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第46章

 いろいろ口実をもうけて、私をボークラール本宗家の女相続人にすることを阻止しようと、ジョン皇帝はされたが、キャロライン皇貴妃殿下の口添えと状況の変化が、私をボークラール本宗家の女相続人にすることになった。

 

 ちなみに、エドワード殿下にしても、私との恋の成就、結婚に向けて何もしていなかったわけではない。

 私達が16歳の時に、私に1年、待ってほしいと言った後、ご両親、チャールズ大公とメアリ大公妃に対して、自分とアリスが18歳になった暁には、結婚を認めてほしいと折に触れて働きかけていたのだ。

 チャールズ大公は、そうはいっても、自分の最愛の人、アン先代大公妃を、ボークラール本宗家の配下に殺されたという想いから、エドワード殿下と私との結婚を断じて認めようとしなかったが、メアリ大公妃がまず折れた。


 そもそも実の姉妹とはいえ、メアリ大公妃とアン先代大公妃の関係は微妙極まりないものだ。

 仲良く育った姉妹だったのだが、同じ男性、チャールズ大公を姉妹が共に愛したことから宿敵ともいえる恋敵になってしまった。

 そして、最終的にアン先代大公妃は、チャールズ大公への愛を諦め、ヘンリー先代大公と結婚。

 ヘンリー先代大公と仲睦まじい夫婦に、アン先代大公妃はなられたのだが、チャールズ大公はアン先代大公妃への愛を未だに諦めきれていない。

 メアリ大公妃とチャールズ大公の今の夫婦仲は決して悪くは無いのだが、キャロライン皇貴妃殿下やエドワード殿下といった子ども達が、夫婦のかすがいになっている側面は否定できない。

 

 メアリ大公妃は、表向きはエドワード殿下の懇願に負けて、実際はボークラール本宗家の女相続人となった私とエドワード殿下が結婚することにより、ボークラール一族を完全に取り込めることから、とうとう私とエドワード殿下の結婚に賛成された。


 そして、私とエドワード殿下との結婚の障害になっていたマイトラント伯爵家も、フローレンス嬢をエドワード殿下と結婚させることを諦めてしまった。

 フローレンス嬢がエドワード殿下と結婚することを、命惜しさに嫌がるようになったらしい。

 情けない、本当に好きな人ならば、それを邪魔する人の命を奪ってでも手に入れないと。


 そして、トマス教皇猊下も、私やエドワード殿下との約束通り、チャールズ大公に陰に陽に私達の結婚に賛成するように働きかけて下さった。


 そういったことから、私とエドワード殿下は年明け、私達が共に18歳になった暁には結婚できる目途が立つようになった。

 私はほっとした。

 そして、年明けの1月のある日、キャロライン皇貴妃殿下を立会人として、エドワード殿下と私は会うことになった。

 言うまでもなく、私達の結婚を正式に決めるためだ。


「アリス、僕と結婚してくれるかい」

「喜んで」

 私は満面の笑みを浮かべて、エドワード殿下の結婚の申し込みを受けた。

 最早、形式的な状況にはなっていたが、それでもこういったことはお互いに嬉しくてたまらない。

 エドワード殿下も、私の返答を受けて嬉しそうな顔をしたが、すぐに頭を下げた。

 一体、どうしたのだろうか?


「アリス、本当に済まないと思っている。結婚して早々に僕の子、3人の面倒を見てくれないだろうか」

 頭を下げながらのエドワード殿下の次の言葉に、私は反射的に体が動いていた。


 パーン、私の右平手が、エドワード殿下の左頬をはたいて音を立てていた。

 エドワード殿下は受け身を取られていなかったこともあり、私の平手を受けて、椅子から転げ落ち、倒れてしまわれた。


「エドワード、それが結婚を申し込んだ女性に対して言う台詞ですか」

 立会人のキャロライン皇貴妃殿下も、青筋を立てて、エドワード殿下を叱り飛ばした。

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