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Odd I's  作者: TEAM,IDR
15/58

二章-1「大罪の魔炎」

「Odd I's」

第二章「伝説の神獣」

第15話「大罪の魔炎」

AI島侵攻作戦が決行された日の夜


ガチャ……

なるべく音を立てないように家に入る少女。

パチ!

「うわっ!!?」


そこに居たのはパジャマ姿の父親だった。


父「こんな時間まで何をしていた?」

「……………………」

父「正直に答えなさい…」


虎のような鋭い威圧感を与えながら質問してくる父


「………………友達の家………」

父「……………上がりなさい。話がある。」



リビングだけ灯りを点け、暗く静かな中で話を始める。


父「…テレビを見た。あれは間違いなくお前の仕業だ。どうしてあんなことをした?」

(ギクッ!)「………………」

父「母さん、心配していたんだぞ!?もちろん、父さんもだ。なんでお前はいつも危ないことばかりするんだ…!」

「…………………」

父「母さん、心配のしすぎでとても疲れていたぞ。お前が何かする度に、母さんは心臓が縮みあがる思いをしているんだ…!もう二度と危険なことに首を突っ込むんじゃない!分かったか!?」

「…………っ!!あたしが何をしようと勝手でしょ!!いちいちうるさいんだよ!!危ないことしたって一度も怪我したことなんてないでしょ!?それなのに心配心配って…!!!」

父「………………」

ガタン!

席を立つ少女


「………心配なんて言って…どうせ口だけなんでしょ……」

(そうだ…否定しろ…嫌なら嫌とはっきりと言え)

(っ!!)「…あんな女…!!母親面したいだけなんでしょ!!!」

父「!!!!このっ!!!!!!!」


父は熱でテーブルを溶かしながら押しのけ、娘の胸ぐらをつかむ。赤い炎の拳が握られているが、少しして手を離す。


本気で殴ろうとした父親に驚く娘と、娘を本気で殴ろうとしてしまったことに驚く父親。


「っ~~!!もういい!!!パパも大っ嫌い!!!こんな家二度と帰ってこないから!!!!」

「!!」


バタン!!

何も持たずに飛び出す少女。

ボンッ!!!!!バルルルルルルル!!!!!!ブゥゥウウウウウウン…!!!

深夜でも構わず、大きな音を立ててバイクで飛び出して行った


父「………………すまない………」

母「…………うっ……うう…………」

父「………詩奈…こっちへ来てくれるか…?」


タッタッタ…! ポス…

泣きながら夫の胸に飛び込む詩奈。二人はしばらく、心の傷を慰め合った。



(さいあくさいあくさいあくさいあくさいあく!!!この力を貰ってから全然良いことない!!いや…この力を貰ってからじゃない……ママが死んじゃってから………………)

「っく…!!…もぉーーーーーー!!!!!!」


フルスロットル、エンジン全開

BGMスタート


ドリフトしながら交差点を曲がり、高速道路へ向かい、進入する。


(こんな気持ち…何もかも振り切れ!!)


ブゥゥウウウウウウウウウ!!!!!!

加速していく


(こんな力に振り回されるくらいならっ…あたしから振り回してやる!!)

「変身!!!」

ボンッツ!!!ボヒュゥウウン!!!!

爆炎を置き去りに変身する


メーターは時速300キロを越している。


「そこのバイク!!止まりなさい!!!!」

パトカーが警告するが、みるみるうちに遠ざかっていく


「アハッ…この感じ…やばいかも……」

(知ったこっちゃないな…何もかも置いていけばいい…お前の力がそれを可能にする…何もかも捨て去れ…!何もかもを拒絶しろぉ…!!!)

「っ!……アッハッハッハッ!!!!!!……そうだ!!この力に不可能なんてない!!誰かあたしを否定してみろ!!やれるもんなら、あたしを止めてみせろぉおおおお!!!!!!!」


ピシュゥン…!!!

メット越しに両目が蒼く光る。炎のようなオーラをまとって…


ブゥウン…!!!!

一台のバイクを猛スピードで追い抜いた。


「お~……可愛い走り屋ちゃんがいるねぇ~…安全運転は…出来てるのかなっ♪」


クイッ! ブルン!! (ギアを上げる)

シュゥウウウ……!! (闇のオーラを身に纏う)


チラッ…!

(追いかけてきてる…?)

「ッハ!上等!!やってやろうじゃない!ついて…来れるんならなぁ!!!!」


ボッシュゥウウウウウン!!!!!


バイクを含め、全身を轟々と炎に包みさらにスピードを上げていく。


すると前方にバリケードが設置されている。その奥にも何台か車が道をふさいでいる。突っ込めばタダでは済まない。

だが、少女はアクセルを緩めることなく突っ込んでいく。


バリケードの直前、バイクから飛び降りて前に出る。

背中の太刀を抜き、斜めに構える。

その太刀の上をバイクがジャンプし、それを見届けた少女はバク宙で上空へ

炎の爆発で空中で加速し、体を回転させながら納刀。そして乗車。

ジャンプしたバイクがバリケードを越えて着地する。


ドンッ!!!ドン!! ブゥゥウウウウウウウウウン!!!!!


「な……何が起こったんだ…………」

「え!?もう一台来る!!!?」

「「うわあああああああ!!!!!ああああー…あ?」」


何故か全てを通り抜けるもう一台のバイク。

そして異常なほどの加速で炎のバイクに迫る。


BGMが交差する

それと同時にバイクも交差

隣に並んだ瞬間、二台とも同時に再加速する


二台とも物凄いスピードで他の車両を追い抜かしていく

両者、一歩も譲らずただひたすらに走り抜けていく


(くっ…!!コイツなんなの!?最初は面白いかと思ったけどもーイラついてきた…! さっきからおちょくってばかり…!ただただついて来る……何が目的なの…!?…これじゃあ……これじゃ……っ…!!)

