カンストしたけど!
こんばんは
「ああ、ちょっとした目眩ましに使えそうね。」
『あ!なるほどね』と相槌を打ったかのような感じでルルが言うんだ。けしからん奴め!
それはそうと、向こうのテントから先生が俺を呼んでいる。
(先生なにかな?っと!その前に……)
「本当!義賊の男ってモンを分かって無いんだなぁ。これだから女って奴は、男の輝きを理解してねぇ……いや、理解しようとしないんだな。」
「ハイハイ。坊の義賊がどういうモノモノなのかはどうでも良いとして、先生がさっきから呼んでいるよ?これ以上、無視したら色々な事が起きても知らないから。」
『わかってるよ』と何万回と繰り返して来た俺の経験が素直に反応し行動へと駆り立てた。
バサッと開けなくても元から開いているテントだが、俺はバサッと開けて颯爽と着席する。
「さぁ。話して貰おうか!?」
格好良いボスってのは、椅子でもドカッと座るもんだぜ!風に座った。
「……そんなことより、メヒョウさんの膝の上から降りなさい!」
目の前には椅子なんて無かった。
無いなら作るのがベストだろうと考えがあったから、手元にある椅子を用意したまでよ。なのに先生と来たら、ドカッと正座しているメヒョウの膝の上から降りろというんだから……全くもって!
「ハハハ、先生はユーモアが全然無いんだな。
おっと、怒らないでくれよ先生……そうだ!先生より目線が高くなったからキレているんだろ!?だったら、コレなら文句は言うまいて。」
コレをすれば、義賊の主っぽい持ち方だし先生よりも目線が下に成るしな!?両者万々歳だぜ。
「坊。メヒョウさんの膝から頭を下ろしなさい!」
何か?俺の中でヤバい風が吹いた感じが
何かに反応して俺はバネの様に、ピュイっと起き上がり先生と向き合う。
先生は、ワナワナと握り拳もギュウギュウで更に歯もギュリギュリと鳴らしている明らかに危険な魔物に見えた。
「坊!……義賊に成ったからって!調子のノッてると怪我するよ!?
第一その【威圧】って何!?暗殺者のスキルに同じ【威圧】というのがあるけど、暗殺者の方がよっぽど使えるスキルだわ。」
『夜道に威圧なんてしたら、居場所が丸分かりじゃない!……意味分かんない。』と危険な魔物に言われる。
「いや!分かって良いじゃんか!!」
そうだ!ババンと現れるも顔を隠せ、相手に畏怖すら感じさせる技じゃんか。
だけど、先生は止まらない。
因みに、暗殺者のスキル【威圧】とは暗闇で暗殺者の殺気というのは、突然の物音よりも恐怖するモノ。《暗殺者》の【威圧】とは、相手を恐怖に落とし入れる奴であり《義賊》の【威圧】は、人を畏怖させる目的の為である。
話を戻して
「良くない!坊が馬跳びをしている間に話し合った結果、夜に忍び込む手筈に決まったばかりです。……それが嫌だと言うの!?」
「別に嫌だとは……
だって!義賊のレベルをカンストしたんだもん!」
『カンスト?……ん?』と反応を見せて
「……じゃあ、カンストした最後のスキルは何?」
「それを今言うと、発動になっちゃう。」
「良いから言って!」
「【お前ら集合だ!】よ。」
一呼吸だろうか?時間にして十秒かもしれない。それほどに、先生から『ハ?』という反応があった。
今も言ったが、そう!十秒が経過したんだ。
「……何も起きないけど?」
先生はテントから出ると、左右見てから俺の顔を見て『何も無いね』と答えるのだった。
続けて先生は言う。
「スキル内容は?」
「スキル内容は……たしか、俺と同じ称号を持った奴が集合するんだぜ!
そう!これは集合した奴等に、俺が指示を出せるってモンさ。
まあ、義賊のレベル差で指示を強制的に受け入れるか、拒否が出来るかみたいだが……なぁに!俺は初めての義賊だから俺より上は居ないぜ!」
こう豪語したとたん俺は言葉を失せた。
「……ホラ。役に立たない。
坊だけじゃ無い。義賊って……。」
しばらく俺の荒い息だけが聞こえた後は、淡々と先生の夜のコレからの動きを入念に打ち合わせをするのだった。
明日もよろしく