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義賊~暁の林檎  作者: ふ~ん
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洞窟

こんばんは

「だが、俺達が街を離れると一体誰がこの街の治安を守るんだ?心配だなぁ。」


 アルとコロは、『あー』と言って向こうを向いた。

 今のこの街の真実を俺は知らない。

 いや、知ろうとしないと言っていいのか?そんな俺に対してアルは話を切り出す。


「ボスが冒険者ギルドを追い出してから、街のゴロツキが消えました。

 それもこれも皆、ボスの功績です。

 あのギルドが消えてからは、そんなに危ない街には成って無いですよ。

 現に、夜道はかなり安全になりましたって耳に入ってますよ。」


「だな。俺の良い行いだな。」


「それに今では、グレイン聖騎士団が冒険者の代わりに商人等の納品をしていますからね。

 実質、この街の冒険者に担っているのはグレイン聖騎士団となってますよ。」


「そうか。だから最近『キャー助けてぇ』という黄色い声援が聞こえないのか。……寂しくなったものだな。

 ハハハハ分かったぞ。だから!アルは義賊の職陣を見付けだして、グレイン聖騎士団に遅れを取らない団体に成ろう!というのだな?」


 納得した俺は、物の有り様を確かめもせずに『善は急げだな』と二人の頷きを確認してダンジョンへ向かった。


「所で……アルはどう見ても戦士でコロは俺と同じ雰囲気の武器を使うとしたら、回復が出来るヤツがいないと危ないんじゃないかな。

 俺んの庭で薬草を作っているとはいえ、中々の素人集団じゃないか?」


 『いやいや、その辺は考えています』とアルはニコやかに俺を誘導するのだった。

 俺は、禁書室でもう経験していたのでダンジョンが何処にあるのかは知っていたというのもあってスムーズにたどり着いた。


「あれ?洞窟の前に誰か立ってるな……」


 今回のダンジョン、街から少し出た丘の麓にある。

 丘と言ってもこの丘は丘では無く、地図で言えば山と扱いされていた。

 しかし、低すぎるが故に皆『山』では無く『丘』というのが一般的になっていた。


「ハハハ。待ちましたか?」


「いえ。今回は御誘いありがとうございます。」


「イエイエ!そんな深く頭を下げなくても!?

 では、入りましょうか?私とコロで前衛しますのでボスは後方お願いしますね。」


「……」


 ダンジョンというのは初めてだというのに、こうも!こうも俺の心は明日へと飛び立つ鳩の様に、ココから何処かへと飛び立ちたいと思うのは俺だけだろうか?

 

(多分、俺だけだな。)


「ボス。右の壁に近付かないで下さいね。

 ソコに罠が有りますから……って言ってもボスの眼力なら分かってますよね。」


「……」


ぼうが、本当にギルド本部を乗っ取ってからという時から、何か悪いことが起きないか心配してましたが、今の今まで事件が無かったのはコロさんやアルさんが居たからでしょうね。」


「イエ!ボスは……」


ぼうからボスという名になったの?」


 俺の名をぼうと呼び、なに食わぬ表情で俺の目の前に立つのは


「……

 なあ?何で……アリサ先生なの??」


(!?)


 いつもだったら、こう叫ぶハズ!『何故アリサ先生がここに?アル!説明しろ』くらいは言うと思っていた矢先、暫くの沈黙から発しられたのは、なんとも子供らしい言葉だった。

 ようやく出た言葉は、子供のような返事にアルとコロは驚き後ろを振り返る。


っちゃん?私は、体術の授業で教えましたが初級基本の職陣四種もレベル三百のカンストしてますが、その他にシスターを含む中級の職陣もカンストしてます。

 ……覚えていますか?だって、教える身ですもの。当然ですよね。」


「へぇー。アリサ先生はシスターなのに、色々な職陣をお持ちなのですね。」


「よしてください先生だなんて……もう、教える身ではありませんから。

 今は上級シスターに固定して、カンストのレベル三百を越えて今は四百十ですかね。

 回復は任せて下さい。」


 昔のノリで『アリサ先生』と言ってしまったが、今はアリサ院長に成っている……そんな事は知っている!だけども、だけども……気になる。


「アリサ先生って強いんですか?」


 話はするが、未だアリサ先生の顔を見ない俺は、うつむいてイジイジと話し出す。

 そんな俺だというのに!アリサ先生は普通どうりに対応してくれる。

 因みに、いつもは怒って無いアリサ先生はこんな感じだ。


「何!?心配してくれるの??

 嬉しい!……まあ、何を基準に強いか定かでは無いけど、そうねぇ……

 私、グレイン聖騎士団を卒業したの!これだけ言えば強いって事でイイかな?」


 とてもニコやかに微笑む先生に


「ああ。だから、いけシャアシャアと俺のケツに盗賊烙印を押したのか!

 理解した!コイツはケツ大好きババァで、力で何もかもを手に入れて来たんだな。」


 一呼吸というのか?涼やかな一陣の風が吹いて肌寒く感じて『……そう』とアリサは言った。


「明日、ルルルと一緒に何かの依頼にでも行こうかな。」


「ゴリラが来るのか?」


「うん。言っとくね。」


 『言っとくね』と言い終わる前に『危ない!』と言って、後方を任されていたが前方の魔物ッポイヤツをサクッとヤッちゃう。


「アリサ先生は後方へ!アル!コロ!後方頼むアリサ先生を守ってくれ!俺の大事な人だ。

 あと、ソコの魔物!!なんだゴリラって!?何言ってんだ!?」


 幸いにも魔物はたったの一匹だったので大したことは無かったが、俺は『フウ。魔物を全て滅してやったぜ!……アリサ先生は大事な御身。帰りましょう』と伝え大変さをアピールする。


「いえ。まだ、大きな獲物を孤児院に届けるまでは帰りたくありませんの。」


 クスクスと笑いを押さえるアリサ先生に、震える拳を抑えながら『それは、大変ですなぁ』と大人の余裕をみせておいた。

明日もよろしく

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