舞い降りた
こんばんは
メヒョウの痛みを和らげるヒンヤリとした手つきは、俺の袋を優しく扱ってくれるし先輩も後方から援護射撃をしてくれる。
だから!俺の戦いはココから始まるんだ。
「と、その前に……」
聖霊が話せると分かってから、俺の何かが花開いたと感じた。
それは紛れもなく、皆に力を分け与えるだろうと俺は信じている。
「で?何故に、お尻を仰向けにしているのかな?坊。」
「先生!俺はメヒョウに俺のステータスを見ます。そして、その中身をメヒョウ達に伝えて貰います!
したがって先生は、アル達に合流して目の前の大王イカを倒して下さい。」
『早く来てね』と先生の後ろ姿を見ていると、イカの足が此方へ飛んで来るじゃないか!?
「うわぁぁぁぁ……あ?あれ?」
イカの足は、ムニが作った全然見にくいドームで弾く。
更に、叩かれたイカの足は叩いた瞬間に砕け散った。これは、メヒョウの仕業か?
考えるのは後だ!先生を!!皆を追わないと。
「ステータス・オープン!!」
何回でも思い出す。
六歳で尻に烙印(盗賊)、つまり職陣を付けられてからも何度も何度もナイフ練習や義賊に必要な事をしたぜ。
それが、先生をぶちギレの方向に向かって行ったとしても前だけを見続けていた。
毎日、毎日……孤児院を抜け出して街の住人を助けたりもしたし、殴られ叩かれ詰所で一日過ごす事だってあった。
そんな俺なのに、先生は
「もうすぐ十歳で卒業なんでしょ!?卒業して、またココに入ったら次は確実に奴隷行き確定に成りますから。」
「はい。御迷惑を掛けてすいません。」
俺はその時は未だ、未成年だったのもあって、詰所からの解放も孤児院というのもあって安かったのだろう。
いつも先生が、片手で解放金を払ってくれたから俺の心は『ありがとう』なんて言葉は選ばない……只のカッコつけだったんだと今は思う。
詰所から出た俺は、先生と二人帰り道はいつも
「……坊?このお金は、誰かさんが助けてくれた御代そうですよ?……まあ、渡す前にその人は直ぐに消えてしまったそうですから。」
実に!実に俺を叱る子ども無く、嬉しそうに優しい眼差しを上から向けてくれたもんだ。
まだ俺は十六歳だけど、まだ先生の方が背は高いけど!!俺は高く舞い上がり、先生よりも優しい目で先生を助けてやるさ……絶対!そしたら先生に
「先生、大丈夫か??」
イカの足は、俺の全てのナイフが壁に突き刺さり身動き取れないでいた。
イカの胴体の上に乗り、水の上を歩き回避していた先生に優しい眼差しを向けて発動する。
「盗賊オーバースキル!スロウワールド」
【スロウワールド】
盗賊レベル三百のカンストを越えて、更に越え続けレベル三千で覚えるオーバースキル。
カンストした時のスキル・ブン取り発動時のみに発生するスロウ空間が、ダンジョン空間一階単体程の射程となる。
仲間は意識のみ、スロウワールドの世界へと誘う事が出来、次のターンを読みやすくすることが可能となる。
クイッと指を動かすと、刺さったナイフ達がでもってへと戻る。
二十の束となったナイフを片手で投げた。
ナイフは、一列と成ってイカのある一点へ!
「エリザなんちゃら!?とりあえずお前を運ぶからな?……んんっしょっ。
ココくらいかな?イカの眉間だよ??……アレ、あの一閃発動してよ!ポーズもセットしておこうか。
因みに、俺が投げたナイフは刺さった瞬間からスロウとなっちゃうからな。
生き物が口の中に何かが入れば!絶対一瞬は止まるだろう。
エリザなんちゃらの一閃とイカの一瞬では、エリザなんちゃらのほうが早いだろ?……落ち着いて行けよ。」
せっせと、本当にスロウで止まっているような世界・空間と思わせる程のスキルは、盗賊の長所のみを特化したものと言える。
だけど、皆は知るまい!カンストがレベル三百なのに、まだまだその先があるということを。
「三……二……一!解除!!」
「グレイン聖槍術!スキル・ライトスピアーズ!」
一度の振り抜かれた剣の後から、鋭く光る槍が五本後続して連なった。
作戦、実施は大成功と終わると……いや!まだ終わりではない。
「我等は暁の義賊!仲間を助け、少女を助ける我等の名は!?」
「私、は……シスターは表の顔。しかし裏は実力派の武道家……名は暁の!ボニョボニョ……」
(なぁんで、私達もセットされるのよぉ。恥ずかしいじゃないのよぉ。せめて、このポーズ止めよ?ねっ!?)
「続いて遅れましては、ボスの手足となるぅ!!右の翼アル!……左の翼コロ!」
これで、四人揃っての合体ヴァージョンとしてビシッと決める事が出来た。
御満悦の俺とは正反対な先生は、遠くから見ても顔が赤かった。
明日もヨロシク




