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狂った果実!

ぜんかいのあらすじ~!


いよいよメイ達のステージです!

垢バンされないか、ドキドキモノです…。

◇     ◇     ◇     ◇


舞台にスモークが焚かれた。舞台を照らすロアーホリゾントライトの色は、眩しいほどの真白。

やがて、ファンファーレが流れてくる。これは… ワルキューレの騎行!?

そのスモークの中から、演者が現れ、それぞれの配置へと移動する。


彩花が、メイが、秋帆が、右京・左京が、そして舞衣姉さんが楽器を手に… 

そして配置に…、着いた。

あれ? 沙耶は? …沙耶の姿がない。一体なにかのトラブルでも起こったのだろうか? 俺は舞台袖の方に目をやる。しかし何ら変わったような様子はない。恐らく何らかの演出なのだろう。俺はそう思うことにした。


後ろを向いたままの彩花のギターが上に大きく振られて、会場いっぱいに響き渡るグリス…!

BGMの戦乙女(ワルキューレ)は過ぎ去り、静かに演奏が始まる。それは誰もが想像もしないことだった。

「こ…これは…!?」

TARAOクンが小さく叫んだ。

「アニメ…それもGのBGM、それも主人公と兄貴、ヒロインが地上の大地に降り立つシーンだ!!」

キーボードが、ギターが、ベースが、ドラムが、それぞれが躍動感を持って登場人物たちの登場を歓迎するかのようだった。

『目ェ醒めたか? (中略)…おれが信じるお前を信じろ…!』

スモークにレーザーで文字が次々と映し出され流れていく。

それに合わせてベースが短く、そして迫力ある演奏を披露する。

『…わかってるさ、兄貴…』

台詞の文字が映し出されるや否や、

「俺を誰だと思っていやがる…!」

主人公のキメ台詞を叫びながら、ピンスポットに照らされて沙耶が登場した!

曲調は『空色Always』のイントロへと流れ込み、一瞬にして舞台は会場の歓声と熱気に包まれる…

そしてイントロが終わり、ワンコーラス目に突入した!


「ほぉ…」

正直言って、俺はカラオケにはあまり興味がない。というか、音痴なのだ。わざわざ恥をかきに金払っていくこともない、そう思って今まで沙耶からの誘いを断り続けてきた。いや、仕事でそれどころでなかったのが主な理由だが、今ほど一緒に行かなかったことを後悔したことはない。上手い! こりゃ本物を超えるぜ、きっと。

「…ま、まさか…。教育学部の歌姫、島津沙耶先輩…!?」

TARAOクンがえらくビックリしている。沙耶のやつ、そんなに有名なのか?

「どういうことだよ?」

「知らないんですか? 彼女は去年のミスK大で歌を披露、その歌声故に歌姫の異名を持つことになったんですよ? 優勝こそ逃しましたが、特別賞に入選した実力派です!…あなた、関係者と言ってましたが、本当に知らなかったんですか?」

知らないも何も、そういうこと全く聞いてないぞ。去年の学祭でそんなこと演ってたのか? どうりであの時期は姿を見ることが少なかったよな?


沙耶の伸びやかで抑揚のある歌声に、観衆は皆グレンラガン…とやらの物語に引き込まれているようだった。なるほど、歌詞をよく聞いてみるとちゃんとストーリーになっている。そうか、そういう少年の、成長の物語なのか…!


ツーコーラス目があっという間に過ぎ去り、間奏に入る。

曲調は淋しげに変化し、ギターがまるで、まるで…。

「泣いている… ギターが泣いている…! 兄貴を失って、主人公が、ヒロインが、ライバルやチームの皆が悲しんでいる…っ!?」

俺には何のことかサッパリわからないが、そうなのだ。メイのギター・ソロは見事だった。

「泣きのギターといえば、カルロス・サンタナをおいて他にありません。まさかこんなアレンジをしてくるとは…!?」

これまたサッパリわからなかった。が、言わんとしていることはちゃんと伝わっている。安心しろ、若者よ。


メイと入れ替わるように彩花が登場した。そして、アルペジオ。

8ビート… 16ビート…

動かす指はスピードを増していく。そして…

「32ビート!? 初めて生で拝むことができました! まさかこんな近くに、こんな逸材が埋もれていようとは…!」


『先輩、こんなもんで驚いちゃいけませんよ。今練習中ですが、本番ではもっと凄いものをお見せしますからね…』

果たして、彩花が言っていたのはコレのことだろうか?考えていると、突然音が急変した!


それをもし言葉にするとしたら、つまりこうだ。

『ボウイングのうねるような連続音が、しかし力強さと明瞭な太さはまぎれもなく一音一音ピッキングされたまま唸り続けている』


「ろ… 64ビート… マジ… かよ…?」

誰もが言葉を失っていた。そんな中で唯一人、このTARAOクンだけが健気にも解説を続けるのだった…。

「デジタルサウンドでしかなし得ないと思ってた…。しかし何だ、この重厚感あふれる音の奔流は!? これは、今ここにいる者にしか体験し得ない、奇跡だ…!!!」

彩花がこちらを観て、ウインクしていた。恐らく上手くいったということだろう。音は再び元に戻り、次のテーマへと移行する。


「…わかったぞ。今のは復活した主人公の、主人公たちの大活躍を意味していたんだ…!」

「?」

だから、俺にもわかるように説明してくれ。

しばらくして、彩花から主導権が秋帆に移った。今度は重く、激しいBGM…。

「中盤最大の敵…中ボスとの決戦ですね…。いや、成長後の最終決戦まで行っている? 明らかに、最終決戦のメロディも織り込んでいる…」

TARAOクンは興奮気味に叫んだ。

秋帆の演奏に華を添えるように、右京・左京が付き添った演奏をしている。このあたりは普段の主従関係そのままと言ったところなのか?


そして、最後の舞衣姉さんのドラム・ソロ。

「ま… まるでラスボスとの最終決戦… 主人公とのガチな殴り合いを観ているようだ…」

TARAOクンは俺の観ていない何かを観ているようだった。…俺も少しはグレンラガンとやら、観てみようかな?

激しいビートを叩き込んで、やがて、メンバー全員がハーモニーを奏で始めた。

その奥で、静かに刻まれるビート。

それは間奏の終わりを告げるものだった。


サビに入った。

TARAOクンも、観客も皆、瞳を見開いたまま微動だにしない。


演奏終了。

…こうして、短い持ち時間の15分が終了した。


静寂が、会場を包み込んでいた。誰一人動くこともなく、声のひとつも上がらない。

失敗したか!? …俺は拳に力を込めた。




「ブラボー!」

どこからともなく、声が上がった。この声を皮切りに、一気に歓声が上がる…!!

誰もがそれぞれの顔を見合わせた。そして、メロイックサインで彼女たちの演奏に応えた。

歓声はうねりをあげ、波打って会場を支配する。


成功だ!

舞台では、メイや沙耶たちがお互いの健闘を称え合っていた。

後は観衆の皆々様よ。どうかこの演奏を気に入っていただけましたら、清き一票を…!


ハイ、いろんな意味でドキドキもののお話でしたね~…。

私も今後の執筆がどうなるか、本当に心配しております。

怖い怖い、本当に怖いですね~。

ではそろそろお時間がやってまいりました。

それでは皆様、さよなら、さよなら、さよなら~♪

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