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はすなうぐいす  作者: 晴雨
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雨上がり


これは、うぐいすさんの趣味の話。


坂の下での一件以来、彼女と会う日が多くなった。

実は元から微妙な縁があったようで、彼女はぼくを知っていた。

この日は雨の上がった道を、虹を探して散歩した。


ぼくは彼女を“ことと”とか、“こと”と呼んでいた。

元は祖父につけてもらったあだ名だそうで、小鳥を意味しているらしい。


ことは国語の授業の折に、俳味について教わった。

それから折々に句の欠片を見つけては、一筆箋に書きつける趣味ができた。

彼女はそれを、句片(くへん)という。


趣味を褒めると、彼女は決まって戒めじみて“はすに構えているだけさ”と自虐する。


句の実力は自他が認めるダメダメで、“すっぺらぽう”なうぐいすだという。

変な声で鳴く歌詠み鳥が、古典にそう記されていたとかいないとか。


かえるよけたらまたかえる


と、蛙を踏まないように跨いだら、その先にもまた蛙がいて、よろめく彼女。

でも欠片ができたようで、嬉しそうに書き付ける。


これは、そんなすっぺらぽうな、斜に構えたうぐいすさんの話。




ひとこと事項


・鶯と蛙

古今和歌集の仮名序には、皆に歌を思い起こさせる鍵として鶯と蛙が出てきます。

春の夜に聞く蛙の合唱って、心が落ち着いて素敵ですよね。


句片くへん ※注:造語

こととが探している、句の一部分となる語のことです。


・すっぺらぽう

すっぺらぽうという声は、古典に出てくる変な鳴き声の鶯の例だそうです(オノマトペ辞典)。


・トト

“トト”は魚や鳥を表す幼児語の1つ。


・かえる(季語:春)

水辺にすむ最も身近な両生類の1つ。かわずとも。


・ことと(こと)

句の欠片を探すことが好きな少女。

挿絵(By みてみん)


二話目で解題し、以降は小品集にできたらと思っています。

お読み下さりありがとうございました!

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