表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハートフルゾンビ  作者: ひょうたんふくろう
ハートフルゾンビ
55/88

55 ミラージュモンスターカーニバル!


 最初に標的になったのは黒いイカの魔物──ブルータルスクイッドだった。


 体調にして六メートルほどはあるだろうか。十の触手をおぞましくくねらせ、淀んだ目で睨みつけてくる。表面は意外にも乾いてパサついており、サイやゾウのそれに近い。粘液がないからこそ、地上での活動が可能になったなどと言われているが、所詮は魔物なのであまり理由を考えたところで意味はない。


 まるで矢を放つかのように伸ばしてきた、いや突き刺してきた触手をミナミは頬を掠らせるようにして避ける。そのまま一歩、二歩と踏みこんだ。


 が、一撃入れようとしたところで戻す触手と前から来る触手を挟まれた。丸太のような太さの触手がミナミの足や手に絡みつき、その身動きを封じる。ガサついた肌はやすりのようになっており、絡みつこうと動かしただけでミナミの土気色の肌に細かい傷をつけた。


 そしてそのまま、触手に力がこもる。ぐっと、ミナミの体が締め付けられた。


 口などあるはずのないブルータルスクイッドがにやっと笑った気がした。めきめき、みしみしとそれをへし折ろうと力がこもっていく。普通の冒険者ならこの段階で鎧が砕かれ、ついでに体も二つ折りになっているだろう。人によっては上半身と下半身がお別れしているかもしれない。


「効くかよそんなの!」


 だが、普通でないミナミには関係のないことだ。


 締め付けられている体を力づくで大きく開き、触手をむんずとつかむ。驚いたような雰囲気を出すその化け物イカを無視し、二本同時にその触手を引きちぎった。


クァァァァァァ!


「るっせぇ!」


 叫ぶイカ。吹き出る黄緑色の体液。切れてなおびたんびたんと暴れ回る触手を軽々と担いだミナミはそれを思いっきりブルータルスクイッドに叩きつけた!


「らぁ!」


 風を切る音を何度も響かせ、まるで布団干しを扱うかのようにそれを振るう。無駄に触手が暴れるものだから制御も効かず、巻き添えを喰らったゴブリンキッズがぺしょりと潰れ、スプーンで砂糖菓子を潰したかのような感触がミナミの手に伝わった。


 断末魔をあげる暇なく肉塊と化したそれの血とはらわたが触手にこびりつきこっぴどく叩かれたブルータルスクイッドの額を真っ赤に染め上げている。輝く床も、赤く染まっていた。


「とどめ!」


 連打を受けてふらふらになったのであろうそいつの元に近づいたミナミは、大きく口を開け、犬歯をギラリと光らせて頭ごと勢いをつけてそいつの肌に齧りつく。


 触手の束の真ん中の、頭の部分だ。


 つぶり、と歯が乾いた肌の膜を突き破り、ざらついた感触が舌に伝わる。味はない。ぶちぃっと音を立ててそれを噛み千切った。


 硬く黒い皮の下は意外にも弾力性に富んだクリーム色の筋肉で、仄かに香る血のにおいがなんとも食欲を刺激する。躊躇う必要もなくそいつに牙を立てた。


クァァァァ!


 もっちりぷるんとした絶妙な食感が戦闘中だと言うのにミナミの脳みそを快楽でおぼれさせる。異世界でも、魔物でも、イカはイカの味だった。


 ちょっと牛肉のような臭みがあったがそれがまた後を引く。ぐちゃっ、ぺちゃっと三口ほど楽しんだところでそいつから生命の気配が消えた。


──ゾンビになったのだ。


「おまえは消えろ! 邪魔だ!」


 ミナミの命令に従い、生まれたばかりのブルータルスクイッドゾンビは塵芥となる。あの図体、複数の触手で暴れられたらこちらも動きづらくなることは間違いない。ましてやあれに体を傷つける攻撃があるようにも見えなかった。ゾンビ化も難しいだろう。


