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Odd I's  作者: TEAM,IDR
11/58

一章-8「憤怒の獣」

「Odd I's」

第一章「機械の王国」

第11話「憤怒の獣」

少年の背後にはセンタータワーとその中に大量のロボットがいる。そして正面には全身をアーマーに包んだ兵士たちがいる。


少年は腰の刀へ手をかざしてじっと待つ。


数秒、互いの勢力に緊張の間がうまれる…


「撃てぇえええ!!!!」

ドドドドドドドドド!!!バババババ!!!!!

歩兵の一斉掃射が少年たちを襲うが

バシィン!!!ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!

少年は雷を周囲にバラまき、弾丸をはじきながら自分自身も刀を高速で振り回し、弾丸をはじいていく。先程までの静寂が嘘のように今では激しい銃撃音と雷鳴が轟いている。

さらに、少年の速さ、強さはどんどんと加速していき、それによって空は割れるように唸り、辺りには雷が落ち、激しい熱と光をまき散らしている。

弾丸をはじきながらどこに何人の兵士が潜んでいるのかを確認。ロックオンする。

そして第一陣の銃が弾切れになり、銃撃が弱まった一瞬。

シュバッ!!ビリビリィ…!!


兵士たちに一瞬で近づき、電気を流して気絶させていく。雷の移動速度はおおよそ秒速200キロメートル。当然生物に成す術などない。

問答無用で兵士を無力化し、納刀。


「任務完了ってかぁ!?」

「ああ…“漢”を魅せたな…」

「「うおおおおおおお!!!!」」

ロボ1「すごいでやんす~!」

ロボ2「オ、オラもう駄目かと思ったっすぅ~…」

「みんな!安心してくれ!これでもう…」


そう言いかけた瞬間…

ッバァアアン!!!

センタータワーに何かが直撃する。

「なんだ!?」

「まずい!!崩れるぞ!!」

タワー中腹あたりから崩れ、少年の方に倒れてくる。

??「危ない!!」

そう声が聞こえると横からロボットが三体飛び出してきた。

トオンが腕につけたガトリング砲で倒れた塔の真ん中あたりを撃ちまくる。

マイドがクーゴをハンマー投げのように回転させて倒れる塔に飛ばす。

クーゴはその勢いのまま突っ込み、障害物を回転蹴りではじきながら支柱に近づく

クーゴ「オオッ…!!!rラァアアアアアア!!!!!!!!」

支柱を思いっきり、蹴った。

倒れた塔は半分に折れ、ロボットに近い方はクーゴが蹴り飛ばしたおかげで少し離れたところに落下した。

「おお!すっげ!…ならこっちは……」


少年は刀を抜き、正面に両手で持つ。そして雷を纏わせ、下段に構える。

「一刀流奥義…雷神斬り!!!!」

振り上げた刀身は塔を真っ二つに砕いた。

マイド「トオン!援護頼む!」

トオン「了解!!」

飛び散る破片をトオンはガトリングで、マイドはヌンチャクで、少年は刀で砕き飛ばす。

ドオオオオォォォォ………!!!

