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望まぬ再会

ーーこの記憶はいつの頃のだったか。もう、それも覚えていないくらい昔の事のように感じるーーー









自分は確かにこの場所に来て救われたとは思う。思うのだが、流石にこれは無いんじゃないか...?


「なんっで司令官がわざわざ出てくる必要があるんですか?!!」

「まあまあ、響さんもストレス発散したい時もあるでショ。若いのにカリカリしてたら禿げるよ?幸多くん。」

「だれの!せいだと...!!......もういいです。」


一個組織を潰すなかなかハードな任務とはいえ司令官が出てくるのには賛成しかねる。そもそも一応最年少である自分が、なぜツッコミなどしているのだろうか。このままだと本当に禿げそうになる。今回のメンバーで心配なのは司令官だけでなく、いく先々で問題を起こす人達ばかりなことだ。

基本、決まった二人一組で任務に当たるのだが、(自分は慎也さんだ)今回は5人で済ませるので普段関わらない人と息を合わせなくてはいけなくなる。それでも優秀なこの人達だから問題はないのだろう。

自分以外の五人のメンバーは、清水司令官、慎也さん、

マサさん、雪弥さん、怜さんだ。清水司令官はマサさんと、雪弥さんと怜さんは問題を起こすコンビの筆頭だ。性格はともかく、能力の相性がすこぶるいいので任務達成数がダントツで多い。(腹たつ)



一刻も早くこの任務を終わらせると胸に誓った。一応。





怜さんは幼い見た目だが、22歳と雪弥さんより2歳も年上だ。言動も時々子供のようでいつも忘れがちなのだが、能力は強い。特に夜。“闇”を操り、自らも闇へ溶け込むため何処からでも出てくる。一方、雪弥さんの能力は身体能力強化で酷くシンプルだが、身体自体は脆いので武器を使用して戦う。闇で武器を精製し、雪弥さんがそれを使い前で、怜さんが後方で支援を行う。(たまに敵を串刺しにする)それがあっているのだそうだ。実際強いし。

今回自分は見ているだけでも良さそうだ。


「幸多く〜ん。今日は随分静かだね〜。」


慎也さんがなぜかまた絡んで来た。毎度のことながらよくやると思う。


「いつも通りですけど、今日の任務について考えてただけです。」

「自分は何もしなくても良さそう、って考えてたりしてたんじゃないの〜?」

「アンタじゃあるまいし考えてません。変なこと言わないでください。」


なぜこうも無駄に察しがいいのか...自分がわかりやすかったりするのだろうか?


「お二人とも、そうこう言ってるうちに始めますよ。各々好きに動いて結構ですが、目的は忘れないように。

プロテクトには十分注意をしてください。緊急事態かゴッドズ・ブレインの破壊ができたら、皆を集めてくださいね。それでは!」


はやっ...もういないし。どんだけストレス溜まってるんだあの人は...。多分コンピュータオタクでもあるから、破壊される前に色々見ておくつもりなんだろうか。絶対その途中でやらかすパターンだな。とっとと見つけてしまおう。


「じゃあ幸多くん、俺たちも行こうか。もうみんないないし。」

「...俺たちで破壊してしまいましょう。どうせ敵は派手に暴れるあの人達のところに向かいそうだし。」

「確かにね〜。」





本当にただの医療施設じゃなさそうだ。何に使うのか見当もつかない道具がチラホラ見える。慎也さんは興味深そうだが、半ば引きずるようにしてそこから離れる。医療の心得があるからだろうが、目的はそこではないので素早く移動させてもらう。