 戦力とするのなら、ちょうど今こちらに向かって吹っ飛ばされてきてる蛇のように牙を持ったものが──


「うぉっ!?」


 吹っ飛ばされてきたそれを反射的に掴み、勢い余って握りつぶしてしまう。雑巾を絞った時のような湿った柔らかい感覚。結構な太さだったが、この体のスペックでできないことなどほとんどない。


 首元を潰された円環の尾を持つ金色の蛇──リンガースネークはまっとうな生き物として死んでいった。ぼたぼたと血を垂らすリンガースネークの生首の眼とミナミの眼が合う。


「……」


 食べた。まずくはない。クセはあるが、珍味としてならイケるかも。


「のんきに食べてんなぁ!」


 レイアが叫びながら獰猛にいななく白い馬と戦っていた。こいつはスラッシュホースと言うらしい。見事な緑の鬣を持っているが、その足は似合わないくらい筋肉質でガチガチだ。


 カマイタチを纏ってスラッシュホースはレイアに突進する。その進路状にいた小さめの魔物が吹っ飛ばされていた。敵味方関係ないらしい。


 さっきのリンガースネークもこいつに吹き飛ばされたのだろう。今もまたこちらに吹っ飛ばされてきたボルバルンをミナミは引っつかみ、その風船のような体を正しく風船を割るようにして両手で勢いよく押しつぶす。


 バン、と大きなバルーンが割れるような音と共に臓物が辺りに撒き散らされた。気持ちの悪い濃い緑のはらわたがミナミの一張羅の装備にべっとりとつく。


 果たして、こいつは、洗濯で落ちるのだろうか。


 どことなくむかついたミナミは、パーツとして無事だったボルバルンの頭をぐしゃりと踏みつぶし、レイアのほうを見た。


「うそぉ」


 もう彼女はその場にいなかった。そこには首筋から噴水のように血を噴き出して横たわるスラッシュホースがいるだけだ。


 せっかくきれいな白い毛並みと緑の鬣を持っているというのに、その大部分が血で汚れてしまっている。地上に戻ったらゾンビにしてもいいくらいには綺麗だったのに、今は見るも無残な姿だ。


 首筋は遠目からでもわかるくらいにぱっくりと割れ、そこからピンク色の管のようなものが覗き出ていた。噴出す血流によりぴくぴくと痙攣して動いている。


 どうやら、突進をかわして急所である首をすっぱりと切ったらしい。ミナミには到底まねできない、実にスマートな殺り方だ。


 レイアはもう、その現場から遠く離れた場所で強面の恐ろしいクマに雷鞭を振るっている。


 と、ミナミはよそ見をしながらも自分の体の周りを飛んでいる蜂の一匹を蹴り飛ばす。そいつの胴体は吹き飛んでレイアが戦っていたクマの後頭部に当たった。


 それによってできた一瞬の隙を見逃さず、レイアはダガーを振るう。次の瞬間、クマの首がごろりと落ちた。


「ん、おまえらは使えそうだね」


 ぶんぶんとうるさく飛び回って自分を刺してくるファニーホーネットに、ミナミは昼食のメニューを聞くかのように気軽に笑いかける。ファニーホーネットの奇妙に曲がった返しの付いた針が自分のわき腹を刺したところで腹に力を込め、がっちりと固定した。


 このセカイにくる前にもやったミナミの特技(?)だ。抜けなくなって動けなくなったファニーハニーをまとめて引っ掻く。あっというまに、五匹のゾンビが出来あがった。


「おまえら! 適当に刺してゾンビにしていけ! 人は刺すなよ!」


 ミナミの命令に従い、蜂は四方へと散っていく。ポイズンタスクボアの尻を刺し、キュリオスバードの脳天を刺し、グラスウルフの背中を刺したところで二匹が叩き潰された。


「お、久しぶりじゃん」


 血の滴る拳をバッと払う、全身が根で覆われた懐かしい巨人がそこにいた。月歌美人だ。


 あいかわらず無駄に筋肉の付いているムキムキのマッチョである。スキンヘッドの頭に白いお花が咲いているのもあの時のまま。気安く声をかけたミナミに答えるように、そいつはファイティングポーズを取った。


