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異世界は少しこの世界に似てる  作者: 世良雄介
カウントタウン編
8/9

好奇心は隠せず

女の子は俺を柵越しに覗き込んでいる。


「あ、あのう....」


「君.... ここはどこ...かな?」


女の子はあたりを見回して声を潜めて 囁く。


「ここは村の古小屋だよ。 ここに悪い人は連れてこられて、いれられちゃうの。 あなたは 街から来た悪い人なんでしょ?」


「いやいや!俺は 街から来たわけでもねえし、悪い奴でもない!」


「そ、そうなの....」


俺の張り上げた声にびくついて、少し 顔を下げる。


「悪い.... ちょっと興奮しちまって....驚かせちゃったな」


今度は女の子は目を丸くして こちらを見ている。


「なんで 謝るの?」


「そりゃあ、男が女の子を脅すようなことはあんま良くないだろ。 俺の同級生でも女子を いじめる奴はいるけど、いつも胸糞悪かったんだよ。 父さんも....女の子は丁重に扱えって言ってたな...」


するとこの黒髪の少女はさらに顔を近づける。


「女をそんな風に扱うなんて、やっぱりあなたは変ね。それはあなたが街の人間だからなのかしら...?」




「街の人間だから...? 何 言ってるの?」


少女の目は俺の真意を見ようと必死だ。


「さらに聞いたことあるわ....街では女の子も学校に行くそうね....」


彼女は目を細める。


「私、一度で良いから 学校に行ってみたいの! お話で聞いたの....学校はすっごく楽しいところなんだって!」


彼女の目はキラキラしながらどこか悲しげだ。


「この村には学校が無いのか?!」


「あるけど....女の子は学校には行かないの.... 。 だけどね! お父さんが街の事を色々話してくれるの! お父さんは月に一度 街に村の野菜を届けに行くのだけど、その時にたっくさんお土産話を持ってきてくれるのよ!!」


「君は...街に行ったことないの?」


「メルでいいわよ!」


「え?」


「私の名前はメル! 生まれて15年、村を出たことはないわ..... 街に一度でいいから行ってみたいて思ってるの!!」


メルは無邪気に語る。


「ねえねえ! あなたが知ってる 街のことを教えて!!例えば...」


「しぶさき....」


「え?」


「俺は渋崎!!シブとでも呼んでくれぃ」


少女は身を乗り出す。


「シブ! 街のこと!教えて!」


「だから...俺は街から来たんじゃないんだど....」


少女の必死さに答えないと後味悪そうだ。




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