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義賊~暁の林檎  作者: ふ~ん
48/59

あの時の

おはようございます

(あー。映像だけで音は出ないのかー……。)


 何も音が出ない映像を、俺は黒い煙の壁に囲まれた所で一人観賞している。

 ある程度見ていると、大体の事が理解してきた。


「あの横顔……!?イヤ!あのオッサンだよ!」


 写し出されている映像は昔のアルは勿論のことなのだが、今しがた不甲斐無いがやっと俺は彼……つまり俺が夕日の背中を追いかけた彼が写し出されているのにやっと気付いた所だった。


 この時!俺の耳?……違うか、部屋全体が鳴っている様に共鳴・振動をしており、俺の体までもが奥底から震えているかのような体験をする。

 そして、始まった。


「声が!?聞こえる……?」


 唐突に俺の体内に響いて来るのは、映像の口が動く内容そのものだった。

 普通だったら『やったぜ!これから楽しい時間の始まりだぜ!』とかってなると思うんだけど、現実は俺の頭にはクエスチョンマークが浮かび上がったんだ。


「坊?皆のペース配分も考えてよ。」


「そうだぜ坊。俺なんか、攻撃重視だから重くってお前が早歩きするだけで参っちゃうよ。」


「私は……大丈夫かな……」


「え!?大丈夫って何!?ついにオーケーしてくれたのかい?」


「違うわボケェ!」


 俺の中で生きる夕日の彼は、このやり取りを見て『あ、ごめんよ。だけど、一刻も早く……』と言って少し歩のペースを落としてハハハと笑っていた。

 というか……坊って?


(まさか!?俺と同じ問題児だったの?!しかも、この編成は……。)


 見れば見るほどに、重なって行く。

 憧れていた彼は俺の位置に、彼の想い人の攻撃系魔法使いの位置はアリサ先生に。

 あれは狩人の上位であるハンターはルルにぶれて見え


(あ、攻撃力重視はコロという雰囲気じゃないわ。なーんか、同じじゃ無くてホッとする。)


 それでも、ほぼほぼの攻撃やチームワークが俺の現在のチームに似ていたのは事実なのかも知れない。

 そんなチームが、ダンジョンを思わせる所で戦っていた時だった


 ソコは、壁が何かの植物が無数に絡み合って出来きていて、一本一本の茎のみが剥き出しになって植物なのに緑の葉は見えない……そんな風な壁だった。

 今まで、普通の土壁から突然の植物の壁に変化したことで何かが有ると俺は思ってしまった。


「この扉……」


「ええ。明らかな人口物、中央に神教のマークとラリエルの印!」


「つまり、」


 アルが『つまり』と発した後に、唾を飲み込んだ夕日のサザンは『行こう……最後だ!』とカチャっとドアを開けたんだ。

 もう!目の前には!?


(なんだアレは!?全然寝てないアルみたいな)


 ソコに突っ立っていたのは、目をこれでもか!と見開き、口からヨダレを少し垂らして笑っているオッサンが。


【アルみたいな】と言ったが、よくアルが『エロ爆誕!』とか言って、『今日はエロ曜日に!』と言いアリサ先生やルルにちょっかいを出して反撃に会った、泥酔のアルに似ていた。

 泥酔のアルは、ちょっとやそっとでは倒れないのだ!そう、あの目の開いた感じはアルの様に思えた。


「あの黒いモヤ……ダメだわ!正気を失っている。」


「ああ……。俺の聖霊ピーコちゃんも『ヤバイ』って言ってるぜ!」


「今、全員に心身を向上させる魔法をしたけど……長丁場はとても不利と見たわ。」


「……」


 上から順に、ハンターの彼女・アル・魔法使いの彼女と来て無言は力自慢のアイツだ。

 そんなジリジリと、これからの攻撃方法をどうやって決めれば良いのか迷っていたら俺の憧れの彼が先頭に立った。


「俺の聖剣エクスカリバーよ!お前は意識が有ると聞く!……だが未だに心を通わせた事が無い。だがしかし!今は俺を受け入れてくれた事に感謝しよう……そして、一緒に戦ってくれるお前達にもありがとうよ!」


 走り出して攻撃が始まる。

 

 なんだろうか……人が命を掛けて、チームで生き抜こうとする姿はなんというか……儚い。

 ……という言葉は使ってはいけないとは思うんだけど、また一人……一人と地に倒れて行く姿を見て俺は無言で見るしか無かった。

 最初は応援はしたさ!……だけど、これは過去の話だから


「聖剣よ!我の命を吸ってくれ……そして、皆を助けてくれ!!……でだ、スマンがアレもブッ倒してくれないか?……エクスカリバー?」


「は?なに言ってる?」


 すると、どうだろう?

 パァ!と剣が輝き出し虹色に?!虹色の光は伸びてエリラルへと到達し貫通するのだった。


 虹色の光はエリラルを貫通したと同時に、背中で七つへと分離して壁?モジャっとした植物の壁へと流れて行く。

 

「サザン!!お前!?」


 『へへへ』と笑う夕日の彼は、彼もまた虹がバラけ、ほどけて散り散りになって行った。

 泣き崩れるアルに、フラフラとなりながらも近寄るのはハンターの彼女達だった。


 サザンとエリラルが消えて、残った彼等は一歩ずつゆっくりと確かな歩みで帰って行った。


(?……まだ、何か有るの??)


 もう、誰も映らないのに未だ写し出していた。

 ハテナ?と見ていると、植物の隙間から七つのナイフがキラキラと一本一本と出て来て輝いていた!?そう!誰が見てもコレは……


(勇者サザン!夕日のオッサン。

 あんたの残した言葉は聞き逃さなかったぜ!?アンタは、言った『後継者も見つけたし悔いは無い』ってな。

 ……コレが聖剣エクスカリバー……散り散りになって七本のナイフにか。)


 キラリと光るナイフが俺の目に輝いて!?


(まぶしい!)

「!……あ、おはよう。」


 目の前には、アルが座っている。これは、俺のごろ寝を邪魔しないように座っていたんだ。

明日もよろしく

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