表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Odd I's  作者: TEAM,IDR
34/58

三章-9「龍の娘」

「Odd I's」

第三章「悪の力」

第34話「龍の娘」


ワンちゃんとライオンは国連を名乗る組織から招集を受け、外国にある謎の施設にいた。


「こちらです」と通された部屋は広さのわりに何もない。しいて言うなら大きなモニターがあるくらいだ。

扉が完全に閉まると、声が聞こえてきた。


「ケルベロス、ライオン。よく来てくれた。感謝する。」

ライオン「わっ!?どちら様ですか…?」

「我々は世界の秩序を守るために活動している、世界連合のメンバーだ。今回君たちを呼んだ理由は分かっていると思うが、ユニコーンの討伐だ。しかし、ただの作戦会議のためにここへ呼んだのではない。君たちと交渉するためにここへ呼んだのだ…」

ワンちゃん「交渉だと…?」

「そうだ…君たちは人智を超えたとてつもない力を持っている。あの最強の生物とも言われるドラゴンでさえ簡単に倒してしまうほどだ…。あれには我々もとても驚いた…」

ライオン「ワンちゃんと一緒に頑張ったもんねっ!」

ワンちゃん「え?あ、あぁ……」

「しかしだ…あの一件で疑念が確信へと変わった。君たちは人類を脅かすほどの力を持っている。」

ライオン「えっ!?」

ワンちゃん「おい…人類を脅かすってなんだ?ワタシたちは何も悪い事してねーだろ」

「君たちはな…。だが、AI島で戦闘があった際、他の能力者は我々と敵対した。あの時破壊された兵器の補填がまだ完了していないほどの甚大な被害だ。それだけの力を持っている人間を野放しになど出来るはずがない。我々はユニコーンを始めとし、能力者の抹殺を決定した。」

ワンちゃん「………………」

「能力者の抹殺…これが人類にとって最善の手だ。だが!…君たち二人は、先ほどのケルベロスの言う通り何も悪いことをしてはいない…むしろ、人々の安全を脅かすドラゴンを退治してくれた…。あのドラゴンを解剖し、研究したことで更なる技術の発展にもつながった…。君たちには功績がある。そこで我々は提案をしたい…」

ライオン「提案…?」

「世界連合の一員にならないか?」

ワンちゃん「世界連合に…?」

「そうだ……はっきりと言わせてもらう。あの力を目の当たりにしてしまった以上、もう君たちをただの人間として見ることはできない。君たちは核ミサイルなどの兵器と同様の扱いをさせてもらうことになる。このままでは君たちの力に目のくらんだ世界各国の政府が軍事利用を狙ってくるだろう…君たちの特別な力がどこかの国の所有物となってしまっては戦争の火種となる…そうならないために、世界連合の傘下に入り、共同の物とする必要があるのだ。」

ワンちゃん「…物…だと…?」

「言い方が悪くなってしまってすまない…だが、実際問題そう扱わざるをえないのだ…。もちろん、この提案を承諾してもらえるのなら、諸々の規定を考える…もちろん、君たちの人権についても最大限配慮したい……どうだろうか…?」

ワンちゃん「………………」

ライオン「……あの…」

「どうした?」

ライオン「もし、その…国連の組織に入ったらお給料みたいなの貰えるんですか…?」

「無論だ。…我々人類は君たちに暴動を起こされてしまってはそれだけで、とてつもない額の被害が出る。人命まで巻き込まれてしまっては取り返しがつかない…よって、それらを加味した上で報酬額を決める。詳細な額はまだなんとも言えないが…ここへ来るまでに乗って来た飛行機を山のように買っても余るほどの額にはなるだろう…」

ライオン「えぇ!?…やります!」


完全に目が「¥」のマークになってしまっている…


「協力感謝する……。…さて…ケルベロスの方は…?」

ワンちゃん「……………」


(…正直言って気が乗らねぇ………こいつら…随分と偉そうだが、本当に偉いのかも分からねぇし…………そんな奴らにへこへこと頭下げて生きなきゃならねぇってのは想像しただけで反吐が出る……クソつまらねぇ人生だ………アタシは……何にも縛られたくねぇ…国だろうが世界だろうが知ったこっちゃねぇんだ……今までだって…そうやって生きてきた…………でも………)



