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Odd I's  作者: TEAM,IDR
50/58

最終章-14「新星」

「Odd I's」

最終章「オッドアイの英雄」

第50話「新星(ニュースター)

瑚透美「きゃっ!?」


瑚透美をお姫様抱っこするみどり。


みどり「じゃ、いっくよ~」


ぴょ~ん!ぴょ~んと建物から建物へと飛び移りながら移動していく。

その様子を下から伺う存在があった。


みどり「……………」


巨体のわりに素早い動き…

四足で壁を蹴り、一気に近づき攻撃をしてくるモンスター。


瑚透美「きゃあ!?」


瑚透美を抱えたままその攻撃を避ける。


みどり「ふ~ん…なんだか強そうじゃん…!」

瑚透美「早く倒してよ~…!」

みどり「う~ん…これは志紀ちゃんにやらせようかな…お~い!志紀ちゃ~ん!」


志紀の名前を呼ぶ。


志紀「なんですか~!?」

みどり「この敵、倒しといてね~!宿題~!」

志紀「こっちも大変なんですけど~~」

みどり「言い訳しないの~!もっと速く対処すればいいだけの話でしょ~!」


モンスター2体の猛攻を、瑚透美に負荷がかからない程度のスピードで華麗に避けつつ会話をするみどり。


瑚透美「わわわわ…!もう!呑気なこと言ってないでよぉ!」

みどり「あはは、ごめんごめん」


ズォッ…!キィン!


闇の分身がモンスターを食い止め、その間にバイクの近くに移動する。


みどり「はい…しっかりつかまっててね~」

瑚透美「え…ちょ…なんでバイクに乗せるの…私、初めて乗るんだけど…」

みどり「だいじょぶ、だいじょぶ。自動運転だから♪」

瑚透美「みどりちゃんのバイク、そんな機能ついてないでしょ…」

みどり「今つける~」

ブゥオンッ!!ブルルルゥウウウウ!!!


闇のオーラをバイクにまとわせるみどり。

その時!

ドカァン!ボフゥ…!!!


志紀「けほっ!けほっ!…なに!?」


志紀が破壊した無人機から何かが噴き出した


みどり「……あれはちょっとやばそうだね……」

瑚透美「…え……?」

みどり「急いだ方がいいってこと!いってらっしゃ~い♪」

瑚透美「え!?きゃあああああああああ!?」


ブゥウウウン……!!

すごい勢いで発進したバイク。瑚透美だけを先にAI島に向かわせた。


シュン!


志紀「わっ!?」

みどり「志紀ちゃん大丈夫?」

志紀「はい…でもさっきのは…?」

感覚を研ぎ澄まして調べるみどり。

みどり「……またウイルスか……あれに感染するとどうなるか分からないけど、敵が持ってた物だからね、油断しないように」

志紀「はい…」

みどり「ま、志紀ちゃんは大丈夫でしょう…あれはすぐにはどうにか出来ないし、まずはあいつらを倒そう!」


下を見る志紀。


みどり「志紀ちゃん…貴方にはこれからテストを受けてもらいます」

志紀「わ……先生みたい…」

みどり「!ふふっ…そうでしょう…!コホン……今からあのモンスターを二体倒しなさい。ただし、条件があります。」


ズオオオオ………


志紀「う……なに……!??」

体の力が奪われていくのを感じる

みどり「まず一つ…最低限の力しか使わずに勝つこと。二つ…肉体・武具の性能を最大限引き出して勝つこと。…分かった?」

志紀「…最低限の力…性能は最大限引き出す……」

みどり「そう!よろしい。あたしの継承者ならそれくらいやってもらわないとねっ♪」

みどりは明るく話すが、それとは対照的に志紀の表情は暗い。

志紀「……あの……わたしは今なんのために闘って…どこに向かってるの……?」


志紀は戦争が起きた理由も、能力が託された真意も分かっていない。

それを聞いてみどりも表情を変える。


みどり「………志紀……あなたの中にはまだ、聖なる力が隠されてるの…」


志紀の胸を人差し指でトン…とつつく。


志紀「聖なる…力…?」

みどり「そう…その力を引き出してほしいの。」

志紀「……そうすると……どうなるの…?」

みどり「…………」


11に分けられた世界の大罪は全て浄化されなければならない。

『嫉妬』の大罪を背負っていた志紀はまだ、完全な浄化をしていない。

心の罪と向き合い、それを乗り越えた者だけが『神聖な力』を使う権利が与えられる。

その聖なる力を全て引き出すことで浄化が完了し、世界を平穏に導くことが出来るのだ。


だが、8歳の女の子にそれが理解できるか?

