも、俺の勝利の系譜を読んで行こうかの。
俺は話出した。
それは、俺の持つナイフが大聖霊と聖霊が有った事。
大聖霊や聖霊の鍛練の仕方や接し方などの話。
その事で、俺がアリサ先生よりも一歩以上の差を付けて勝利したことをゆっくりと説明した。
「……つまり、アリサさんにハメられたってことですよね?」
「ハメられた??」
「だって、大聖霊の秘密を知られたって訳でしょ?」
そ!?そうか、あの違和感はそれか!
「このハメ女がぁぁ!」
「ハイそこ!色々と言葉がおかしいので、その呼び方は止めましょう。」
明日もヨロシク