楓の言葉を思い出す。


楓「ワンちゃん!」

ワンちゃん「ん…なんだよ?」

楓「…なるべく…穏便に済ませるんだよ?」

ワンちゃん「あぁ…分かったよ…」

楓「…交渉を持ちかけられたら…とりあえず了承する体をとってね。」

ワンちゃん「おう…」

楓「条件なんかはその時に決めないこと。向こうが有利になるように事が進んじゃうから!」

ワンちゃん「分かったって」

楓「…戻ってきたらウチも一緒に考えるし…頼りになりそうな知り合いもいるからさ……だから……」



(あー!もう…!……しゃーねぇ…断りてぇが、なんか適当に答えとくか…)


ワンちゃんがやっと、口を開こうとしたその時


「…言っておくが君たちは簡単に断れる立場ではないぞ?」

ライオン「?」

ワンちゃん「…どういうことだ?」

「我々はパワーズの抹殺をもう既に決定している。よって…君たちは従わないというのなら抹殺対象になるということだ……我々に対して友好的かどうかの違いがあるだけで、非常に危険な力を持っていることに変わりはない。」

ワンちゃん「へぇ…断るって言ったらどうすんだ?」

ライオン「えぇ!?」


「¥」のマークが取れる勢いでワンちゃんの方を見るライオン。

「やっべぇ…!調子乗った……!!」と勢いでしゃべったことを後悔するワンちゃん。


「…ふぅん……ケルベロス…もし、大切なお友達や家族を人質に取られても断る…と言うのかね?」


その言葉で空気が変わった


ワンちゃん「あ“…!?」

「君たちを直接攻撃するのは難しいだろうが…その周りの人間となればいくらでもやりようはある……もうすぐ3歳になる息子は可愛いだろう…安全に暮らしたいのなら我々に従った方が得策だと思うがね」

ワンちゃん「よぉく分かったよ……てめぇらは今、ワタシの逆鱗に触れた…!!てめぇら全員をぶっ倒して安全に暮らしてやるよ…!!」

「そうか……交渉は決裂だな…きさまの抹殺が確定した…震えて待っているといい…」


ブツっと通信が切れる。


ライオン「………え!わたしのことは!?」

ワンちゃん「ライオン!あんな奴らにつく必要なんてねーぜ!あいつら、平気で人を利用していつでも切り捨てられるようにするつもりだ!」

ライオン「え…でも……」

ワンちゃん「ワタシの家族に手ぇ出そうとしやがって…!許せねぇ…!!」


ワンちゃんは歯をむき出しにしながら怒りで顔を歪ませる


ワンちゃん「おい…ライオン……」

ライオン「へ…?」

ワンちゃん「ここを吹き飛ばす……そこにいる二人…護れるよな…?」

ライオン「…………え………?」

ワンちゃん「変身ッ!!!!」

ライオン「ちょ、まっ!?」


…ッバァアン!!!!!!!!!!!!!


建物を吹き飛ばし、激しい風を纏いながらゆっくりと浮上する

仮面の奥の瞳は真っ赤に光り、怒気を帯びている。

その怒気を表す焔のようにユラユラと揺れ…紅く輝く「光の輪」が背後に現れる。


ッドシュゥウウウウン…!!!!!!!


音速を超えたスピードで家族の元へと急ぐワンちゃん


ガラガラ…!と氷の壁が崩れ、変身したライオンと二人の職員が出てきた


ライオン「もー…ワンちゃんってば派手にやりすぎ………ね、わたしはまだ保留だからね!断ってないから!そこんところ、ちゃんと説明してくださいね!」


と職員に言うライオン



空気の壁を突き破り、衝撃波をバラ巻きながら空を飛ぶワンちゃん。

海では水しぶきを空高くにまで上げ、街の上では轟音をまき散らしながら飛んだ。


自宅に帰り、急いで中を確認する


そこには…土足で踏み荒らされた跡があった…


怒りで髪が逆立つ…


そして、背中には真紅のオーラが炎のように燃え上がる…まるで轟々と湧き上がる怒りを表しているかのように…


街の上空で叫ぶ


「アタシはここだ!!アタシを殺すってんならやってみな!!アタシは逃げも隠れもしないぞ!!ヤルってんなら全身全霊で来いッッ!!!!どっちかが死ぬまでヤろーじゃねぇか…!!」


「なに!?あれ!?」 「なんか叫んでるぞ」 「こわーい…なにあれぇ」

パパ「っ!?この声は…!?」 「えー…臨時ニュースをお伝えします…」


ワンちゃん「ぐっ!?…く………翼ー!!!あなたー!!!!聞こえてたら返事をしてー!!!」


音を感じとる能力を最大限まで高める……


「わぁああああん!!!」 「っ!?今のは…ママの声…?翼!ママの声が聞こえるぞ!」


ワンちゃん「見つけた!!!」


ッドン!!!!!!


