冬に至る
これは、冬至の日の話。
今日がその日とニュースで聞いて、朝の暗さに納得した。
「やっと明日から日が長くなっていくね!」
白い息を吐きながら道を行けば、外套の中でお隣が嬉しそうにはしゃぐ。
確かに夜が長くなる日々の終わりと考えると、明日に希望がみえてくるようだ。
赤と緑で彩られた街。
洋菓子屋の店先には、樹の形をしたケーキが並ぶ。
「昔はね、外国では冬至に大きな木を薪にして燃やしてお祝いしたんだってさ。」
大樹を畏敬し火に祈りを捧げる風習は、古今東西で共通なのだろうか。
とはいえ食料の乏しい冬が終わり、芽吹の春の始まりを祝いたくなるのも頷ける。
「逆に今日ほど夜が長い日もないってことなのか。」
「冬の底ってことだよね。」
見上げれば、どうも空が高く見える。
光頂く冬の底
隣でうぐいすさんがそう書き付けるのを見守りながら、
やっと明るくなってきた朝を歩いた。
終
ひとこと事項
いつも冬至に向かっていく最中では、明日もまた夜が長くなる…と悲しい気分になっているのですが、冬至を迎えると明日から日が長くなる!と嬉しくなります。日本ではこの後もっと寒い時期を迎えますが、寒くても日は伸びているんだという心持ちでこの期を乗り越えることで、春に温かさと日の長さのダブルで嬉しくなるのが毎年です。やっぱり春っていいですね。
ブッシュドノエルのモチーフとなっている木は何の種類なんだろう。クリスマスツリーならモミの木ですが、それを切って丸太にしてしまう…?と思うので、やっぱり元となっている冬至のお祭りユール・ログで燃やしているカシの薪(丸太)なのかなあという気になります。北欧神話の世界樹ユグドラシルはトネリコという種類なので、やっぱり流石にトネリコの木は焼かなかったのかなあなんて。
この木の一番下、根っこの部分にいる蛇ニーズヘッグはこの樹をかじっているそうですが、そんなことをしたら枯れてしまうのではと思いきや、実際にこの木が枯れる要因は、永遠の智慧を得るために片目(挿絵では左目が多いらしいがどちらかには諸説あり)を捧げたオーディンがその枝を切って槍を作り、それが原因であることを運命の女神のルンが謳っているのだそうです。自身の身に過分な知恵を得て戦争道具を作ったことが最終的な世界(樹)の終わりを招く…なんだか怖い歌ですね。というか…ニーズヘッグとばっちり(´艸`*)!!
今回もありがとうございました。