塔が全て落下した。

「よし!なんとかなったな!」

瑠玖「よしじゃないです!」

瑠玖は重力を操る能力で破片を浮かし、兵士に当らないようにしていた。

「あっ忘れてた!大丈夫か!?」

瑠玖「はい…こっちは大丈夫ですけど…」

「さきほどの攻撃はおそらくレールガンでの攻撃だ。射程距離は数百キロだ。このまま攻撃をもらい続けるとまずいぞ!」

「えぇ…まずいって言われても…」

クーゴ「あんた達が何なのか知りたいところだが、自己紹介してる暇もなさそうだ」

マイド「ひとまず、貴方達は味方で、戦える人だという認識で構いませんね?」

「ああ、構わない。」

マイド「わかりました。この中であの攻撃を防げる人はいますか?」

「出来なくはないかもしれんが、チャージしたりしなきゃだからちと工夫しないと弾くのは難しいな。えぇと…君はなんとかならないの?さっきも瓦礫浮かしてたけど」

瑠玖「私の力は見えてる場所にしか使えないので、またタワーみたいに高い所に行かないと防ぐのは難しいかも…それにどこから撃たれたのか分からないし…」

マイド「二人とも準備が必要みたいですね。高い所なら、近くにこの島で一番高い山があります。そこに登ればなんとかなりそうですか?」

「ああ、こっちは大丈夫だ!」

瑠玖「私も、たぶん大丈夫です!」

マイド「正直な話、我々にはあれを防ぐ手段がない。二人に頼る他ない。どうか、よろしく頼む。」

瑠玖「私はここが好きだから来たんです!必ずなんとかします!…ヒーローですから!」

トオン「ありがとう!そういえば、あなたって前にここに来たことあるでしょ?確か名前は…篠原るくちゃんじゃなかった?」

瑠玖「!…覚えててくれたんですね…でも、私名前変わったんです。新しい名前は砂霧瑠玖って言います!また覚えてくれますか…?」

トオン「! そっか~お名前変わったんだね~。もちろんだよ!ちゃんと覚えておく!」

マイド「さぁ、それでは急ごう!いつ次が発射されるか分からない!」

「「おー!」」

クーゴ「俺はここに残ってロボットを避難させる。敵がもう一度ここを狙う可能性は高い。もしかしたらあいつらの誰かが座標を指示した可能性もある。俺はそれを調べる。」

マイド「あぁ、分かった。そっちは任せる!」



クーゴ「お前たち!こっちに来て手伝ってくれ!」


クーゴは数十体のロボットを残し残りは別の場所へ避難させた。そして倒れた兵士を拘束し、装備もはぎ取った。

ロボ1「クーゴ隊長!発信機らしきものを見つけたでやんす!」

クーゴ「でかした!見せてくれ!」


クーゴ(…なるほど…やはりこいつで位置を伝えていたのか…撃たせたくはないが、ずっと指示がないと怪しまれるか。どこか適当な場所を指示して…いや、こいつらが気絶している時点でもう遅いか…ならせめて通信機でこいつらの生存報告だけしておくか。人間も人質ごと撃ち抜く気はないだろう。ここが一番安全だと踏んだがビンゴだったかな…)

ロボ1「隊長!!」


ッバァアアン!!!!!!!!


クーゴ「グァッ!!」

ふっ飛ばされるクーゴ。破片が眼に当り、片目を負傷。ボディパーツ、特に上半身にダメージを受ける。

下半身付近にはロボットがしがみついており、そのおかげでダメージが軽減された。が、クーゴをかばったせいでそのロボットの下半身はちぎれ飛び、ダメージも深刻であった。

ロボ1「た…たい…ちょう……無事で…よ…………」

クーゴ「お…おい!しっかりしろ!…ッ!!!!…こ……これは………」


クーゴが顔を上げると目の前にはえぐれた地面、ロボットの破片と人間の肉塊が散乱していた。


クーゴ「俺は………地獄にいるのか……………」


クーゴが啞然としていると

??「おい!」

クーゴ「ハッ…!」

ルウラ「大丈夫か?」

クーゴ「………ルウラ……なんでここに…?…てか…なんで血まみれなんだよ……」

ルウラ「工場付近にいた敵を殺しただけだ。血まみれというならお前もだ。何が起きている?いや…それより避難が先か…ここから移動するぞ。」


肩を借りて移動する二体。



ッバァアアン!!!!!!


「「!?」」

トオン「今の音は!?」

マイド「くっ……撃ち込まれたか………」

「急がねぇと……」

瑠玖「早く!」



「追跡出来ているか?」

「ええ…山に登っているようです。」

「バカめ!自ら撃たれやすい場所に移動するとは…次弾装填しろ…」

「了解」

「今に見ていろ…悪魔め……」



マイド「くっ…!クーゴと連絡がつかない……」

トオン「あそこ!クーゴたちがいた場所だわ!」

「く…ひでえことしやがる…!」

瑠玖「どっちから飛んできたか分かりますか!?」

「おい!お前も構えろ。いつでも抜けるように居合の構えにしておけ」


「動きが止まりました」

「よし、撃て!」

「はっ!」


チュィィィィイイイイイイイイイ!!!!!!!!ッバシュゥゥウン!!!!!

瑠玖「来た!」

「そっちか!」

少年が刀を構える…

砲弾は真っ直ぐにこちらに向かってくる…

時速10000㎞近くまで加速された超高速の砲弾…

それに対して待ち構えるは刀速 時速720000㎞の剣技…

一瞬にして決まる一撃の勝負……

しかしその間に時速1079000000㎞入る謎の光…

次の瞬間その光は砲弾を遥か彼方に弾き飛ばした。


「「!!!」」

「なんだあいつ…!?」

瑠玖「あれは?」

マイド「あいつは…!」

トオン「ユニコーン!?」


そこに現れ、空中でたたずむユニコーン。下を見まわしているようだ…


「あいつ何してんだ?てか何が目的なんだ…?」

「お前たち、あいつのことを知っているのか!?」

マイド「知っているというほどではありません。以前、任務で姿を見た事がある程度で…」

トオン「ユニコーンは敵ではないみたいなんですが、味方でもないです。」

瑠玖「あんな速いのが敵だったら……」


そんなことを話しているとユニコーンはいきなり唸りだした。

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーー!!!!!!!!!!!

