三章-11「秒速20万キロのバトル!!」
「Odd I's」
第三章「悪の力」
第36話「秒速20万キロのバトル!!」
ケルベロス「……ユニコーン………」
ユニコーン「その手を離せ……!」
ユニコーンから発せられる光量が落ち着くとそこには金色の鎧を身に纏った人の姿が現れた。
特徴的なのは左腕に鞘ごとついている剣、丸みを帯びて膨らんだ右前腕、そして頭部の一本角。
ケルベロス「…お前…人型にもなれんのかよ…」
ユニコーン「早くその人から離れろ…!」
ケルベロス「……断る…と言ったら?」
ドン!
光速で背後に回られ蹴られるケルベロス
ユニコーン「早く行け!」
「お…おう……」
“見えない何か”に助けられた兵士
ユニコーンの姿は変わらずに見えるというのに実体はそこにない
ケルベロス「へぇ……テメー強えじゃねェか……」
ユニコーン「……どうして…こんなことをする…?」
ケルベロス「アァ?」
ユニコーン「どうして人を簡単に殺そうとすることが出来る!?どうして平和を乱す…!?どうして争う…!?どうして……!!!?ぐっ…ぐああああああ!!!」
ユニコーンはもがき苦しむように地面に手をつく。
するとまた発光し始め、光が憤怒の獣「ユニコーン」を形成しようとする。
そこに戦闘機が3機現れ、レーザー弾を発射する。
一発はケルベロスが戟で弾き、残り二発は付近のコンクリートをえぐる。
レーザー弾の余波で周囲の電気系統にまでダメージがいく。
停電し、自動車は止まり、人々は悲鳴を上げながら逃げ、警報の音、サイレンの音があちこちから聞こえてくる。
ケルベロス「ハハハハハ!!そうだッ!もっと本気で来いッ!!!!」
ケルベロスは暴風により巻き上がり戦闘機に急接近する。
ユニコーン「っ!!」
パッ!
ケルベロス「何ッ!?」
ガァンッ!!
一瞬で目の前に現れるユニコーンと鍔迫り合う
ケルベロス「テメェ!邪魔すんな!!」
ユニコーン「やめろ!!戦うな!!」
着地する
ケルベロス「テメェ…!なんなんだよ…いつもいつも急にしゃしゃり出てきては場をかき乱しやがってよォ…」
ユニコーン「こんなことをしているから世界は……人間は………!」
二人の邪悪なオーラが高まっていく…
ケルベロス「テメェがアタシの渇きを潤してくれるってのかァ!?この猛りを抑えられんのかァ!!」
ユニコーン「キサマらのような奴らがいるから……世界は…っ!!」
怒り…憤怒に支配され、悪魔のような形相へと変化していく…
ケルベロス「グゥオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーー!!!!!!!!!!!」
ユニコーン「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーー!!!!!!!!
途方もないエネルギーが辺りに充満し、先ほどのレーザー弾とは比べ物にならないほどの被害が出た。
建物には亀裂が入り、風は吹き荒れ、目を焼くほどの強い光が暴走する。
ユニコーン「キサマとは決着を付けるッ!!!!来いッ!!!ケルベロス!!!!!!!」
ケルベロス「上等だオラァアアア!!!!!ユニコォォォオン!!!!!!!!!」
シュパッ!!ドンッ!!!
二頭は急加速、猛スピードで飛んで行った
*
場所を移し、周りに何もない場所まで来た
到着した瞬間、すかさず攻撃を開始するケルベロス
振りかぶった放たれた戟を左腕の鞘でガードする。
吹き飛ばされるユニコーン、追撃するケルベロス。
抜剣し、反撃。
両者、激しく動きながら打ち合う
ケルベロスが優勢になり、戟で薙ぎ払うが、消えるユニコーン
背後から剣を振り下ろす
真紅の瞳のオーラの中に一瞬、銀の光を放ち「絶対視認」発動
背中の刀をユニコーンの剣撃に合わせて防ぐ
ケルベロス「テメェ!!」
刀を抜き、ユニコーンに攻撃。飛び退いて躱すユニコーン。
ケルベロス「イイねェ…!ますます面白くなってきた……ッ!!!」
刀を口に咥え、両手で戟を構える
そこに猛スピードで突進し、剣を振り下ろすユニコーン
が、それは囮で後ろから斬りかかるユニコーン
その姿が見えているのに反応しないケルベロス
ユニコーンの剣が振り下ろされるが、身体を通過していく
囮の攻撃も同様…
ケルベロス「!!」
ガンッ!!
見えない何かからの攻撃を防ぎ、戟をグルグルと振り回しながら激しい追撃
ユニコ―ン「くっ…!これでも防がれるか……」
ケルベロス(小賢しいな……反応できなくはねェが、常に警戒しなきゃならねぇ…集中力を削られる……もうちっと試してみるか…!)
グンッ!!!
ユニコーン「っ!!?なんだッ!?」
突然、身体の動きが鈍くなる
動揺した隙をついて急接近。戟が目の前に迫るが
パッ!
瞬間移動
が……グンッ!!!