 その数、二匹。奇しくもあの時と同じだ。


 ファニーホーネットがゾンビにした魔物にこの場から離れるよう指示を与え、映画でよくみる、腕を伸ばして立てた手のひらをちょちょいと内側に倒す挑発をミナミもやり返す。にぃっと自然に両者の唇がつり上がった。


ひぃぃぃぃぃぃ!


 魔物の方向で騒がしい部屋の中、一際耳障りなそいつの声がゴングとなる。


 ごうっと、勢いをつけてそいつらは走りこんできた。脚の筋肉と根が、ぎちっとおよそ生物らしからぬ音を立てている。掌の根で硬く硬く結ばれた大きな大きな拳を、ミナミの頭に叩き込もうとまっすぐに突き出してきた。渾身のストレートだ。


「悪ぃな。今回は本気でやらなきゃいけないんだ」


 全力で叩き込まれた二つの拳をそれぞれ片手ずつで押さえ、ミナミはすまなさそうに言う。本当ならば血沸き肉踊る舞踏会(なぐりあい)をしたいところだが、今はそんな時間もない。あの時と違い、今回は酒が目的ではないのだから。


 驚愕に目を染める二匹のうち、一匹の腕を引っ張って前のめりにさせる。


ひぃぃいぃぃぃっ───………


 うるさく騒ぐ顔面に拳をお見舞いした。ゴッ、と鈍い音。最後の瞬間、お互いにやりきったような和やかな眼をしていたのは気のせいだったろうか。頭がぐちゃぐちゃになった今では確かめようもない。


 もう一匹はそのまま引っ掻いてゾンビ化だ。機動力もあるし耐久力もあるからレイア達の盾役くらいにはなるだろう。ヒトを守れ、と命令して次へ向かおうとしたその瞬間。


「よけてぇ!」


「うぉう!?」


 紅く力強い怪鳥に掴まったフェリカがミナミのそばをすごい勢いで通り過ぎる。ふわっと髪が数本持ってかれた。


 ほっと息をつく間もなく、次の瞬間には黒曜石のような輝きを持つ太い尾っぽがフェリカを追うようにして辺りをなぎ払った。


「なんだぁ!?」


「フォーリンドラゴン! 特級昇格試験にもでてきた、町一つくらいなら楽勝でぶっ壊す堕ちたドラゴンよぉ!」


ききぃ!


 ばっさばっさと羽ばたく怪鳥に掴まったフェリカが上から声をかける。いつの間にかミナミの頭にピッツが乗っていた。


 どうあら、あの紅く力強い怪鳥──フォルティスガルーダをピッツがゾンビ化し、フェリカの僕としたらしい。ミナミなんかよりも有効にゾンビを使っている。


 そんなフェリカと敵対しているのは黒く煌めく巨体を持った邪悪な龍。鱗におおわれ、体の割には小さめの翼を持っている。ファンタジーに出てくる悪龍のイメージそのままの姿だった。


「飛ぶのは苦手! 翼は打撃に使うわぁ! 尾っぽとブレスに要注意よぉ! あと、ピッツじゃ鱗にはじかれて爪が通らなかったわぁ!」


「あいあい、手伝います!」


 ミナミはその龍の正面に躍り出る。気分はまさに物語の勇者だ。実際にはゾンビだが。


 振るわれた尾を跳んで避け、曲げた足を思い切り伸ばして渾身の蹴りをいれる。がぁん、とドラム缶を蹴ったような感触がした。


グルァァァァァ!


