徹夜はほどほどに キリー Side
ログホラTRPG内でキリーのロールをしているときに黒剣騎士団内でレザリックさんの仕事の手伝い(書類仕事)をしている事になった時に思いついた話です。
深夜の警邏からギルドキャッスルに戻ると執務室の灯りが付いているのに気づいた。
「レザリックさんがまた徹夜して書類整理してるのか…」
そっと覗いて見ると書類と計算した紙とを比べ首を傾げているようだ。私は声をかけず、その場を立ち去り厨房の深夜の夜食当番に飲み物を2人分用意してもらい、執務室へ戻る。
「遅くまで大変ですね。少し手を休めて、お茶でもどうですか?」
書類と数字を見比べていたレザリックさんは顔を上げ苦笑いした。
「ありがとうございます。明日提出の書類なのですが、ちょっと計算が合わなくて…」
お茶を受け取りながら疲れた表情を隠せない様子の彼に苦笑する。
彼の書きかけの書類を見ると、円卓関係の機密書類に属するもので、大地人のサポーターや彼女たちには委せる訳にはいかない物だ。書類を読んでいると…
「レザリックさん、ここの数字が違ってます。後、これは記入する場所を間違ってますね」
「ん!あぁ、そこが間違っていたんですね。助かりましたキリーさん」
飲み物を飲んで、ひと息ついていた彼は指摘した所を見て納得する。
「さて、手伝います。期限が短いものは…」
レザリックさんの机の上の書類タワー群の1つを別の机に置き直して簡単に仕訳する。
私もそこまで書類整理が得意なわけではないが、彼1人に押し付けるのは気が引けるので、手伝える時には手伝うようにしている。独身の時には事務員していたことがあるので、脳筋野郎どもよりはマシな程度だと思っているのだが、警邏の当番や円卓からの依頼でアキバを出ている事も割と多いので頻繁に手伝う事が出来ない。
ここにあるのは円卓関係の書類ばかりで部外秘のものが多い。書類整理が出来るメンバーが片手で足りるとか、ドンだけ脳筋集団なんだか…悲しくなってきた。
「キリーさん警邏から戻って来たばかりで休んでないですよね?無理に手伝う必要はないんですよ」
慌てた様子のレザリックさんを
「そんな事言ったって、レザリックさん何徹目ですか?私の記憶だと3徹目に突入していたと思うんですけど、もう少し私たちを頼ってもいいんですよ」
と少し怒った様に言うと、黙ってしまった彼を見て、書類の仕訳の続きをする。
「さて、帳簿類から片付けていきますか…」
机の引出に入れていた算盤をだし、計算をしていく。深夜の執務室に軽快な算盤の音が響く。自分が計算して音を出してる時には眠くならないのだが、眠気と戦い、書類の山と戦闘している彼には痛恨の一撃だった。
うつらうつらと舟を漕ぎ出したのを確認して、作業に戻る。区切りのよいところで終わらないと最初からやり直しになるので、今はちょっと我慢。
区切りの良いところで手を止め、席を立ち、そっと彼の側まで行くと、規則的な寝息が聞こえた。ステータス画面を確認して見ると、睡眠のBSが付いていた。
「ごくごく弱い睡眠薬と言うより、睡眠誘導剤なんだけどねぇ~。今度から私からの差し入れは出来なくなりそうだけど、仕方ないか」
苦笑しながら、彼を仮眠用の長椅子に寝かせ、自分のマントを外し、上にかけてやる。
「さてさて、朝になる前に終わらせないとなぁ~眠らせて出来ませんでしたじゃ、格好悪いったらないからな」
首をコキコキ鳴らしながら席に戻って作業を再開した。
日が昇り出し空が明るくなった頃。かけてあったマントをはねのけ、起き上がったレザリックさんは、手に持ったマントと私を見て
「やられました。キリーさん一服盛りましたね?」
して、やられたみたいな顔をしている彼に苦笑し首をすくめながら答える。
「ほっとくと、そのまま徹夜する気だったのでしょう?一応、私も同じものを飲んだんですけどね」
毒使いの私の抵抗力は彼のそれより遙かに高いのを棚に上げて言うと、苦い物を飲んだ様な顔をする。
「一緒にしないでもらえますか…そこまで抵抗力は高くないので」
「そんなに強い睡眠誘導剤使ってないですよ。平常時には問題なく抵抗出来るくらいのものですよ」
私はお茶の中に入れた睡眠薬(毒使いの低レベルで作成できる物)を見せ、肩をすくめて言うと、彼はますます苦い顔をした。
「眠気が襲ってきたところに、算盤の音はいい子守歌だったでしょう?」
笑いながら言うと、彼は悔しそうな顔を隠す様に私のマントをかぶり長椅子に倒れ込んだ。
「そこまで言うのですから、後はお願いします。会議の2時間前に起こして下さい」
「分かりました。おやすみなさい」
クスクス笑いながら言い、書類仕事を再開した。
書いていて、レザリックさんのふて寝にちょっとモダモダしてしまった…(//∇//)
黒剣騎士団1のイケメン扱いのキリーです。