反撃
「艦長、後方より熱源、こちらに向かってきます。ミサイルです。」
レッドサンダーの艦内は、パニックに陥った。しかし、何処から?誰が?疑問しか残らない。
正三角形の上についたレッドサンダーの艦橋をめがけて飛んでくる。
次の瞬間、艦橋は大きな揺れに襲われた。ただ、艦は、壊れていないようだ。
シートベルトをしていないものは、激しく体が投げ出された。
操舵手が呟いた。
「どういうことだ。」
練習艦のモニターには、真っ赤な色のついたレッドサンダーの艦橋が映し出された。
「プログラミング式デコイは高額なのに、木っ端微塵に吹き飛ばして、請求は、クーデター軍に送りつけてやる。」
カザミ艦長には、多少、余裕があった。
「デコイ、発射。」
「熱源反応です。我々と反対方向に離れていきます。」
「おのれ、我々をバカにして。」
先ほど、受けた攻撃が練習用のペイント弾であることに、すぐに気がついた。そして、完全にイリエンの判断を狂わした。
「180度回頭、全力で熱源を追え。」
全力で反転し、速度を上げて追うレッドサンダーが、練習艦の脇をすり抜けて行った。
練習艦は、素早く回頭するとレッドサンダーの艦尾についた。
「後方にも熱源あり。」
「そんなバカな、挟まれたのか?」
イリエン艦長は呻いた。
次の瞬間、その熱源からさらに別の熱源が別れた。気がつくと、レッドサンダーのメインエンジンは、大破させられた。ミサイル一発で沈む艦ではなかったが、完全に身動きがとれなくなった。
後方にあった熱源は一瞬激しく熱を発して、姿を消した。レーダーやカメラには、もう何も映らない。