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はすなうぐいす  作者: 晴雨
夏【一】
21/62

ひとつのいろ

これは、広告を見ていた時の続きの話。


「でもさ、こっちの方が良いんでしょ?」


十人十色で良いじゃないかという風向きが、こととの一言で一転した。

彼女が示した化粧品の女性と、こちらが示した飲料の女性。

確かにどちらも美しいが、人には好みによる序列がある。


「色んな意見があって良いのに、国語のテストでさえ答えは1つ。結局、世の中にはきっと“最も適切”なものが存在するんだよ。」


皆良いなんていうのは、答えじゃないんだよと、ちょっとドライな彼女。

何か嫌な事でもあったのか…?


なりたいと自分と、求められる自分。

化粧では、自分の好みだけを貫くべきか。皆に求められる姿になるべきか。

勉強では、自分が必要と思うものだけを覚えるべきか。

仕事では、皆が求めるものだけを供給すべきか。


ならば、趣味ならば…?


“だけ”“べき”という言葉は強すぎるかもしれない。

でも“承認”という名の社会的な圧力が、僕らに重くのしかかっている気がする。


夏草や 轍作るか 彩るか


正答、誤答、沢山あって良い答え…

その中から、最も適切な、一番の答えを見つけ出さなければならない。

苦しみの根源の1つを知ったような気がした。




ひとこと事項


・夏草(季語:夏)

青々と伸びた夏の草原には、大きなエネルギーを感じます。中国の詩人・魯迅という方の「故郷」という詩には、「元々道というものはなく、沢山の人が歩くとそこが道になる」といった内容が出てきます。本来の含意は歴史のでき方について述べたものですが、最初は轍で、それを道にするには一人ではできない、という事実からこれを物語っているのかなと思います。


エネルギーに溢れた夏の草原を踏み分けて、最初に道筋をつける人は、創作の世界ではきっと、ジャンルの開拓者様なのでしょう。一方、その轍を彩り飾る人々は、読者の方や古轍を踏むが如くにそのジャンルを愛する作家様なのでしょう。私も句や俳文が好きです。そうしてこれまで色々な典型ができてきたのかな、なんて思い、句にしてみました。


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