ユニコーン(っ!?また…!)
ケルベロス「ソラァッ!!!!」
戟を投げてくる
瞬間移動で避けるが、方向を変えて追ってくる
瞬間移動回避を繰り返し、ケルベロスの背後へ
グンッ!!!
バシュゥン!!!
光のエネルギーを放出し、出力を上げる
まともに動かせるようになった身体で剣を振り上げる
それを二刀で迎え撃つ!
その隙にケルベロスの背後から飛んできた戟が方向を変え、ユニコーンの脇をめがけて飛んでくる
ユニコーン「ぐっ!!」
右腕と右膝で挟むように戟を防ぐが
ケルベロス「コッチがお留守だぞォ!!」
ドゴォッ!!!
前蹴りで思いっきり吹き飛ばされ、岩にめり込む
巨大な岩山を破壊し、ダメージを受けるユニコーン
カチン!と二刀の鞘をくっつけて両剣にし、風によって運ばれてきた戟を肩にかつぐケルベロス
ケルベロス「どうしたァ!もう終わりか!?」
ユニコーン「強いな………これなら本気を出しても………」
ケルベロス「アァ?」
カッ!!!!ピカーーーッ!
突然、金色の光に包まれる。
ユニコーンは浮き上がり、熱で岩が解けていく…
黄色く光る一角獣の眼光…
ユニコーン「殺す前に…死なないな…!!」
ケルベロス「!!?」
ドッッツツツツツツツツツツツツツツツツ!!!!!!!!!!!!!!!
亜光速で殴られ、成す術無く吹き飛ぶケルベロス
光速で回り込み、更に殴打
両手を組み、叩き落とす
落下地点に回り、両拳で天へ突き上げる!!
ミシミシ…!!ボッッツツ!!!!!!!
上空へ吹き飛び、見えなくなるケルベロス
シュゥウウウウ………
ユニコーンの動きが止まることで光量が落ち着く。
辺りは熱と衝撃波で見渡す限り何も無い。
ッッッツドン!!!!!!!!!!!!!!!
天から真紅の暴風を漂わせたケルベロスが降ってくる
ケルベロス「クハハハハハッ!!!!!これだ!この殺し合いこそアタシをアタシたらしめる!『本質』だ!!……さぁ来い!!本気でやろうぜ!!!!ユ“ニ”コ“ォ”オ“オ”オ“ン”!!!!!」
ケルベロスの背後に、むき出しの闘争心を表すかのような棘だらけの輪が現れた。
ズンッッツ!!!!!!!!
ユニコーンは先程とは比較にならないほどの制限を体にかけられるのを感じたが、その程度では止まらない
ユニコーン「……フッ…!フハハハハハハ!!!!死にたいらしいなァア!!!ケルベロスゥウウウウウウウ!!!!!!!!!!」
*
ドン………!…コォォォォォォ………ズン…!……ドン!ドン!!…………
地球のどこに居ても衝撃波が大気を震わせ、大地を揺らす…
光速で攻撃し、瞬間移動で回避するユニコーンの動きに制限をかけ、自分の動きは超強化して戦うケルベロス
互いが本気で打ち合う秒速20万キロで行われるバトル!
紗良「ん…?なんか音がしたような……」
ザパァン!
「さらー!こっち来てよー!クジラがいるよー!!」
シリュー「………お前らの力も…必要になるな……」
ルウラ…トオン……そして………
瑠玖「……なんの音だろ………」
巫言「お待たせしましたわ。さ、行きましょ」
瑠玖「えっ…!?あ、うん…!」
貴峰「わっ!揺れましたけど大丈夫ですか…?」
「大丈夫ですよ~次はレントゲン取りますのであちらにどうぞ~」
「…………これ……始まってねぇか…?」
「……始まっただろうな……」
「マジかよ…早すぎだろ……さっさと離れねぇと……」 キコキコ…
みどり「もしもし~……うん……いるよ~…………分かった~じゃ、今から向かうね~」
志紀「先生!グルちゃんとおつかい行ってきました!」
みどり「お帰り~、急だけど今から出かけるよ~」
志紀「えっ!?出かけるってどこにですか?」
「……とんでもないことになりそうだな……まぁいい………このまま世界が終わっても……なんの未練もないさ……」
恩実「……スー………スー………」
プシュー…………
「うっ!」「うぅ!?」 バタッ!
恩実「ん~?……むにゃむにゃ………」
瑚透美「…始まってしまうのね……」
「これより攻撃を開始する…人類を脅かす悪の力を排除するのだ!!」
軍隊が動き、謎の生物が動き始める…
全ての能力者が判明し世界中に知れ渡った。
ユニコーンとケルベロスの戦闘により、能力者の味方になろうとする人はいなくなった。
全人類が危険視し、排除を求めた。
そして能力者の始末のために隠されていた力が顕在化していく……
その力は数十年前から蓄えられていた、脅威を取り除くための力のはずだった…しかし、その力のためにどれほどの代償を支払ったのか……
その選択は…その力は…果たして正義と呼べるのか……
第三章 悪の力編 完