旅への誘い(1)
俺たちはそれから あらゆることを語り合った。 俺が知ってる限りの日本社会での女性の扱われ方。世界での扱われ方。
少女は違う世界というものが理解できず、旅を続けた先に、日本もアメリカも存在するのだと思っているようだった。
それと同時に 俺もこの小さな村での女の子、また女性の扱われ方を知った。 学校にも行けず、結婚も自由に決められないという事も。
「へー シブは本当に自由な世界に生きているのね! 行ってみたいなあ.....私も.....」
少女は寂しそうにそう呟く。
自分の住む世界が自由な世界だとは考えた事もなかった。 学校に行って、親の言う事を聞いて....少なからず、親に反抗する前の俺は、自分以外の人間の自由を羨んだものだった。
「外の世界ってどんなだろ......」
メルは噛みしめるように言う。
俺を鳥かごの中から出したのは真だった。大事な友が俺を連れ出してくれた。 じゃあ 俺だってこいつを鳥かごから出してやれるのか....? 今日会ったこいつにそこまでしてやる義理なんて.....
でも、次に出た俺も言葉は後のことなど考えてもいなかった。
「じゃあ 一緒に旅に出てみるか?」
「え......?」
少女は一瞬かたまった。 それから 口を開いた時だった。
「何をやっている!街からの害虫め!」
小屋に扉を荒々しく開け、男たちが入ってきた。
「メル!お前には監視役を頼んだはずだぞ。 異種物同士 お似合いだからなあ」
男はメルを虫でも見るように見つめる。
「あ、あのう.....」
「さあ!お前はもう用は無い! この街から来た害虫の取り調べの時間だ!」