幽玄の滝
これは、こととと旅行の思い出話をしていた時の話。
お互い行ったことがある場所についての話なのに、なぜか記憶がくい違った。
「ぐるっと白い滝に囲まれて、空気も良くてすごい神秘的だった♪」
「大きいのが一本降りてきていたような…。お土産の鉱石、綺麗だったな。」
「そんなの売ってたっけ(ºΔº)?」
よく聞けば、当時の旅先も全然違う。
どうやらぼくらは、同じ名前の別の観光地に行ったことがあるようだ。
どちらの様子を聞いても、同様に魅力的で、インターネットで調べてみると、なんと2箇所に留まらず、もっと同名の地があった。
シンプルな名称というものは、被ってしまうことがある。
それは何となく、ゲームでハンドルネームを付けた時にも、“その名前は使われています”と言われたことがあったので、分かる気がする。
でも、全く知らない相手と意見が被るのは、なんとなく不思議。
「違う時間、違う場所でも、人は同じ感覚を共有できるんだね。」
同じ名前をつけようとした誰かとは、気が合うのだろうか。
顔の見えない同好の士のことを、ちょっと考える。
糸幽かなる玉簾
書き付け終わるのを見た後で、ぼくらは同じ名前の観光地巡りをしようと、次に行ってみたい場所を夢想した。
終
ひとこと事項
白糸の滝(滝:夏の季語)
以前、白糸の滝の思い出を話した際に、お互いの記憶が合致しない項目があり、片方がファンタジーワールドに迷い込んでいるのではないか、なんて冗談を言い合ったことがありました。「白糸の滝」と呼ばれる景勝地は、全国にあるようです。
同じ名前の景勝地が残っているということは、その率直な美しさを保存しようと努力されてきた方々の想いによるものなのかなと思います。全ての白糸の滝に行ったわけではありませんが、行った箇所はいずれもとても神秘的で素敵でした。
中々外出の難しいこの頃ですが、少しでも旅の気分の足しになれば幸いです。
早くまた気軽に外出できる日々が戻ってくることを願って…!
お読み下さりありがとうございました!