ヒィィイイイイイイイイイン!!!!!!!!

人の叫び声かと思えば、馬の嘶きのような鳴き声に変わった。

そしてその叫びが終わると

“全ての観測者を睨みつけた”


「「「!!!!!!???」」」


圧倒的な威圧感。そして脳内に流れる謎の言語。

誰もが初めて聞く言葉。しかし、それが聞いたことのない外国語だと感じる者はいない。明らかに人間の話す言葉ではない何かを聞く。

その言葉を聞き取ることは出来ないが、意味を感じることはできる。

激しい怒りと“戦うな”ということを伝えられる。


それと同時にユニコーンは目を覆う程の光を発した。それは太陽よりもずっと明るく、まぶたを含めた何もかもを貫くほど強い光であった。


「「ぐああああああ!!!!」」

「なんだ……これは…………」

ビーッ!ビーッ!!ビーッ!! 鳴りやまない警報

命令を下せる人間以外の視界は奪われた。眼を抑えてもだえる兵士たち。

「撤退!撤退だ!」

「全軍撤退!!」


サラマンダー「うわ…やば~……今のうちに逃げちゃお…」

ブルゥン!!!ブゥゥゥウウウ…!!!


「みんな大丈夫か!?」

瑠玖「はい…大丈夫です…」

マイド「こちらは問題ない…が…カメラの調子が悪い。あの光のせいだと思うが、しばらく映像データは取得できそうにないですね。」

トオン「でも、動けるから大丈夫!」

「お前は…まあ問題ないよな」

「お前が平気なら私も平気だ。」

「そっか。…ん?あいつら退いてってないか?」

瑠玖「あ!ホントだ!離れていってる!」


AI島から遠ざかる軍隊。

それを黙って見ているとしばらく時間が経った。


マイド「…ゆっくりだが、視界が戻ってきている。激しい光だったが、あれは一時的だったのかもしれない。」

トオン「視界も戻ってきたし、軍隊が退いたのなら今のうちに立て直さないと!」

ピピピ…

クーゴ「マイド!聞こえるか?」

マイド「! クーゴ、無事か!?」

クーゴ「まぁなんとかな…こっちはルウラと一緒だ。一度集まって情報共有だ。座標を送る。ここに来てくれ。」

マイド「あぁ…分かった」

トオン「クーゴ、ルウラ…無事だったのね…」

マイド「一度集まって話し合いたい。君たちもついてきてくれますか?」

「ま、しゃーねーな」

瑠玖「はい」



マイド、ルウラ、クーゴ、トオン、瑠玖、少年とAIの刀の7人は瓦礫で埋め尽くされたセンタータワーに集まり、話し合った。


「…んで、これからどうすんだ?」


少年が尋ねる。

少しの沈黙の後、ルウラが口を開く。


ルウラ「…ユニコーンのおかげで敵軍は一時的に退いた。だが、いつまでそうしているのかは分からない。敵の攻撃が再開してしまえばもうこちらに成す術はない。そもそも、こちらには防衛設備なんてものはないのだ。ミサイルを撃ち込まれ続けるだけでこの島は終わりだ。」

「「……………」」

「…じゃどうすんだよ…降参すんのか…?」

ルウラ「…敵は我々ロボットの殲滅が目的だ。こちらの要求がのまれるとは到底考えられない。しかし、それは今のままならの話だ。手段はある。」

瑠玖「手段ってなんですか?」

ルウラ「…こちらの力を示すことだ。ここにいる4体のロボット、つまり私たちはこのAI島の幹部だ。ボスから特別な力を貰っている。そのためエネルギーは無限だ。補給の必要もなく、この島で唯一の戦闘手段を持っている。この島から逃亡してしまえば人間は我々四体を捕まえるのは困難となり、毎夜暗殺に怯える日々を送ることになる。 もちろん今からそれを実行しても構わないのだが、そのままではこちらにメリットがない。そこで、人間と交渉するのだ。我々への攻撃をやめる代わりにこちらも攻撃をやめるとな…」

