↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/62

幕間ージョン

 何もかもうまくいっていない。

 朕はため息を吐くしかなかった。

 大公家の手は長すぎる。

 そして、思わぬことばかりが起こる。


 まさか、帝室が力を取り戻す手段としてもっとも期待していたボークラール一族の取り込みに思わぬほころびが生じるとは思わなかった。

 やはり、キャロライン皇貴妃は、あの帝室にとって悪魔の姉妹、メアリやアンと血縁があるのではないだろうか、そうとしか思えない。


「何故、キャロライン皇貴妃殿下との間に隙間風が吹くようなことをなされるのですか?皇貴妃として理想的なお方なのに?」

 朕の腹心の下級貴族ですら、キャロライン皇貴妃をそう評価する。

 だが、あの顔、姿を見るたびに、朕は、世間では傾国の美女、朕にとっては悪魔の妹、アン先代大公妃をどうしても思い出してしまうのだ。

 どう見ても2人はよく似ていて、瓜二つと言ってもいいくらいなのだ。

 本当に血縁が無いのだろうか?


 アン先代大公妃は、現チャールズ大公の妻、メアリ大公妃の実妹だ。

 結婚前から美女との噂が高く、皇族公爵の娘と言うこともあり、朕の父、元皇帝ジェームズや朕も求婚していて、朕の側近は皇后とまで考えていた。

 だが、アン先代大公妃は、後から求婚してきたヘンリー先代大公と結婚した。

 どう見ても帝室の顔を潰す行為だった。

 ヘンリー先代大公はアンよりも20歳以上年上で、子持ちだった。

 ちなみに朕はアンよりも6歳年下で、父の元皇帝ジェームズはアンよりも15歳年上だ。

 そんな男の後妻になる方が、皇后よりもいい、とアンは宣言したようなものだった。


 これまで帝室と大公家は微妙な対立関係にあったが、このアンの結婚問題は、帝室と大公家の対立を尖鋭化させた。

 そして、「帝都大乱」の勃発。

 朕の父、元皇帝ジェームズは、極寒の地に流罪となり、自裁して果てた。

 アンも「帝都大乱」の際に焼死した。

 そして、帝室は、大公家の膝下で、全ての荘園を失う等、無力化されてしまった。


 朕は、一度だけ生前のアンに宮中の園遊会で会ったことがある。

 もっとも、既に妊娠しており、体調不良とのことで、朕への挨拶だけで退出されてしまった。

 だが、その美貌は朕に強い印象を残した。


 それから十年余りが経ち、キャロラインが皇貴妃として入内してきた際、朕は目を疑った。

 アン先代大公妃に生き写しと言ってもいい。

 まさか、アンはキャロラインに乗り移って来て、帝室をまたも苦しめようとしているのではないか。

 皇帝の義務と思い、朕はキャロラインを抱いたが、朕が全く望みもしないのに、キャロラインは朕の子、皇太子トマスをすぐに妊娠して、無事に出産した。

 トマスがある程度、成長したら、朕はチャールズ現大公によって、父と同様に退位を強いられ、帝室はいよいよ無力化するのではないか。

 それは何としても避けねば。


 保険と考えていたボークラール一族を取り込む計画を朕が本格させたのは、そのためだったが。

 キャロラインは、現当主ダグラスの妹アリスを自分の懐に取り込んでしまった。

 アリスは、大公家が親の仇であることを忘れ去り、大公家に忠誠を尽くそうとしている。

 次期大公のエドワードも、アリスに目を掛けているようだ。


 朕の姉妹、キャサリンを本人にとっては不本意ながらエドワードと結婚させたのは、大公家に対する宥和策と大公家を油断させるという両睨みの計画だったのだが、アリスはエドワードを籠絡し、キャサリンを不幸にしようとしているようだ。


 どうして、こうも物事がうまく進まないのだろうか。

 ともかくアリスとエドワードを結ばせるわけにはいかん。

 いろいろな面でな。

 朕は、今後の事を考え、思惑を巡らせた。

 だが、自分の心の中で将来への不安がどんどん高まるのを否定できなかった。 

 少し、補足説明をします。

 キャロライン皇貴妃は、実際はチャールズ現大公とアン先代大公妃との間の不倫の子ですが、表向きはチャールズ現大公が召人の侍女に産ませ、メアリ現大公妃が養女にして、入内したことになっており、ジョン皇帝らもそれを信じ込んでいます。

 そのために、アンとキャロラインは実際には母子にも関わらず、今、存命の人物では、キャロライン、メアリ、チャールズ(後、アリスは転生者なので知っています)以外には、赤の他人と思われており、エドワードですら、キャロライン姉さんとアン母さんが実の母子とは全く思っていません(最も、エドワードは生育の経緯から、アン母さんの顔を覚えていないのも大きいです。)。

 ジョン皇帝はそのために2人は赤の他人だと誤解しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。