勝負がてらに挨拶だ
今晩は
直ぐにアリサ先生が俺の口を塞ぎ、その後の文句を遮断したが塞がったまま心の叫びを思う存分叫んだ。
(第一!それは俺が発明した代物なんだ!それを、それを!テメェごときが発明とか名乗ってんじゃねぇ!……ベロベロベロベロベロベロ。)
「わぁ!……ん、もう!!」
「それに!そんな薄っぺらいカードでよくも偉そうに気取ってやがるな!?」
(俺なんかなぁ!俺なんか、カード買う金が無いから木を削って遊んだんだぞ!?それに比べたらお前なんか、オマエの母ちゃんデベソついでにポンポコピーじゃないか。)
アリサ先生の手で塞がれた口は、口の隙間から出た俺の柔軟な舌により突破した。
「何を俺に怒りをぶつけているか分からんが、そんな怒る位ならかかってくれば良いだけだろう?」
そんな安っぽい勝負に誰が乗るか!……と言っても奴は止まらないだろう。
だったらヤるべきことは、ただ一つ!
「我が義賊の左右を守るのは、コロとアルだ!ならば露払いをするのは下っ腹の役目!
……よし!オマエに決めた。エリザなんちゃら、潔く突っ込んで行けぇ!」
エリザベレスは『えぇぇ私ぃ?』とキョロッと見渡すまでも無いと知る。
既にボスから発せられた【下っ腹】というキーにより、エリザベレスへと一点集中されていたんだ。
アリサ先生から視線を浴びられたおかげもあって『ハイハイ。ヤりますよ!』と嫌そうに前へ前へと出てきた。
「さぁ!私の名はエリザなんちゃら!その金貨をいただきましょうか。」
この勝負、勝負という勝負にあらず。
結果的に言うと、エリザベレスの圧勝だった。
負けた相手からも『これはただのゲーム……何をそんなに』と負けを悔しがらない態度を取っていたが
「コレ貰い!!
イエス!褒美に俺の大好物の種を進呈しようではないか!」
何?何コレ??と思っていたら、いつの間にか私の手の内にあった金貨百枚が、何かの種になっていて『俺はボス!お前のボス!!』とか言うんだもん。
言い訳しているレッドと赤魔虫をガン無視するウチのボスが……なんか羨ましくなっちゃった。
(軽いなぁ……ハハハ、レッドテイル怒ってるよ。というかボス『貰い!』とか言って、さっさとパクっている所とか、ほぼ泥棒じゃんか。)
「レッドテイル・スープー様、ウチの下っ腹に小遣いをどうもありがとうございます。
うちのメンバーが勢揃いしましたので、改めて一から順に作戦の内容を話していき、おかしな点などあれば訂正して行くというのはどうでしょう。
……反論は無い見たいなので話を続けます。」
さらりと楽しい時間を切って、本来の話に移行するとか大したもんよアルって男は。
俺はアルの凄さを、目を閉じてウンウンと頷き再確認をした。
そして、……寝た。
あの、目を閉じたのがイケなかった!更にウンウンがコクコクという首の運動となり眠りに誘った。
アルがダメなんだ!あんな良い風の如く、良い音量で抵抗無く俺の耳へと入り抜けて行く声はケシカラン!!
「ボス。晩ご飯の芋づる煮大盛と、芋の煮ッ転がしと芋のお菓子。あとは、ソコで売っていた米です。」
俺の悔やみなんてもんは、大好物を見たら飛んで言ったのも事実。
いや!俺はボスなのだ。状況把握は、しなければならないな。
「所で、会議の再確認をしようか……ハイ!先生!!みんなに分かりやすく簡単に短文説明ヨロシク。」
俺が『会議の再確認』という言葉が出てから、先生は何の迷いや怒り等は無く、先生からは驚く程に淡々と説明をしてくれた。
「少し前に遡るけど、何故かは知らないけど急にこの町が魔物の集団に襲われる様になった。
その謎の解明をするのが本部の役目で、私達はこの町を襲う魔物退治という役割。
配置も決まったわ。私達は東側から来る魔物を蹴散らす役目なの。」
「東門あったっけ?」
先生は首を降って
「無いわ。
無いけど、どっと魔物が押しよるらしいの。
壁を突破されれば、そこが新たな魔物の門となり街は重大な危険と成るわ。
それに、私達のような配置をしているのは多数いるの!あのレッドテイルとかいう生き遅れも壁側待機になったから。」
【生き遅れ】って?
「生き遅れってのは。
だって、あのゲームは坊が六年も前に開発したんだもん!しかも、あのダサイ名前とか信じられないわ。
私も知らないのは当たり前よ!各王国に申請したのが一週間前とか!?あの笑いを見た時!頭蓋骨を握り潰したいと久々に思ったわ。」
そう……そうだったの。知りませんでした。
直ぐに解説してくれた先生に軽い挨拶をして、『頂きます』とコロに言って夕御飯を食べようと
「ぶー!……ボス!?何を」
「?……先生にありがとうの挨拶だけど??」
先生は『ふわぁぁあ』と頬に手を当てながら、バガン!とドアを蹴破り外へ走って行った。
食事を終えると、風呂も無いし水とかで体を清拭するしか無い。
「はぁ!はぁ!……ただいま。……冷えてしまったけど頂きますね。」
先生は荒野を走って来たかのように、体中が砂ぼこりだらけとなっていた。
そんな先生なのに、かまうものか!と言わんばかりにガツガツと晩ご飯を食べている姿は言葉と裏腹だ。
「先生。」
異様な程に、俺の声にビク付く
「先生、あの挨拶ですけど……アルに聞くと親しい人しかしないみたいですよ。」
今晩もヨロシク




