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義賊~暁の林檎  作者: ふ~ん
16/59

俺の日常

こんばんは

 あれから一週間は経過して、エリザベレルは俺の隣の部屋となる。

 結果、俺は何故か両隣に女性が住んでいる状態となった。


 朝早くから出かけるエリザベレルは、コロが作ったお弁当を楽しみなのか、張り切って出勤している。

 いつも下から元気な『行ってきまーす』という声が聞こえて来る程のウキウキして明るい。

 そんな、ハキハキとした声で俺は今日も起きる。


 俺の日課は余り変わって無い。

 コロやアルが家の仕事が終わると、街へ便利屋として出かけて小遣いを稼いで来るんだ。

 まあ、アイツ等に係ればほぼ何でも出来るからな。


 先生も街へ出かけて仕事をしている。仕事内容は、名前と同じで学校の先生をしているらしい。


 俺?俺はアレだよ。

 先生や、アル・コロの連絡待ちさ。


 何の連絡待ちかって?

 街の事件の連絡待ちだ。


 今じゃあ、エリザベレルも俺の事を気にしてゆっくりと行動してくれて、いち早く俺が『待ちな!』とナイフを投げて、悪党をブッ刺して撃退しているからな。

 そして、遅れて来る騎士団に『あと、ヨロー』ってな感じでオサラバさ。


 俺は思うんだ。実に格好が良い義賊だと!

 義賊活動は、皆仮面を付けて行動しているが、それでも身長や声とかでバレてしまうだろう!

 この前なんか


「あの、私を誘導してくださった方ですか?」


 と、買い物途中のコロが訪ねられたらしい。

 コロは慌てながらも訂正し、その場から離れるが後方でその子が『あの時はありがとうございました』という報告を、俺に報告して来たんだ!

 ……実に励みになる言葉だろうか。

 帰って来たら念のために、アルにも聞いておこう。


 そうこうしている内に、もうお昼へと差し掛かった。今日は卵料理が食べたいな。

 先生は学校が近いってのもあり、家で昼食を作って食べている。


 先生は『ついでだから坊君の昼御飯も作るよ』と言ってくれているので、先生を待っているのだ。

 ドアがキィと開いた


「今日は、卵料理が食べたい!」


「……ポストに手紙が入ってましたよ。【ギルド・月影の光・様へ】と書いていますけど?」


 ポスと俺専用の受付カウンターに置いて、先生は『卵あったかなぁ』とスタスタ厨房の方へ消えて行く。

 手紙?俺にか!?と思ったのだけど、裏を見ると【ギルド長・ジャック様へ】と書いていた。


(ジャック??誰だろう??)


 とりあえずは中身を見てみようと思い開ける。


 と!?なんと!!

 パァァーと光り輝いて、言葉が浮かび上がり徐々に映像が出て語り出した。


「拝啓、ジャック・ドリュッパー様

 突然のこの様な手紙を送りました事、大変失礼と思います。

 しかし、我等の地区では以上とも思える程の魔物の発生に伴い、盗賊などの半端者が増え続け治安が悪化しています。

 改善策で今!ギルド連盟に声を掛けている最中、ギルドの方々が何人集まるかは未だ分からない状態です。

 どうか、お力添えを!ヨロシクお願いします。旧友ギルド・竜放火・シオン・マクロ」


 ポケー見ていて、声プラス映像が流れ終わると、映像が一つの光りとなりピュイ!と天へ掛け昇った。

 天というのは、ここで言うなら天井なのだが、天井をすり抜けた感じだ。

 暫く、ほえーと天井を眺めていると


「あー……。

 これって、光の聖霊の中級位の技で見終わると送った人に戻る魔法の一種なの。

 もちろん、相手側に着くと私達が見ていた映像が流れる魔法よ。だから、相手側からも確認が出来て便利なのよ。


 で?ジャック様って誰??」


 コトとフォークを貰う。目の前には、ホクホクの卵料理がある。

 俺は一言


「さぁ。知らん」


「だと思った。食べたら台所に置いといて良いから。洗ってくれていると嬉しいかな。

 じゃ、私もう行くね。」


「もう!行っちゃうの?」


 やれやれ、仕方ないな……と言わんばかりに先生はハニカミする。


「じゃあ、お別れのハグする?」


「いらん!」


 少しばかり残念な様子な先生は『だと思った』と言って出て行こうとする。

 俺はこれだけは言っておかねばならぬ!


「学校で義賊の話しとかしろよ!」


 先生は振り返らずに、手の甲をヒラヒラして了解の意を示していた。

 そんな毎日が続いて、三日は経過をしようとしていたときソレは起きた。


「ボス。ポストに物が送られて来てますよ。」


「誰から?」


 俺は天涯孤独の身。知り合いとか、親とか一切居らへんのに来るとか無いって!って、確定してもポストにぶつが有るのは、何かラッキーと思うのは俺だけだろうか?

 だから、意味もなさない『誰から?』という事を言うんだと思う。


「名前は……ギルド長シオン・マクロ。ですね」


「誰それ?」


「さあ?……でも、この形は通信機みたいですね。」


「え!?……何それ?」


「通信機ですよ。遠い人と話せて、顔の表情も分かって結構便利な魔道具ですよ。」


 この時、不運にも先生は居なかった。

 家に居たのはコロのみであり、このシオン・マクロは前回出て来た名前なのだが、赤の他人の名前を覚える程俺は律儀では無い。

 というか、ギルドなんて興味すら無いのだから覚える必要なんて無いと考えている。


「どう使うの?」


「この包みを解いて、机の上に置けば直ぐに使えますよ。」


 ということで!バリッ!バリバリッ!と勢いよく開封した。

 魔道具と言われている通信機なる物!水色に光り輝く水晶の玉の様に綺麗で高級感があった。


「コロ大変だ。このサラサラ!もっと布で磨けばツルツルになるぜ!」


 俺が超ハイテンションとなり、水晶に対して『こうすればもっと良くなる』等ほざいていると、どっからともなく声が聞こえて来るのだ。


「あ!この水晶から聞こえて来るぞ!?」


 思わず俺は水晶に耳を当てた。

 俺の行動はコロを引かせたばかりか、相手からの通信と映像すら出ない始末。


「ボス……これの使い方としては、もうちょっと離れた方が聞こえるし見えますよ。」

明日もヨロシク

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