(そうだ…これじゃあ振り切れない…ストレスが溜まるだけだ…。だったら拒絶しろ…何もかも燃やし尽くしてしまえばいい…!お前の炎を証明してみせろ…!!)


「うおっ…!うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

(あたしは最強だ!!この力があれば何者にも絶対に負けない!!!!)


チャキィィイイイン!!!! (太刀を抜く)

ボォウッ!!!! (太刀に巨大な炎が宿る)

ギンッ!!!!! (闇のライダーを睨みつける)


(あたしの方がっ!正しいんだああああああああ!!!!!!!)

火力を上げて、太刀を突き刺そうとするが…

ボッ!シュゥゥウウウウウ!!!!!


「っ!!」


急激に失速するバイク。片手だったこと、スピードが出ていたこともあり、体勢が崩れる。


「わぁああああああああああ!!!!!!」


道路を飛び越し、下にあった砂浜に勢いよく突っ込む。

ギュルギュルギュルルルルルルル!!!!!!!

ザァアアアアアアアアアー――――――――……………!!!


砂埃を巻き上げてなんとか停止する。


「…………………………は………はぁああああああ~~~~~~~~……………」


数秒してやっと緊張が解け、大きなため息を吐く。


「………あ……ガソリン…なくなっちゃった…………ど…どうしよう…………」



バイクのすぐ近くで足を抱えて座っている少女

肩にするすると何かが登ってくる。

「ピィ!」


焔の神獣「サラマンダー」だ。


少女は軽く微笑んで小さいトカゲのようなサラマンダーを撫でる。

手のひらに乗せ、それを更に膝の上にもっていく。


「はぁ…………あたし……これからどうしよう……………」


少女が途方に暮れていると…


??「な~にしてんのっ♪」

「わっ!?」


笑顔で覗き込んでくる女性がいた。


??「暗い顔してるね~。女の子がそんなんじゃダメだぞ♪笑顔笑顔!」

「…………な…なんですかあなたは…??」

??「あたし?あたしは悩める少年たちのアドバイザー、若竹みどりちゃんだよ♪」

「アドバイザー…?…わか……なんて?」

みどり「みどりちゃんでいいよ~はい、これ」


温かいレモンティーを渡される。

思わず受け取ってしまう。


みどり「悩みがあるんでしょ?おねーさんにドンと言ってみなさい!」

「いきなりなんなんですか…どこの人か知らないですけどそういうのいらないんで!どっか行ってください!」

みどり「何で悩んでるか当ててあげようか~?ん~家族のこと…とかかな?」

「!!…………」

みどり「お~?図星だったかな~?」

「違います!!早くどっかいってください!!」


レモンティーを押し付け、押しのける。


みどり「あ、ありゃりゃ…嫌われちゃったかな……」

「……………」

みどり「…分かった。ごめんね、急にこんなことしちゃって。あたし、もう行くね。…でも、最後に一つだけ言わせて。人生、一人で悩む時間も必要で、とても大切だけど誰かに話した方が楽な場合が大半よ。家族のことで悩んでいるのなら、最後は必ず家族と話し合いなさい。もうイライラした気分はスッキリしたでしょ?」

「っ!?」


伏せていた視線を戻すとそこにいたのは先程の闇のライダー。

パチン! と指を鳴らすとバイクが独りでに砂を巻き上げながら走ってきた。

そして、少女のバイクの隣に停まった。


「あなたは…さっきの………」

手袋を外して少女の頭を撫でるみどり。

みどり「もうあんな危険な運転しちゃダメだぞ?」


バイクに跨り、ドリフトをする。

ブゥン!!!ズシャァアアア!!!

「!!??」

みどり「帰りはゆっくり帰りなね~!じゃっ♪」

二本指で合図し、走り去るみどり。


「………な……なんなの……あの人………」


茫然としたあと、バイクに近づく


(さっき、あたしのバイクをすり抜けたように見えたけど……気のせい……ん?)

「………ガソリンが入ってる………」



プルルルル……ガチャ!

黄慈「もしもし?」

父「あっ!黄慈さんですか?」

黄慈「虎羽君か、珍しいね。こんな時間にどうしたんだい?」

虎羽「夜分遅くにすみません……ちょっと…相談したいことがありまして……」

黄慈「…ああ、分かった。ぼくの方は構わないよ。今からでも家に来るといい。」

虎羽「すみません…ありがとうございます。では、今から行きます。詳しいことはそこで話させてください。」

黄慈「うん、分かった。気を付けて来なさい。」


ガチャ。


黄慈(虎羽君が悩み事か……これは相当なことが起こってしまったかな……。……前回の相談は奥さんが亡くなった時だったか………)



ブルルルル………


「…………………」


コンコン

壁をノックする音で振り返る。


詩奈「おかえり……」

「…………………」

詩奈「お父さん、今いないから上がっちゃいなさい。疲れたでしょ?」

「………………うん…………」

詩奈「……明日は学校行けそう?」

「……………ん………」

詩奈「…そ……お弁当、用意してあるから。…今日はゆっくり休みなさい。もう何時間もないけど…」


目の周りを少し腫れさせた詩奈が眠気を抑えて出迎えてくれた。



少女は炎の力をこれでもかと解放し続けた。

長年の想いを吐きだしながら、ただひたすらに独りよがりの戦いを続けた。

でも、その長い時間はようやく終わりを告げた。


家族との語らいで少女は何を思うのか……

少女があれほどまでに暴走した理由とは……

そして…少女の名前は……

次回『英雄の灯火』


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