「効かないってわけじゃないんだな」


 邪龍の眼は憎悪に燃え、ミナミを睨みつける。ひゅう、となんとなく口笛を吹いてミナミはそいつを挑発した。


 頭に血が上ったフォーリンドラゴンがミナミを唸りをあげて腕を振る。鋭い爪がミナミをかすめそうになるも、今のミナミには止まって見えるようなもの。あえてぎりぎりで避けてやる。


グルァッ!?


「ナイスアシストぉ!」


 フォーリンドラゴンがミナミに夢中になっている隙をつき、フェリカがその紫の液体の滴るダガーを首筋に斬りつけた。切りつけた傷口はじゅぁぁぁ、と明らかに体に悪そうな音を立て、気分が悪くなる異臭を放つ煙をあげる。


 フォーリンドラゴンが首を向ける前に、フェリカは飛び立ち離れていた。初めてだと言うのに、フォルティスガルーダの扱いがめちゃくちゃうまかった。


「今の、なんだ!?」


「とびっきりの猛毒! 所持や製造にギルドや国の許可がいるすごいやつよぉ! ただ、あいつは毒に耐性があるから死にはしない!」


 なるほど、確かに少なくないダメージを与えたみたいだが死にそうな気配はない。やはりドラゴンは強敵らしい。


 ぎろりと飛び回るフェリカを睨みつけたのを見て、すかさず近づき腹をしこたま蹴る。ぐへぇ、と変な声を出したものの決定打にはなっていない。


「どうするよ、ピッツ」


ききぃ!


 頭の上のピッツにミナミはのんきに語りかける。決定打はないがこちらも死にはしないのだ。そこそこの余裕があるからこそできる芸当である。


 南の言葉を受けたピッツはしきりにフォーリンドラゴンの顔を指差した。


 いや、正確には──


「口?」


きぃ!


 とピッツは頷き、手で何かを食べる仕草をする。その直後、頭でパタンと倒れゆらりと立ち上がった。どこかユーモラスで可愛らしい仕草だったが、ミナミはそれで言わんとすることを理解する。


「体表がダメなら内側からゾンビ化しろってか。で、誰やんの? おまえか?」


「ピッツじゃかみ砕かれちゃうわよぉ」


 ぶんぶんと頭を振りピッツは逃げた。その先にはいつの間にか腕にフォルティスガルーダを止まらせたフェリカがいた。


 中型の鳥の魔物とはいえ結構邪魔そうだ。紅い尾羽が顔にかかっている。


 フォーリンドラゴンはどうしたのかと向こうを見ると、ゾンビ化した二匹のロックゴリラが相手をしていた。ロックゴリラをゾンビにした覚えはないが、誰かがやってくれたのだろう。ただ、さすがに時間稼ぎにしかなりそうにない。


「ついでに、これ口の中に入れてきてくれない? パースに機会があれば試してこいって言われているのよねぇ」


 渡されたのはこぶし大の黒くて丸いもの。表面はてかてかしていて硫黄のような妙なにおいがする。上のほうからはぴろっと紐が出ていることから、もしかしなくてもこれは爆弾だろう。なぜだか白いチョークのようなもので16と書かれている。


「ここに火をつけたら目標に投げつけてすぐ離れろってぇ」


「あー、だいたい分かります。この数字は?」


「試作品の識別番号。特に意味はないらしいわぁ。よろしくねぇ」


 そう言うや否や、フェリカはフォルティスガルーダの尾羽を軽く引っ張り飛び立つ。ピッツもフェリカの脚にしがみつき、ぶらぶらと揺れていた。そのまま見事な飛行でフォーリンドラゴンの前までいくと、フォルティスガルーダに火を吹かせる。…一体、どうやって操っているのだろうか。


「そぉれっ!」


ききぃ!


