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1. それ
「で、これからどうするんですか。」
淡々と、義務のように先生がきいてきた。
「はぁ、、、」
俺、三瀬喜一は今まで見ていた それ を見るのをやめて先生を見た。
「『はぁ、、、』じゃなくてですね。はっきり答えてください。あなた、もう3年生ですよね。このままだとまずいですよ。」
「すみません。」
「いや、誤ってほしんじゃないんです。この学校を出た後、何をしようと思ってるんです。」
「わからないです。」
「、、、」
また視線を それ に向ける。 それ は先生の感情が動くにつられて膨らんだりしぼんだり、平たくなったり形を変えている。
「ほら、私の『魔法』を見てないで答えてください。大学には行くんですか?それとも就職ですか?昔なら大学に行かなければ就職は難しかったですけど、最近は相当専門的なことをしたくない限り行かなくても大丈夫になりました。あなたの成績を見る限り大学は難しそうなので就職をおすすめします。そして就職を選ぶ場合、あなたの『魔法』によって行ける場所は限られています。早めに決めないと就職自体も難しくなりますよ。」