龍の祖先は恐竜で友達100人できるかな
友人にお題をもらって時間を区切り練習としてかいてみました。
その昔、人間なんて生まれてもいない昔々、地球は恐竜という生き物で溢れていた。
今では考えられない、ともすれば空想上の生き物と言われてしまう神秘の生き物。
実在していたことが辛うじてわかるのはその亡骸が地中で眠っていたからである。
さて、今までのは一般常識。これからが本題だ。
私たちは恐竜が絶滅したと信じて疑わない。それは、隕石が地球に衝突したからであり、私たち人間が地球を埋め尽くしているからであり、恐竜の姿が確認されていないからである。
だが、どうして恐竜が絶滅したと断言できよう。私たち人間が地球にいる年数と恐竜が地球にいた年数、それはどう頑張って考えても恐竜のいた年数の方が圧倒的に上だ。
そして恐竜が知性を持っていないなどと決めるのは愚の骨頂である。何せ、進化する時間は私たち人間より恐竜の方が多く持っていたのだから。
……ここまでつらつらと述べてきたのは私の精一杯の現実逃避。
「まじで?」
『まじだ。残念ながらお前は恐竜から進化した龍、つまり我らの守り人であり、龍を身に宿している。』
つやつやと黒曜石のような黒に、巨大な身躯。髭は長くて、総合的に見れば蛇のようににょろっとしている。……そう、昔の寺院なんかに描かれている龍そのものだ。
西洋系じゃなくて東洋系の龍。目の前にそんなものが現れたら現実逃避の一つや二つ……いや十くらいはしたくなると思う。
人ってありえないものを見ると怖がるより変に冷静になるみたいね。
『我らの祖、人の言う恐竜であった時代から今まで進化を重ね、我らは生きてきた。だが、時を重ねるにつれ、我らは減り代わりに人が台頭するようになってきた。……それ自体はなんの問題もない。淘汰は自然の摂理であり規律だ。
しかし、数が減る代わりに環境に適応してきた結果、我らは大きすぎる力を得た。他の生物、特に人が欲しがる力を持ってしまった我らはその存在を知られぬよう、地球に残された僅かな地に隠れて住み、その地を最も進化した同胞が守ってきた。それが今代の、お主――凛だ。』
わぁーお。まさかのお前人間じゃない発言。
「は、はあ。でも私、残念ながらいたって普通の高校受かったばかりの十六歳、女子ですよ。
特別な力があるわけでもなし、頭がいいわけでもない。勿論、器量も平均です。
そんな私に龍の血が流れていると言われても……。」
『特別な力とはどのようなものをさしているのかは分からないが、そなたはしっかり龍の力を持っている。
今までは眠っていただけだ。言うなればそなたは人の形をした龍。それも我らの使うような擬態などではなく、人の器を持って生まれたという最も進化した存在だ。』
「そ、そうですか。」
あまりにも鬼気迫る話し方だったから思わず頷いてしまったけど。
このSFとファンタジーが混じった状況に私は混乱を極めている。
なんかさっきから短かった髪が腰まで伸びるという呪われた市松人形状態になってるし。
水たまりに映る私の目の色が厨二病な赤になっている気がする。
私の容姿が非常に痛い姿へと変貌しているのだ、この龍さんと出会ってから。
……まあいい。
この際このわけのわからない状態は百歩譲って全部横に置くとして。
明日は念願の第一希望だった高校の初めての登校日。
つまり。
「入学式どうしよう……。」
こんな痛い姿じゃ友達できない。