急加速で声の方へ飛んでいく。



ドン!!!!

と、警察署の目の前に現れるケルベロス。その瞬間…

バァン!!!!バリィン!!!!!

衝撃波が直撃し、全てのガラスが割れ、停電する。

地震が来たかのような強い揺れにより、多くの人が体勢を崩した。


ワンちゃん「おい………ワタシの翼はどこだ…!!!」


あまりの恐怖に失神する警官たち


そこに、一発の弾丸が発射される…

カッ!!!!…ダン!!

ケルベロスの瞳が紅く光り、風の能力で弾丸を逸らす。


陽介「久しぶりだな野蛮女……」

ケルベロス「…九頭堀ぃ………」


二階から、受付にいるケルベロスを狙撃した九頭堀。


ケルベロス「何殺そうとしてんだ…ワタシは息子と旦那に会いに来ただけだぞ…?」

陽介「こんだけのことしてタダで帰れると思うな…お前ら能力者は死刑が確定してんだ…」

ケルベロス「……もしかしてお前…“そっち”側か…?」

陽介「…そうだ………死ね……」


ガンッ!!!! バァン!!!!

相手の動きを固める魔眼を発動…その後、間髪入れずに弾丸を発射

しかし…

グッ!! ブゥウォン!!!


陽介(なっ!?なぜ動ける!?)

弾丸は逸らされ、地面にめり込む。

そして、次の瞬間には戟を喉元に突きつけられていた。


ケルベロス「蛇にでもなったつもりか…?小細工を弄するなら格下(カエル)にでもやるんだなマヌケ……」

陽介「っ!!」

ケルベロス「…テメーはそこそこ強いと思ってたんだがな……がっかりだ……こんなにも弱いとはな………」


戦意喪失した九頭堀を置いて、息子を探そうとする。

が、ひび割れたガラスに映る自分の姿が目に入る。


「え………」


バッ!!

警察署をいきなり飛び出してしまうケルベロス


(違う違う違う違う…!!!あんな醜い顔…ワタシのじゃない…!!!ちが……)


車のガラスに反射する顔が映る…

バァン!!!

戟で車を叩き割ってさらに逃走


(はぁ…はぁ……!違う……こんなの……こんなのワタシじゃない……!!)

雨が降ってきた…

雨に気づき、脚を止めるとテレビの映像が眼に入ってきた


「能力者の一人が宣戦布告…全世界指名手配へ…」


「ヘェ…おもしれェ………はっ!違う!!………ぐ……黙ってろ………!」


戦いを心の底から求めているもう一つの自分がいる……

怒りに身を任せて力の全てを解放してしまいたいと思う自分がいる………


「違う!……そんなことはない………ワタシは……ただ家族が心配で…………はっ!」


水たまりに映る醜い顔…紅い瞳……

バシャン!!


(クソッ!!やめろやめろやめろ!!ワタシは……ワタシは………!!)


「ターゲットを発見!射殺する!!」

ケルベロス「!!」


ババババババババ!!!!!

車から降りて来た歩兵に掃射される。

ガガガガ!!ガン!ガン!

戟を振り回し、弾丸をはじく。射線の隙をつき、歩兵に急接近。蹴り飛ばし、薙ぎ払い、踏みつぶす。


ケルベロス「殺しに来たってことは殺されてもいいってコトだよなァ!!!?」


戟で歩兵を突き殺そうとしたその時

シュン…!!

カッ!!! 絶対視認(アブソリュート・アイズ)が発動

光線の軌道をずらす。

ボン…!


ケルベロス「……ユニコーン………」

ユニコーン「その手を離せ……!」



「……さん!…すけさん…!…陽介さん…!………大丈夫ですか…!?」

(陽介……?…あぁ…おれのことか……………………)


「小細工を弄するなら格下にでもやるんだなマヌケ……」 「…テメーはそこそこ強いと思ってたんだがな……がっかりだ……こんなにも弱いとはな………」

「お前ってホントにマヌケだよな!」 「陽介は勉強も運動も出来るのにお前にはがっかりだ……」 「見た目はそっくりなのに………弱いね~」


(…………思い出さないように………してたんだけどな…………)



九頭堀家に生まれた銀色の瞳を持つ端正な顔立ちをした双子

彼らはある日突然、悲劇に見舞われる。

陽介とは一体…彼は一体誰なのか…?

次回『FU〇K!!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