ルルルに連れられ
おはようございます
と、アリサ先生からルルの能力を聞いてコロやアルは唖然とした。
それは、今でも鮮明に覚えている『ボスが血だらけでコロが死亡』という未来をルルが見てしまった事を……それらを踏まえてから
「坊!坊!?起きて坊!……」
俺の体を揺さぶるのは誰か!?
「なんだ?夜這いか??」
目の前には、俺のベッドに両膝を乗せてギシギシと揺らすルルがいた。
「そんな訳無いと知ってるでしょ!」
理由は定かでは無いが、何かを急いでいる感じが見て取れる。
「なに?……避難するの?」
この時!ルルの中の昔のアル記憶が鮮明に思いだした。
(昔は冒険者がたむろしていて、孤児院なんかはストレス解消にもってこいだったもの。
誰かが半殺し……イエ!殺されても、誰も調べ無いし誰も罪すらならない世の中だった……。)
「避難するために、予めアルさんとコロさん、それに先生と話し合いをしたの。
お話をするから一階に降りて来て。」
「うん。わかった。」
何気無いやり取りの中に、とてつもない程に優しさと愛が感じ取れる場面でその時は来た!
「!!坊!?何かが来たわ。ここから逃げなさい!!」
もちろん!ルルのオーバースキルの【先読み】が突然発動したのも分からないし、そういうスキルを所持しているのも知らない・と言うか効果すら知らないだろう。
「うん!わかった!!」
だけど違った。
俺の古い記憶には、ルルルが慌てた時には俺の事を【坊】と呼ぶのだ。
この【坊】は、俺がやんちゃで言うとこを聞かず、いつも先生や他の孤児逹を迷惑させる人の事を一律にこの名前を付けていた。
まあ、最終結果で見れば卒業と共に自分で名前を付けれるから、なんの問題も無いんだけどね。
というか問題?……そう!歴代やんちゃなヤツが【坊】という称号を!レッテルを貼られるのだ。
これは幼少時の、何かから避難させられた時と同じような雰囲気に見えたから、寝起きだったけど夜中時間帯に起こす意味を素直に受け取った。
話を戻し、頷いた俺はゆっくりと手を差し伸べた時!何処かでパリン……とガラスが鳴る音が。
「地震?」
「違う!!早く来てっ!」
超強引に俺を引いて、俺を小さな子供を抱いたルルは、そのまま逃げる様にその場から出ようとする。
だが。ソレは来たんだ。
「イヤイヤ……待って下さいよぉシスター。」
一瞬のろうそくの炎の揺らめきで現れたのは、骨爺と思わせる格好で俺の部屋中央に立っていた。
「オイ。誰だお前?」
俺がそう聞くのは理由があった。
先ほど強引とはいえ、強制避難の為に移動させられた際に俺を持って抱いたハズだ。
だからか、俺の目の前に立っているが!ルルからして見れば、自身の背中に今回の原因となるヤツがいると感じ取る!
(先読みからして、目の前に現れるというのは避けられたけど!また、よりにもよって私が背中を向けるとかアリエナイから!!)
「あ!……ダメ!!」
突然、俺を抱いていた手を放して強引に床に落とすと男?の方に向き直して『坊!一階上のアルさんの所に!!』と両手を広げた。
「……ホウ。その若さでレベル三千に行ったのですか。成る程!貴方は持ち帰って我らの信者へと生まれさせましょう。
ですが、先読みの弱点は勝手に発動した後は五秒は無防備になるのです!そう、この様にね!」
声からして男だ!胸筋の割れ目が見える薄い肌着が露出され、手には小型武器を装備していた彼は何も出来ない……未だ三秒?四秒になろうとする時にルルの目から消えて現れた時
「オヤオヤ。これは驚きました……ここにもレベル三千の私と同じ時を過ごす者がいたとは。」
全くの慌てた様子が無いのは驚きだが、それ以上に彼の冷静さが事の重大さをルルは感じ取った!
これは、今のコノ状態は!フードの彼と坊の戦いで、仲間であるルルの意識のみがスローワールドの世界へと強制観戦へとなり、助けれているのはどちらか!?と考えさせる。
そして……
「アナタ……死んで下さい。
アナタを持って帰ると、年を取った私が捨てられますからねぇ。ここで死ぬべきでしょうなぁぁぁあ!!」
ギリギリと打ち合い、小型武器とナイフの攻防が今始まる!
ありがとうございました