 当然その程度の火炎でフォーリンドラゴンがどうにかなるはずもない。フェリカもそれは承知している。


 火炎は本命ではなくただの目隠し。足にぶら下がったピッツを振り子のようにして勢いつけて蹴り(?)飛ばす。大きな龍の顔にとりついた小さな猿は、その縦に長い瞳孔を持つ瞳に殴りかかる。ぺちん、と奇妙な音と共にフォーリンドラゴンが悲鳴を上げた。


グルォォォォ!


「はい、お口はあーんしたわよぉ」


 その隙を逃さずミナミは龍の巨体を駆けあがる。たったった、と忍者もびっくりな動きだ。パルクール、というやつの選手にだってなれるだろう。あっという間に口まで着いた。


 眼を殴れるなら眼からゾンビ化させればいいと思ったが、近くでみるとそれは石のように硬質であることがよくわかった。傷は付きそうにない。


 いや、ミナミならできるかもしれないが、ここまできたのだから予定通り行くべきだろう。


「うっへ、くっせ」


 龍の口からは腐臭のような変な匂いがする。なるべく息を止め、ミナミは導火線に魔法で火を放つ。ぽい、とそれを投げ入れ、口の内側を思いっきりひっかいてから飛び降りた。ちゃっかりピッツがミナミの背中にひっついている。


 その、直後。


ドォォォォォォォォォォン!


「うぉぉぉ!?」


 フォーリンドラゴンの腹が、文字通り吹き飛んだ。口からはプスプスと煙をあげ、ゆっくりと倒れずしんと音を立てる。ホールスパイダーが何匹か下敷きになっていた。


 大きく開いたお腹の周辺には肉が飛び散り、ドロドロとした黒い液体が流れ出ている。どうやら、ゾンビ化する前にこいつは死んでしまったらしい。爆弾を腹の中で爆発させたのだから当然と言えば当然だ。


「……」


ききぃ!


 しゃがみこみ、肉片の一つを一人と一匹で手に取った。


 龍の肉など、早々食べられるものでもない。消え去る前に食べるべきだろう。


 お互い同時に齧りつく。そのまま無言で口を動かした。形容しがたい肉の臭みが鼻につく。悪くはないが、よくはない。


「……おいしいのぉ?」


「脂っぽくてとても食べられたものじゃない……けど、なんか後に引く。パンかご飯をつけて、調理を工夫すればなかなかいけると思う」


きぃ! ききぃ!


「ピッツと貪ってる姿、めちゃくちゃ怖いわよぉ」


「良いですよ別に。見てる人いないし。それよりあの爆弾、威力強すぎじゃありませんか?」


「ピッツの泥で生成した成分を元に魔石だとかをいろいろ配合して作ったらしいわよぉ? 似たようなの、あと三百は鬼の市の倉庫にあるはずだわぁ。冬の間、暇さえあれば実験っていって市のみんなが作ってたのよ。誰のが一番威力があるのか競争ですって」


「うわ、そりゃ──」


「そこぉ! 喋ってないで働けぇぇぇぇぇぇ!」


 レイアが雷を振るってアイスクラッシャーにとどめを刺しながら叫んだ。ミナミはフェリカと顔を見合わせ、たがいに分かれて魔物を始末にかかる。


 ゾンビだろうか、魔物同士で戦っているのが何匹もいる。部屋全体の魔物ももうかなり減ってきていた。戦いの余波で巻き添えを喰らったのも少なくないだろう。


「食べてばっかじゃなくて倒しなさいよ!」


「わるぃわるぃ!」


 レイアと背中合わせになってミナミは軽口をたたく。インセクトキマイラの鎌をもぎ取り、膨れた腹を足でけりつぶした。



 きらきらと輝く広間で行われる命のやり取り。終わりを見せ始める死闘だったが、真ん中の祭壇では黒く渦巻く鏡が相変わらず魔力を放出し続けていた。


 不吉な色で輝く鏡の本当の効果を、これから起こる出来事を、ミナミたちはまだ知るはずもない。



20160809 文法、形式を含めた改稿。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