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【完結御礼】異世界バイト 身代わり魔王のダミー生活 ―ラスボスの影武者したら、元カノが勇者になって攻めてきた。ちなみに魔軍宰相はツンな妹が務めます―  作者: 香坂くら
秋の章 落ち葉を拾うあなたの心を教えて欲しい

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42 豪人、ツェツィーリアにふられる③


【勇者パーティ・勇者アンコの視点】



 わたしたちはエロイーズさんの指示で街に出た。調査だ。

 街の人たち何人かに話を聞く。「本当にわたしたちは道を間違っているのか」って。


 答えてくれた人たちの話はてんでバラバラだったけど、結果を持ち帰ったら、エロイーズさんがひとつの推論を立ててくれた。


「エフェソス帝国領内でウソの情報がバラまかれているみたいね」

「ウソって?」


「現在の魔王城へのルートよ。間違ったルートを教えて城への到着を遅らせる作戦とか?」

「そんなしょーもない作戦、フツーするか?」


 ボコン! と水の塊が鳴った。


 わたしたちはリラックスして意見が出し合えるように、温泉に浸かりながら話し合っている。

 無意識に布切れを湯船に浸けて遊んでたら、ヘンな音が出てしまったのだ。

 チュテレールも面白がって真似をしだしてる。


 エロイーズさんに「メッ」された。

 ごめんなさいっ。真面目な話してるとこだもんね。


 ジュドーは怒ってなさそうで良かった。

 でもすっごく顔が赤い。


 怒りをガマンしてるのかな、それとも今の、わたしがオナラをしたってカン違いしてるとか……?!

それ、間違いだからね、オナラなんてしてないからね!


「――となったら、これから出くわすヤツらは全員魔王の手先か?」

「そう……とも言い切れないわね。魔王城から報酬をもらってたヤツもいたようだけど」


 それ、いた。昨日。街を渡り歩く行商人とかだったかな。

 もっとしつこく事情を聞いとくべきだったな。


 もし魔王の策略とかだったら、こっちも仕掛けられた罠に対抗しなきゃだしね!


 わたしは明日にでも、その人を見つけるためにもう一度繁華街をうろついてみようと決心した。

 あ、チュテレールもついて来てもらおう。通訳してもらわないとだし。


「アンコ」

「は、はいっ」


「胸。モロ見えしてるわよ。ジュドーが舐りまわしそうな勢いでガン見してる。気をつけなさい」

「――ふえ? い、いやああぁぁ!」


「お、オレ、ガン見なんてしてねえしッ」

「でも今度はわたしのおっぱい、ガン見してるわよね?」


 ……あ、してる。

 エロイーズさんのを食い入るように見詰めてる。

 えっちすぎ! もうイヤ!


「今晩夜這いかけられないようにしっかり戸締りしとくのよ」

「チュテは夜這い、歓迎だよう?」


「もう、ヘンタイパーティ、サイテー!」


 抗議したら、何が楽しいのか、ニヤニヤしたエロイーズさんとチュテレールがわたしに覆い被さり、ふたり掛かりでオシリとか胸を刺激してきた。


「ぶりっこはフツー男子がするものよ! 女子がしたってただ鬱陶しいだけ!」

「何がぁ?! なんでぇ?!」


「ジュドーのハジメテは、チュテが先にもらうんだからあ! アンコは女の子とイチャイチャしてたらいーのッ」

「ひゃんッ、ち、ちょっ……はあんッ」


「オレ、先に出んぞ!」


 このドタバタ騒ぎにジュドーがいち抜けた。

 立ち上がった勢いでタオルが落ち、彼の下半身がとんでもないコトになっているのをまともに見てしまった。


「きゃあああ!」


「おまいら―ッ! 公衆の面前でオレに○○させるなッ! とにかく先に上がるッ!」

「ええーっ、ジュドーお! 行っちゃダメえ!」

「いってらっしゃーい。ヘンなビョーキもらわないようにねー。朝にはちゃんと帰って来なさいよッ」


 サイッテーだ、ホントにサイッテーだぁ!


「出掛けねーよ! へ、部屋に戻るだけだ! オレ先に寝るからッ!」

「――って冗談よ。本当に出てくバカが何処にいるのよ」


「なんなんだよ、もお! カンベンしてくれよ! オレが――」


 悪態つこうとしたジュドーが不意に真顔になった。

 エロイーズさんの表情を読んだんだ。


「ごめんね。オフザケはここまで。話を戻すわ」


 わたしとチュテレールもすぐさま察した。

 エロイーズさんは瞬時に人を畏怖させたり統御したりする何かをもっている。

 一瞬で空気がピリッとした。


「わたし、このお宿が気に入った。長逗留しましょう」

「えええ?」


 恐る恐る伺うわたしたち。


「直ぐに出発しないのお?」

「遊んでていいんですか?」

「オレたちには使命があるだろ? それに、魔王城へのルートが改変されてるって事は、オレら光の加護(デュクラス)が本格的にヤツらに認識されたって事で、決戦はいよいよじゃねえのか?」


「魔王城へのルートが外されていようとどうだろうと、わたしは問題視しない。むしろ好都合だと思ってる。せいぜい人間族がその気になるまでノンビリ旅を続けましょう」

「……その気になるって、どういうこと?」


 エロイーズさん、両手ですくった湯をパチャッと自分のカオにかけた。

 ニイ……と歯を見せた。目は据わってる。


光の加護(デュクラス)の者だけで魔王退治するなんて、流行らないでしょ? しびれを切らせた人間族がエフェソス帝国に軍隊でも送り込んだら、ちょっとはわたしらの援けになるよね?」

「エロイーズの言ってるの、チュテには難しいよう」


「わたしたちってさ、人間族の味方をしてるよね。でもさ、人間族はわたしたちをどう思ってるのかしらねぇ。そういう話」

「余計、分かんないー」


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