第二話
バスケ部は男子7人女
子11人と部員が少数なので、『男バス』『女バス』ではなく同じ『バスケットボール部』として活動していた。
メニューは違うものの、練習は一緒にやるのである。
運動部につきものなのが
「上下関係」
。
小学校から出たばかりの一年生には難関の壁ともいえる。
特にバスケ部は学校内で野球部の次に厳しいといわれていた。
挨拶は基本中の基本、敬語や気遣いなど一つ一つが厳しい。
まず先輩の名前と顔を覚えるのが大変だった。
マナは目が悪い。眼鏡を持ってはいるがかけるのが嫌で授業中しかかけない。
だから中々顔を覚えることができなかった。
二年生が三年生のユニフォーム番号と名前を教えてくれたのが幸いだった。
ユニフォーム番号なら大きくハッキリ書いてあるので見やすい。
縦書きに並んだ一番上の『4 リョーヘイsp』という文字はきっと忘れない。
とにかく顔を覚える前に名前を覚えようと必死だった。
部活の連絡網のてっぺんも、住所録のてっぺんも、バスケ部案内のてっぺんも『田中涼平』の名が載っていた。
やっかいだったのが三年生に『涼平』という名前が二人いたこと。
『田中涼平』と『北本涼平』
ユニフォーム4番5番を持つスターティングメンバーだ。
今思い出してみると全く似てないけれど、当時は身長も髪形も似ていたのでマナは大苦戦した。