表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/6

夢去りし学園祭

ぜんかいのおはなし~!


メイ達のバンド・ユニットが演奏しました。

おしまいっ♪

◇     ◇     ◇     ◇


「では、当別奨励賞の発表です!」

司会の西村が手際よく舞台を捌いていく。

「法学部有志連合によるダンスユニット、Turn-E-Gets! 惜しかった! 単位は貰えそうもないが、おめでとう!」

会場に笑いと拍手が起こる。今のところ、我らが富野研はまだ名前が出ていない。

「それではいよいよ第3位から発表していこう!第3位は…」

ドラムロールが雰囲気をいやでも盛り上げる。

「第3位! 教育学部山崎研究室によるピタゴラ装置、カセットくん!」

おおおおおお!…

観客がどよめいた。思い返せば、よくもまぁ短時間であれだけ精巧なピタゴラ装置を組み上げたものだ。本当に感心する。アレを構築するまでには、相当な時間と労力を要しただろう。妥当な位置だ。


「ではいよいよ1位と2位の発表だ! 同時に行うから、恐れ入れ? では発表だ…!」

ファンファーレとドラムロールがいやでも観衆の興奮を沸き立たせる!

「第1位、院生混合チームによるジャズユニット! 第2位、農学部混合チームによるアンサンブルオーケストラ!」




あ…あれ?

今、なんて言った?

富野研(ウチ)はノミネートもせず、なのか?

一体どういうことなんだ?


「いやぁ、どこも接戦でした。どこが1位をとっても不思議のない…」

待て、お前は何を言っている…?

「選考は本当に難しい状態でした。投票した人も選考委員会の面々も本当に難しい…」

だから、何を言って…





「異議あり!」


どよめく観客たちも意に介さず、発言したのは… TARAO!?

「このボクが異議あり! と言っている!」


観客たちは顔を見合わせた。そして、誰もがその異議を肯定した。

「ボクは記録していました。ここにいる観客がどの団体に投票しようとしていたのかも、全て観察して、記録していました!」

「お、おい、TARAOクン… コレは厳正な結果であってだね…」

「笑止!」

こうなったらTARAOクンは止まらない。

「エンターテインメント性においても、キャッチーなパフォーマンスにおいても、極端に突出した団体はひとつしかない!」

「あ、あの団体は失格だ! し… そうだ、書類の不備があってだね?…」

「書類の不備? あれだけ徹底して不備をチェックしたのはボクだ! お忘れか、先輩!?」


ダン!

誰かが抗議のタップを踏んだ。


ダン! …ダン! …ダン!

その足音は次第に大きく、会場内に、外に、響き渡った。

ダン! ダン! ダン! ダン!

「…お、おい… 静粛に… そうだ、皆静粛に!」

しかし、抗議の音は鳴り止まない。むしろ大きくうねって西村たちを追い詰めていく。

TARAOクンはステージに向かって歩み始めた。観衆はあたかもモーセの奇跡のごとく海が別れたように、TARAOクンをステージへと誘う。そしてステージに立つと、観客の方へ振り返り高らかに宣言した!

「優勝は…、K大工学部富野研有志によるガールズバンドだ!」


歓声が起こった! 拍手も、口笛も、何もかも。

そして、拍手がメイ達をステージへと呼び寄せる。

対象的に、あわれにも西村たちはすっかりステージの脇へと追いやられてしまっていた。

TARAOクンは言った。

「あれだけ見事な演奏を聞かせていただいたのに、不肖の先輩がご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません…」


◇     ◇     ◇     ◇


「終わってしまったんだね…」

沙耶が名残惜しそうに呟いた。

「ええ。でもそのかわり、あの瞬間は”永遠”になったんです。こんな素晴らしいことは人にしかできません。たとえ映像や記録は残せても、その時の感動を共有できるのは人だけ、なんですよ」

メイが遠い目をしながら、どこか淋しげに呟いた。

「それにしても、だ。本当によくやってくれたな。本当に感心したよ。メイも沙耶も。そしてみんなも」

「オンナの意地、ですもん」

メイがニッコリと笑った。

そこはステージのあった中央広場。その街路樹だけが俺達を見ていた。


◇     ◇     ◇     ◇


「がははは… 土佐~の、高知~の、はりまやば~しにゃ… とくらァ♪」

研究室の戻ると司馬たちはすっかり出来上がっていた。その中には舞衣姉さんに弄り倒され泣き崩れる西村と、右京・左京からの手厚い接待を断り続けるTARAOクンの姿もあった。あれだけのことがあったと言うのに、本当は仲いいんじゃん。

How beautiful it is to have good friends...

この言葉をもって、このお話を終えようと思う。


◇     ◇     ◇     ◇


ああ、そうそう。追記だがな。

TARAOクンは来年の学園祭実行委員会の会長を務めることとなった。


そして件の西村達は、だな。

学内と周辺の町内を、何とも恥ずかしい格好をして引き回しの刑に処されていたのであった。


ちなみにそれはどんな格好か、だって?

それは彼らの人権にも関わることなので、どうか勘弁してやってほしい。

そのくらいの優しさは人として必要だろ?

ハイ、今回の番外編、いかがでしたか?

イロイロな大人の事情が飛び交う、ビミョーな展開でしたね~。

(当初はバンドの歌う歌のタイトルやアニメ名・キャラ名が明記されてたのよ?)

そういう訳で、次はクリスマス会で番外編をやってみようかな?とか考えております。

(本当はこの時期、医者に小説も書くなと厳命されてたのだ)

(でも書くなと言われると余計に書きたくなるじゃん?)

おっと、誰かが来たようだ。

それでは皆様、今度は本編の方でお愛しましょう。

さよなら、さよなら、さよなら~♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