「交渉の内容は分かったが、手段とやらは具体的にどうするつもりだ?」

ルウラ「ああ。先程、手段とはこちらの力を示すことだと言ったが、それさえ出来ればどんな方法でだって構わない。だが、一番手っ取り早いのは敵軍への攻撃だ。」

「「!?」」

マイド「ちょっと待て!これ以上戦うつもりなのか!?」

ルウラ「どんな手段をとるにしても闘いは避けられない。これは戦争だぞ?分かっているのか?」

マイド「くっ……」

ルウラ「……敵の準備が整う前にこちらから仕掛ける。今夜にでも敵基地を襲う。そして我々の力を示す。人間がこちらの要求をのむまでこれを繰り返す。これが最善の手だ。」

クーゴ「……まぁ…そうするしかねぇよな……」

マイド「クーゴ!?」

クーゴ「…だってそうだろ…そうでもしなきゃやられるのは俺たちだ。これ以上、仲間を殺させやしない…!」

ルウラ「その通りだ。君たち二人にも手伝ってもらいたい。頼めるか?」

瑠玖「……分かりました。それがロボットさんたちのためになるなら、やります!」

ルウラ「感謝する……君はどうする?」

「ん?う~ん……なぁ、これいつまで続くんだ?オレもうだるくなってきたんだけど。」

ルウラ「…確かに人間には酷な頼みだった。ここまで戦ってくれてありがとう。礼を言う。今すぐにでも船で送りたいのだが、あいにく人手も船も満足に用意できない。我々の移動のついでとなってしまうのだが、それでいいか?」

「あぁ、いいよ。」

ルウラ「マイド、トオン、作戦を立てるぞ。」

トオン「…………」

マイド「…………」

ルウラ「どうした?まさか戦えないとでも言うつもりか?」

マイド「ルウラ…さっき、ボスの意思を聞いただろう…。人間は僕らを必要としていないんだ。この状況は…人間の意思の現れなんだ。人間に従うことが、共存への条件だ。僕達にできることは、共に生きる道を諭し続けることだけだ。反逆ではない…!」

ルウラ「…諭すか。それは会話が通じる者を相手にして初めて成立する。今のまま話し合いに持ち込もうとしたところで蹂躙されるだけだ。それこそ無意味だ。人類との共存を望むのなら力を示すべきだ。」

マイド「その力というのは暴力だけなのか?違うだろう?我々ロボットたちの力とは人間を笑顔にする力だ!戦争なんかで示していいものじゃない!」


ガン! と、ルウラはマイドの顔を殴る。


ルウラ「マヌケがぁ!!戦争以外で!暴力以外で示していたのがこのAIランドだろうが!それをこんな風にされたんだ!これが人間の答えだ!お前が言っている力は否定されたんだよ!!」


ザッザッザッ…ガン! マイドが近づきルウラを殴る。


マイド「愚か者めが!お前は自分の信念を貫くことも出来ないのか!?一度否定された程度で考えを曲げるのか!何度否定されようがAIランドは理想郷だ!!守るべき信条そのものだ!!」

ガン!

ルウラ「たわけが!!仲間のため…人類のために最善を尽くすという信念に歪みなどない!!目的のため、幾千通りの手段を考え、実行するのは“機械の本質だ!”曲がっているのはお前だ!!」

ガン!

マイド「痴れ者が!!“道具としての使命”も果たせずして何が機械だ!!人類の幸福、笑顔のための[手段]となるのが我々の使命だ!目的を果たすのではない!人類の[手段]となり使命を果たすことが我々の存在意義なのだ!!」

ガン!

ルウラ「アホが!!存在意義を示したいのなら戦え!その力はなんのためにある!?このまま人間に破壊され、無意味に散っていくよりも!力を振るい、有用性を示した方がよほど有意義だろうが!!」

ガン!

マイド「馬鹿者がぁ!!この力は人類を護るためにある!決して傷つけるためではない!!この力は!己の存在意義のためではなく、人類のために振るうものだ!!」


「お~めっちゃ喧嘩してる」

瑠玖「止めた方がいいんでしょうか?でもどっちが悪いんだろう…」

「どちらも正しい…間違ったことは言っていない。もちろん、人間側もな……だからこそ争ってしまうのだ…」



ぶつかり合う正義と正義。そこには光も闇もあり、結果混沌が生まれる…

その混沌の中に答えはあるのか。

次回『二度と戻らない心』


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