たった8年しか生きていない子どもに世界の命運を背負わせ、その先にあるモノを問われている……


みどり「…………なんのためなら戦える…?」

志紀「え…?」

みどり「…アレを放っておいたら街が壊されちゃうかもしれない…大切な人が傷つけられるかもしれない……」

志紀「………」

みどり「なにかを守るためなら戦える?」

志紀「………」

みどり「…実は志紀ちゃんは世界の中でも選ばれたヒーローなの。ヒーローとしての役割を果たすためだとしたら…戦える?」

志紀「…………」


志紀は答えない。

少しの間、空を切る風の音だけが聞こえた。


そして、みどりが次の質問をしようとした時、ようやく志紀の口が開いた。


みどり「………じゃあ…」

志紀「先生は…」

みどり「!」

志紀「……みどり先生は…あれを倒したら喜んでくれる……?」


真剣な表情で訊く志紀。


みどり「うん、もっちろん!出来たらすごいことだよ!」


笑顔で答えるみどり。

それを見て決心する志紀。


志紀「……分かった…わたし…やってみる…!」


ブゥオワァ…!!

闇に包まれた一瞬で変身し、武具を身に纏う志紀。


みどり「志紀ちゃんならできる!いっぱい修行もしたもんね…!」

志紀「うん!……わたし…先生に恩返ししたいもん!」

みどり「…!」


そう言って見つめる瞳には聖なる輝きが映っていた…


志紀「見てて…!わたし…頑張るから…!!」

みどり「…うん…志紀ちゃんのこと、信じてるよ♪」


バッ…!

飛び降りる志紀。

みどり(あたしが気に入った子だもん…絶対に大丈夫…あたし、勘はイイ方だからっ♪)


スタッ…!

着地するやいなや、モンスターが襲ってくる。


両腕につけた盾で二体の攻撃を防ぐ。

志紀(うっ……いつも通りに体が動かない…!?)

「きゃっ!」


防ぎきれずに吹き飛ばされる。


志紀(もっとよく見てガードしないと…!)

ギンッ!!

桃色のオーラを瞳に宿らせ、『絶対視認(アブソリュート・アイズ)』を発動する。


スローモーションにすら見える敵の猛攻だが、真正面から受け止めるには出せる力が少なすぎる。


志紀(もっと……こう………っ!そうか…!こうやって滑らせて……)


盾で攻撃を逸らせることで防いだ。


志紀「ちょっとコツ分かったかも…?」


ガッ!!ガンガンガンガン…!!

挟み撃ちにされながらも攻撃を弾いていく。

体をしならせ…ひねる…

隙間を潜り抜け…次の一手を繰り出す…!


打ち合えば打ち合うほどに、巧みな体使いになっていく。


みどり「そう……それがあたし達のスタイル…!」

志紀「あはっ…!これが…!」


桃白のオッドアイが輝きを放つ!

闇の力に反応して盾の形状が変化する。

盾から刃が飛び出て、双剣のように扱える『剣撃モード』


ザンッ!

「「!?」」

一瞬にして攻撃に転じたことで不意をつかれるモンスター。

ヒュンヒュンヒュン!!

素早い剣撃に圧倒され、後ろに踏み出した瞬間…

ガクンッ!

「!?」

足先に『すり抜ける能力』が付与されたことで地面に足が埋まり、体勢を崩す。

その隙に刃を心臓へ突き刺す!


志紀「これが…!!」


志紀の背後からもう一体のモンスターが攻撃を仕掛けるが…

スカッ…!

爪は闇の残像を通り抜けただけである。

そして闇の中から突如現れた志紀。打撃に特化した『拳撃モード』に変形させた盾でモンスターの頭部を殴る!!


志紀「これが『策術転星(トリックスター)』!!」


両手を広げ、エンターテイナーのようなポーズをとる。

ググググ…!ブン!!