それにしてもここは広すぎる。地下もありそうだししらみ潰しはきつそうな雰囲気だ。


「幸多くん、響さんから連絡入ったよ。怪しげな扉発見したって。なんか電子音も聞こえるから間違いないんじゃないかって。」

「逆に怪しいんですけど、罠の可能性はありませんよね?」

「行けばわかるでショ。幸多くんの異能でぶっ壊すつもりじゃない?」


そうと決まればさっさと行こう。コンピュータを破壊してこの任務は終了だ。余った時間で姉の手がかりを当たりに行こう。

「...幸多くん、焦ってるなぁ......」

「何か言いました?」

「いや、何も。じゃあ行こうか。」






「やっと来ましたか!この扉ですよ。銀行の金庫ばりに厳重でわかりやすいんですよ!!」

「うわ...ほんとだ。まあ簡単には開けられそうもないよね。幸多くん頑張ってー。」


やっぱりコンピュータをじっくり見てから破壊するつもりだ...。言われたことには従おう。その方が早く終わるなら......。


自分の“異能”によって鉄の扉がひしゃげていく。この方法なら、中の被害がなく観察できるからだ。縦に細長くしたかつて扉だったものは脇に捨てておく。


「やっぱりすごいですね、幸多くんの念動力は。」


そんな言葉を聞き流しながら部屋に入り、辺りを見回す。最初に感じた事は 白 だった。さまざまな機器がひしめきあってはいるが、部屋全体が白い。

一際目に付いたのは、部屋の中心にある巨大なポットだ。コードやらなんやらとんでもなく複雑に周りにつながっているが、おそらくあれがゴッドズ・ブレインだろう。清水司令官が早速齧り付いている。


「これは...?今までに無いような......いや、一度どこかの試験会場で見たことがあるような........!!待ってもしかするとこの中に...。」

「えー響さん!俺にも見せて!!!」

「マサさんはダメです!いつもそうやって壊しちゃうでしょ!!」

「壊すのが目的でしょ!!そもそもすぐには壊さないからもっとよく見せてよ!!」


子供のようなやり取りをしている。雪弥さんも怜さんも興味ありげに近づいているし、慎也さんは面白そうに見物している。時間がかかるのは御免なんだが。


「慎也さん!もしかしたらこの中に人が入ってるかもしれません。出すの手伝ってください!幸多くんも!!」


まじか。コンピュータじゃなかったっけ。そんな疑問に答えるように慎也さんが言う。


「人の脳を媒介にして高速の演算処理を可能にしているのかも。それでも機械との同調なんてしたらすぐに壊れちゃうと思うけど。」

「それなら...異能ですかね.....それでも相当な負担になりそうですし、おまけに記憶にまで悪影響を与えそうです。」

「ってことは、記憶曖昧な異能者がこの中にいるってこと?幸多くんみたいだったら嫌だなぁ。あっ開きそうだよ、一応構えといて。」


獣の呻き声のような音を立てて開いた中にいたのは白い服を着た、子供だった。その姿になぜか心臓が嫌な音を立てる。


「まさかの子供かぁ...まあ使いやすくはあるんだろうけど。記憶の蓄積も少ないし。」


頭には機器がはめられていて顔はほとんど見えない。かろうじて見える口元は酷く青ざめて見えた。また、心臓が嫌な音を立てる。

体の線の細さや、頰のまろさから女の子であることはなんとなくわかる。ーー顎の下の黒子には見覚えが、あった、気がするーー


「外すよ。」


そう言い慎也さんが頭の機器を外す。現れた顔はずっと探し求めていたもので、だからこそこんな形で会いたくはなかった、姉ーー最上悠理だった。


「姉さんっ!姉さんっっ!!どうしてこんな......!」

「ーー......だ.............よ」


目が開いて、口がわずかに動く。


「だい...じょうぶ...だよ.....」


記憶の中の姉よりだいぶ華奢な体で、黒だった髪は白に変わっていた。母譲りのままで目は自分と同じ緑だった。声もそのままでーーー


「汚らわしい手で我らの“神”に触るで無いわ...!!」


ここの研究員だろうか、ともかくそれを目にした後の記憶がすっぱりと抜けていたーーー









登場人物

鐘堂怜(しょうどうれい) 22歳。成人済みだが、雪弥からはどう頑張っても高校生と言われるぐらい幼い見た目をしている。たまに言動も子供のようになる。闇を操る異能者だが戦闘はあまり得意ではない。頭はあまりよろしくない。完全に日本人の名前だが、いろんな人種の血を引いているため明るい茶髪に青い目をしている。雪弥とは昔からの腐れ縁。


逢魔雪弥(おうまゆきや) 20歳。怜とは対照的に背が高く、ヤンキーのような見た目である。髪を赤に染めており、舌にピアスが付いている。身体能力強化の異能だが元々身体能力が高いため非常に強力である。目は元々赤い色をしている。任務がないときは、怜や他の仲間を誘いもっぱらゲームをしている。家が特殊な家系らしい。



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