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義賊~暁の林檎  作者: ふ~ん
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大聖霊その1の効果

こんばんは

「いや!贅沢よ!!しかも男女で別れているんでしょ?」


「言わなくても分かっていると思うけど、先生は女だから女湯に入れよ。

 んで、入ったからには掃除しろよ。」


 俺はニヤニヤして、先生を頭ごなしで責め立てた。

 そう!俺は知っていた。この風呂は、かつて上位冒険者と他所から来る貴族等の旅行者しか入る事が出来ないと言われていた風呂なのだ。

 それは、何人も使用人を引き連れるのだから、とてつもなく大きくて一部空が見える程だ。

 そんなデカイ風呂は、掃除も大変だと言うことだ。


「いや、お湯が勿体無いから男湯に入るわ。」


 なのに、お湯が勿体無いという理由だけで“男湯に入る”とか言い出すとは思いもよらず


「言っとくけど!俺は男で他も男なんだぞ!!」


「大丈夫。体は見ない様にするから。」


 男湯と書いている以上、俺達で支配したい!ってのが言いたい俺は『男湯は俺らの聖地!そう思うよなアル!?』と男の中の男代表の一人に聞いた。


「いや、俺は大賛成ですよ。掃除も一人増えて楽になるし……。」


 と言うわけで、アリサ先生は男湯に入る権利をゲットして夜を越した。


 義賊の朝は早い!起きたら直ぐに窓を開けて街から聞こえる声を聞く。

 これは、街の第一声である『おはよう!』という声を聞くためだ。


 街の人々が挨拶を聞いた俺は、心から自分に挨拶を言えるようになる。

 独語の挨拶を終えると次は、腹筋背筋・馬跳び十五回をする。

 馬跳びは今日から始めた所だ!だって、骨爺さんが出て来たんだもの。自主練するにはうってつけだろう。


「ホッ!……ホラッ次は爺の番だぞ。爺が飛んだら次は俺が飛ぶからな!」


 とまあ、そんな感じでトレーニングをする。

 継続は力なりというわけさ。


 一通りやり終えフードの骸骨爺さんは『フハハハ』と響く声を出して消えて行った。


 次の修練は義賊で最も必要な手さばき……つまりナイフの特訓に入るというヤツだ。

 今、コっているのはブーメランナイフであるそれは、ブーメランの様に投げるといつの間にか手元に戻ってくる使用となっている。


 爺!ナイフが回っている時でいいから掛け声ヨロシク!と無茶ブリをすると。

 アラ不思議、クルクルと弧を描いて叫ぶのはナイフから飛び出る爺の声で『フハハハハ』声が出る。


 そんな、投げてはキャッチを繰り返して本番を迎える鍛練は、窓を開けて外に向けてのナイフブーメランの特訓だ。

 幾度と無く、街に怪盗が現れたかのような声が鳴り響いただろうか?後方のドアからは『朝から御近所の迷惑でしょ!ぼう君ここを開けなさい!』とドンドンと叩いても無駄だ。


(フッ。ここは俺の城、俺はなにヤッても許されるのだ!フハハハ。)


 心の中でナイフから出る声を復唱していると、鈍く重い音が鳴ったと思ったら


「グァバシャァァ!!……うるさいって言ってるでしょが!!」


 先生が壁を突き抜けて来た。


「チッ。気が反れたな……さ、もう一度寝よう。」


 こんな事を言っているが、手はガタガタと震えアリサ先生にお尻を向けない様にジリジリと距離を保ちながら、ベッドに尻を押さえ付け隠して俺は身を隠す事にした。


「起きなさい!あんな大きな音を出して、起きないって言うの!?そんな身勝手に育て上げた覚えはありません!」


「コロが“ご飯できました”って言ったら起きるのー!それに、俺は義賊道に乗っ取って生きているから。

 俺は先生のドンなんだぞ!?俺が法律だい!」


 と言ったんだけど


「ボス!?どうしたので?」


「イエ。朝早く起きたので、朝食の御手伝いをしようと来たのです。

 私は、ボスに起こされたので仕方無く付き従っているだけです。……ね?そうですよね??」


 『俺に起こされた』という部分が強調された言い方だ。

 せめてもの抵抗で、俺は無言の意思表示をして朝食の手伝いをした。


「遅い!遅すぎるぞアル!」


「えぇー!?ボス早いッスね。

 さては、今日の特訓は何やら違う音が出てましたが……何かしましたよね?」


 ここは大きく頷き


「ああ!また、あの骨爺の声が聞きたくなってな。大聖霊は呼び出さずに、声だけを発する事に成功したのだ!

 そう!聞いて驚け!!ナイフブーメランをすると……と、言うのだよ。フフフ。」


 一階に降りて、大きなテーブルに四人が座っている所で『フハハハ』と声が出るナイフを実演。

 ナイフの飛び様を、コロとアルが見た時は『あー……あの音はコレだったか』という反応を見せていた。


「ドンドンドンドンドン!!

 ……大丈夫ですか!ここから不快な声が聞こえましたが?大丈夫ですか!?」


 俺ん家のドアを、結構強く叩くヤツが現れた。

 そいつは、尚も話しを続ける。


「今、グレイン聖騎士団で街の住人から『あの声を聞くと悪寒が走り商売どころじゃねえ』とかの訴えが続出してます。

 我ら所属の鑑定士によると、【あの声】には『疑心暗鬼や自信喪失』といった効果があり、耐性が無いお年寄りは歩くコトすら出来ないという例も有ります!」


 ……マジか?

明日もヨロシク

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