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第五話
マナにとって初めての練習試合。
横浜の学校が会場だったので、朝早くに集合し、通勤ラッシュにもまれながら電車で2時間半かけて向かった。
一年生は試合ど使う荷物を分担して持っていたので、手がちぎれると思うぐらい痛くなった。
シーサイドラインへの乗り換えのとき。
大人数で乗るわけにはいかないので、分かれて乗った。
マナは亜希と同じ車両に乗った。
その車両には涼平が乗っていた。
他の男子部員に混ざって喋っている。
マナのところからでは顔が見えなくて残念だった。
つい最近亜希と三年生な中で誰がタイプだとかそういう話をした。
亜希はセンターの鈴木啓先輩に目をつけているらしい。
「好きとかそういうんじゃないけど、田中涼平先輩に憧れてる」
マナが言うとストレートな亜希の非難をあびまくった。
涼平はポジションはガードで身長は165とバスケ界の中では低いほう。
何より笑わないしキツそうなところが亜希としては除外らしい。
だがこの日見たのだ。降りる直前に仲間に冗談を言われて笑う涼平の顔を。
それはマナに向けられた笑顔ではないけれど
初めて見たその笑顔にドキッとした。