Ⅳ
レスト商会の次男だ…私を見るたびに貧乏とバカにしてくる。
はやく帰りたいけど、お世話になっているレスト商会の息子なので、後で家で何を言われるかわからない。いつも言われたい放題言われるのが凄い嫌だ。でも、我慢しなくては。
「そんな、粗末な服を着て恥ずかしくないのか。」
彼は取り巻きの二人を連れて、会うたびいつもバカにしてくる。貧乏だ、服がみすぼらしい、貧乏の匂いがする、お前と結婚するやつなんていないだのなんだの本当に嫌いだ。
「ごめんなさい」
「アルセン様、こんな貧乏人に絡むなんてアルセン様の格が落ちてしまいますよ」
「そうです、アルセン様時間の無駄です、こんな貧乏人」
いやらしい笑みを浮かべながら私を蔑むように見る。
絡んできたのは、そっちなのになんでそんなことまで言われないといけないのだろうか。
「そうだな、こんな貧乏人とつるんでいると僕まで貧乏になってしまいそうだ」
そういうと取り巻きと一緒にいやらしく大きな声で笑う。
ムカつく、下を向き目を合わせず落ち込んでいるような雰囲気を出す。はやく帰りたい。
「チッ 行くぞお前ら。 貧乏人が街を歩くんじゃねぇぞ」
最後にこちらをひと睨みした後に取り巻きとともに歩き始める。取り巻きも何かを言いながらアルセンについていく。でも、どうでもよかった、今までならお母さんに心配をかけさせないために噴水の近くでゆっくりして落ち着いてから家に帰っていたが、お母さんと卵と赤い木の実ののおかげで本当にどうでもよかった。はやく帰りたくて仕方なかった。
「ただいま!」
「お帰りなさい」
朝とは違いお母さんの元気な声が聞こえる。
「おじちゃんがね、赤い木の実をくれたんだ。これを食べれば絶対お母さん元気になるよ、はやく食べよ!」
寝室のドアを開けると卵を抱いているお母さんがいた、顔色が朝よりいい。
「お母さん、大丈夫なの?」
「えぇ、なんだかこの子を抱いてたら体調が良くなったの。チスのおかげね、綺麗なリンゴね剥いて食べましょ。」
お母さんはそう言って抱いていた卵を私に丁寧に渡してくれた。
「あなたのおかげなのかしら。」
優しく撫でる
「ありがとう」
そういうと、鳴き声が聞こえた気がした。
「もしかして、あなたが鳴いているの?」
卵は何も答えない。
「剥けたよ」
お母さんの元気な声が聞こえる。
「今、いく」
卵を毛布でくるみ大切そうに持ち歩き始める。
「卵も一緒に食べるの?」
「うん!」
「大好きね、お母さんになった見たいね」
お母さんにお母さんって認めてもらえたようで凄い嬉しかった。