モンスターが最後の一撃を志紀に向かって放つが、志紀の体を通過し、モンスター同士に攻撃が当たる。

ズゥン……!

倒れたモンスターの間から優雅に歩いて出てくる志紀。


パチン!と指を鳴らし…

志紀「イーグル!」

ピギィイイイッ!!

飛んできた大鷲の背に乗ってみどりと合流する。


みどり「すっごいじゃん…!さっすがあたしが見込んだ子ね…♪」

頭を撫でるみどり

志紀「えへへ…!…なんだか…誰かのために…って思ってたら力が湧いてきて……それで…!」

みどり「うんうん…!…その気持ち…忘れないようにね…!」

志紀「はい…!」



幼い少女にのしかかる受け止め難い現実。

不幸を嘆き、増大する嫉妬の大罪。

無垢な少女をそそのかす愚鈍の意思。

魔女との出会いを果たし結ばれた契約。


魔女の気まぐれで救われる母。

魔女の中から見出したヒーローの輝き。

罪を乗り越え、手にした『人気』。

たくさんのことを教えてくれて…たくさんのことを経験させてくれて…導いてくれた存在…

魔女でありヒーローであり先生である存在…

そんな大切な人に込めた『感謝』の気持ち。

その美徳がオッドアイの覚醒を促した。


小さな体で大義を成し、ヒーローとしての輝きを放った少女。

彼女の名は…

―――二和 志紀―――



ほぼ同時刻、AI島では…

(ピピピピ!!)…バァンッ!!!!


シリュー「くっ……なんだ…!?」


人類最高峰の武器の一つ…レールガンの弾丸が飛んできていたのだ…

直撃したかに見えたが、それは弾かれていた。


マイド「あれは!?」

ルウラ「!?」

トオン「えっ!?」

クーゴ「ボス!?」


そこには腕組みをし、ロボの頭部で仁王立ちする桃華がいた!


桃華「…あの時使っていた機体はバラレンジャー全員の力があってこその物…ですがこれはワタシ一人で最大限の力を発揮できるよう、『開天』を基に作製した機体……名付けて『開天Mk-Ⅱ』です!!!」

ジャキ――ン!!(決めポーズ)


桃華「可愛い部下のためです…絶対無敵の王者(キング)の姿…!貴方たちに示しましょう…!」


ウィーン…!

操縦席へと移動する。


桃華「来なさい!ワタシのドリルッ!!!」

クーゴ「なんだ!何が始まんだ!?」

マイド「ボスの戦いを拝見できるのか…!」

トオン「ボスかっこい~!」


飛んできたドリルパーツを接続し、両腕をドリルにする。

桃華「ドリルコネクトォッ!!!!」

ガッシィイン!!


桃華「貴方たち、刮目しなさい!これが王道を往く者の在り方です!!」

ギュイイイイイイイン!!!!!

レールガンを搭載した軍艦へと一直線に突っ込んでいく!


ルウラ「あれでは次弾が…!」

シリュー「何か策があるのか…!?」


ドンッ!

予想通り、放たれた高速の弾丸が直撃してしまう。

だが…ッ!!


クーゴ「…っ!無傷だ!」

マイド「すごい…!」

トオン「ボスにあんな物は効かないってことだー!」


桃華「これがキングとしての…格の違いです…!ましてや後ろに続く者達が控えているというのなら…尚更…退くものか!!」


回避など不要ッ!!

これが頂点が示す力!!

キングの誇りだッ!!


桃華「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!!アルティメットツインドリルッ!!!!!!」


ドカァン!!!!

レールガンを破壊し、大爆発をバックに勝利を決める『開天Mk-Ⅱ』


桃華「ふぅ……さて…残りも片付けてしまいましょう…シリュー、エネルギーはまだありますか?」

シリュー「は…はい!まだやれます!」

桃華「よろしい…では…(ピピピ!)ん…?」


バババババババガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!!!!!!

四方八方に直線の軌跡を残し、軍艦に搭載された兵器全てを破壊する弾丸。


桃華「……あれは…!」

朱祢「桃華…!」



合流を果たした桃華組と朱祢組…


いよいよ物語は最終局面へ移行する。

バラバラの地にいるオッドアイの能力者が集結へ向かう…!

が、その前に残った能力者が一人…


次回『隠れたセフィラ』


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