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はすなうぐいす  作者: 晴雨
夏【一】
16/62

定食屋と山菜蕎麦

これは、情緒ある観光地を訪れたときの話。

お昼を食べようと定食屋を見つけて、二人で山菜蕎麦を待っていると、店の壁に、往時の盛況な様子を写した白黒写真が掛けられていることに気が付いた。


ぎゅうぎゅう詰めで、タンクトップに坊主頭の男性達が、蕎麦をかきこんでいる。

そんな大きな畳敷きが、今はこんなにも広々としたものかと、寂しさを覚えた。


あちこちに傷を作った机上には、最後にいつ使われたのかも分からない、コイン式の卓上占い機が、佇んでいる。


と、独りになっても店を切り盛りしてきたお婆さんが、山菜蕎麦を二杯、お盆に載せてやってきたので、慌ててこととと、支えるように受け取る。


ようこそお運びくださいました


彼女が後で書き付けた印象的な言葉と共に、店主は堰を切ったように話始める。

中には同じ質問もあったものの、こととは顔に出さずに真摯に返事をしていた。


店を出てから。

まだこの場所が残っていて、来られて良かった。

こととはふにゃり、そう微笑んだ。


それから散策を続けながら、当時の様子に思いを馳せた。




・ようこそお運びくださいました

 調べてみると、大和言葉なご挨拶の仕方だそうで、足だけでなく、時間をもかけて来てくださっ たことへの感謝の意味も含まれているのだとか。奥ゆかしい、素敵な言葉だと思います。

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