行こうか
こんばんは
見てくれ!俺の影から影に紛れる颯爽とした姿を!……こりゃあ、まばらに散らばった街の明かりのせいで決めポーズを決めるしかないぜ。
「坊、何やってんの?これから人知れず戦地に行くのに遊んでいたら怪我するよ。
それに、なんでメヒョウさんを出したままなの。」
そんな事、何故俺に言う?聖霊は話せるんだぜ?知ってるだろ?
「メヒョウ、なんか言ってやれ。」
「一般的に言うと、聖霊は固定された場所に居ないのが普通です。
しかし、あなた達人間は武器や物に聖霊を封じ込めて使役しています。
まあ、私達大聖霊の誰かは知りませんが人間に好意や興味など、様々な接し方で変化していったのも事実ですから『封じられて』というのは適切では無いかもしれません。
それが嫌だと、ボス様には言ってませんよ。
……ただ、普通の聖霊はそこらじゅうにいるものなので。こうやって、風に当たるというのはナイフの中にいるよりかは私は好きですかねぇ。」
長い。
そして、全然決めポーズとっても話に集中し過ぎて誰も突っ込んでくれない。
「見えた!ここだな!?」
これは嘘である。単に、注目して欲しかった!ただ、それだけである。
「なるほど、ここにしますか。」
(え?適当だよ??)
俺が適当に止まり指示したのは、街の中央の噴水がある広場である。
メヒョウは俺に賛同してくれただけで無く『では、水の大聖霊を呼びましょう』と言うんだ。
では御近所の安眠を守るために、小声で叫びましょう!『来い!水の女!』と。
「どうする!?」
(いやー。適当だよ??マジでどうするの?)
「では、名前を着けましょう。」
お前にハッキリと言っておかなきゃならないことがあるのだ。
「なあ?メヒョウ……俺はな、壊滅的に名前を付けるセンスは無いから!」
「え!?良いですよ。名前を付ける行為は、相手つまりボス様の負担を軽減してくれるのです。
負担を軽減というのは、この前に私と水のでカードゲームをしましたが、その力の源を軽減できるのです。
しかも!その軽減力は使用者との繋がりが強い程に軽減されますので……ボス様は私達に好まれていますから。」
成る程!名前を付けるのが普通なのか。
「皆は、なんという名前付けているの?例えば先生は??」
急に振られて先生は『笑わない?』と言ってからシスター服の襟元を開けて、胸に挟まっているロザリオを取り出す。
「出ておいでメモモちゃん。」
ポン!と握りこぶし位の光る玉が出た瞬間『プチャー』と鳴く。
そのあと、可愛らしい小声『プチャー・ピャア・ピユユ』とか意味分からん事を多数言っていた。
「ああ、先生。ちゃんと聖霊には言葉を教えなきゃイケナイよ。」
ポンと肩を叩くと
「これが!普通の聖霊なんです!
そこで、使用者意外が伝わる程にペラペラと話しているほうが少ない……というか大聖霊がそういうモノだから!」
成る程ねと余裕な態度で話してから、メモモの名前の由来を聞くと
「めめっちくて、ポヨンポヨンでモチモチしていたから。」
ほー。
「……。
お前の名前は『ムニ』!……名前の由来は、俺が胸をムニムニムニと触ったからだ!」
(ボス。そういうのは、ちょっと。)
「おうアル!?私等のボスになんか文句あんのか??コラァ!」
名をムニと名付けた瞬間、何かに気付いたのか突然アルに話しかけるや否や、皆さん『アレ?清楚の彼女は何処へ?』となっちゃった。
暫く沈黙があったが、コクンとメヒョウが頷いただけで『分かった!』とか言っちゃうもんな。
「ボス様!ターゲットはここよ!!」
ムニは、噴水の水をドパン!と操る。
それは、長く長く!細く細く伸びて行った。
「……どこ??」
夜で水の行き先が全く分からないというのもあったが、パチンとムニが指を鳴らすと、キラキラと細い筒上の水の柱の中に光るものが。
その点滅をたどって行くと……
「もしや!これは、小金ホタルか!?」
『さすがです!』と頷くムニに、わーいわーいと握手をして喜んだ。
そして、直ぐに俺のテンションがだだ下がりとなるのだが……それは
「ねぇ?こんな目立って、行く先が分かってもゴール地点でおかしいと気付く人はいないの?」
「テメッ!コラァ!?ボス様はなぁ。今さっきからずっと目立ちたかったんだよ!そんな事も分からんのか。」
そうだな。俺の数秒前はそんな気持ちだったな。
で?
今は、街でガンガンと鳴らし『魔物が街へ』とか言って真夜中が昼夜の街へと変貌しつつあった。
明日もヨロシク