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伝説その4【勇者カフェ『リュビア』へようこそ!】秘密♡のサービスも紹介しちゃうよ!

はい、今日も元気に参りましょう。

伝説の勇者☆エリス・アッドセイアです。


みなさん毎日お仕事ご苦労様です。この動画って、お休みの日に観てくれてるんですかね?それともお仕事に向かう馬車に揺られながら素魔法(すまほう)で視聴してくれるんですかね?

お仕事が忙しい人も勉強が大変な人も、そんないつもの日常のなかで、ちょっとでも楽しい時間を過ごせてもらえたらなーって思って、わたしは動画投稿に励んでいるんですよ。

とはいえ、まだまだ駆け出しですからね、冒険もままならないのでバイトの方も一生懸命に続けています。


ほら、どんな偉人とか英雄にも必ず雌伏の時期ってのがあるじゃないですか?バネがびよーんって弾む前には力を溜める必要がありますよね、それと同じで、伝説の勇者にも飛躍を待つ準備期間ってのがあるわけです。


ということで今回は、わたしが働く勇者カフェを紹介しちゃいまーす。かわいい女の子勇者がいっぱい出てくるので、楽しみにしてくだいね。




「お帰りなさいませ魔王さま、ですわ」


真鍮の取っ手を押して木製の扉を開けると、快活な女の子が店の奥からぱたぱたと小走りにお出迎えしてくれた。

ロングの前髪ぱっつん姫カットに、耳の上から編みこんだ髪を後ろは結っているようだ。金髪がゆったりとしたリネンの純白ブラウスに良く映える。スカート丈が短いのも個人的に、いや全世界の男性的にGoodだ。


入口すぐ左手の書棚には魔術や錬金術、秘境や幻獣などなど怪しげな蔵書、それとなぜか場違いなティーンの女性向けファッション誌が並び、その上の壁に目を向けると手前からギガンテス・ケルベロス・ヒュドラかな、強くて凶悪そうな魔物のイラストが掲げられている。

店内の内装は黒を基調としたゴシック調。といっても照明が暗くておどろおどろしい、なーんてこと全然なくて、あくまでも作り物感溢れる健全な退廃、安心な幻想、ロリータ趣味の強い邪気眼系の中二病的な世界観だ。


「お一人様でお帰りですか?それでは、今日は魔王さまの御城で存分におくつろぎくださいな」


くるりと歩き出して店内へ案内してくれる。僕は、背筋がピンと伸びてなんとも優雅な後ろ姿についていく。

ステージ正面の特等席。深い茶の木製テーブルにはシンプルな銀の調味料入れが並び、その両脇にはデフォルメされたドクロと蝙蝠のフィギアがちょこんと添えられ、蝋燭を模した小さな置物と共にポップな魔界感?の演出に一役買っている。椅子の背もたれもツノというかキバというか、邪魔にならない程度の派手派手メタルな装飾だ。


「ようこそ、魔王様の居城リュビアへ、わたくし、今日ご給仕させていただく勇者のナウリシアですの。魔王さまは初めてのお帰りですか?」


控えめな胸に留められたピンクのハートマークのネームプレートを指し示しながら、お嬢様な勇者さんが自己紹介してくれた。


「はい、初めてです。よろしくお願いします」


元の世界でもこういったお店に入ったことがないので、どう振る舞えば良いのか知らないぞ。敬語を使うべきなのか、それともフランクで構わないのか。


言うまでもなく、僕は魔王じゃない。元男子高校生、現在は異世界転移者だ。そして、ここは魔王の城じゃない。勇者カフェ『リュビア』。エリスが生活費のために働くお店だ。

なんでも、お客さんは魔王という設定の下で、永遠のライバルである勇者に給仕してもらえる背徳感と優越感が味わえる。というお店らしい。正直、まだコンセプトが理解できていないけど。


今日はエリスにシフトが入っており、かといってその間、この世界に来てまだ日が浅い僕が一人いても時間を持て余してしまうため「どうせなら、一度来てください。自慢の職場を紹介しちゃいます」と誘われて、のこのこやってきたという次第だ。


「お名前はカズトさまですね。カズト魔王さま、よろしくお願いいたしますわ。リュビアでは、美味しいお料理と心を込めたご給仕で、世界征服に勤しむ魔王さまの疲れを癒しちゃいます。こちらがメニューですの。はじめての魔王さまには、お得な限定メニューがおすすめですわ」


- 200G -

・はじめましての魔王さま限定!とくとく魔界セット

- 250G -

・底なし沼の恐怖!とろっとろかれーらいちゅ

・わくわく洞窟の爆弾岩!たこ焼き&唐揚のダブル定食(ひとつだけ激辛が入ってるよ)

・ラドキア火山直送!特製ドラゴンステーキ

・海の神様からの贈り物!具だくさん海鮮ぱちゅた

・味の宝箱!勇者のお絵描きオムライス

・今日は何かな!シェフのきまぐれ勇者めし

- 150G -

・気分は極寒のウォルス雪原!ひんやりバニラアイスぱふぇ

- 500G -

・気分はラスボス!でらっくす魔王様セット(おすすめだよ!)


手渡されたメニューは、写真や手書きのイラストが賑やか。ゴスロリな色調に対して踊るような文字&かわいいネーミングがなんともミスマッチだ。いずれのメニューもチェキとお楽しみ券1枚が付いているとのこと。入場料と兼ねたドリンクが50G。勇者ライブは一曲100G。でらっくす魔王様セットだけは全部こみこみ。

それにしても、いまだこの世界の貨幣価値が掴めない。20Gというのは日本円でいくらくらいなのか。僕、この世界のお金持ってないんだよね。今日の代金はエリスが立替えてくれる(例によって給料天引き)ということだが、さすがに金額の目安を把握しないと怖くて注文できないな。最終的には自分の懐から出ていくんだし。


「ふふん、どうです?なかなか良いお店じゃないですか?」


と、誇らしげに声を掛けてきたのは、白地に緑のラインが入った御馴染みの衣装に身を包んだエリスだ。ちょうど良いとこに来てくれた。


「あれ?制服とかじゃないの?」


「ここユニフォームないですから。みんな思い思いの勇者っぽい衣装でご給仕してるんです。わたしは、いつものこの服です。冒険するのも魔王さまにご給仕するのもどちらも立派な勇者活動ですからね」


「いや、後者は違うでしょ。どっちというと反勇者的活動に属する気がするぞ」


しかし、そう言われて店内を見ると、他の勇者(女の子)もそれぞれ違った服を着ている。

奥のテーブルで男性客の話を熱心に聞く黒髪の子は、薄いブルーの半袖に紺のズボンといたってシンプルな装い。レジで伝票に何やら書き込んでいるお姉さんは、ピンク色のワンピース&スカートに腰のレザーベルトがアクセントに効いている。そして、何がとは言わないが、上半身の一部がかなりのボリュームで、カウンターに乗っけてる感じになっている。何がとは言わないが。


「エリスさん、魔王さまのお知り合いなのですか?初めての魔王さまだそうですが、エリスさんの魔王さまですの?」


僕たちの会話を聞いて、ナウリシアが思わず質問する。お目当ての勇者がいるなら接客を譲るよってことだろう。


「んー、知り合いっていうかパーティ組んでるっていうか、わたしが異世界から召喚したんですよね」


「まあ!ということは、このお方が前に仰っていたUR吟遊詩人のホメロス様ですの!お噂はかねがね伺っておりますわ。わたくし、詩を読むのが大好きですの!いつかホメロス様の詩を聴かせてくださいな」


「いや、それはその、色々あってですね、詳しくはそのうち話すので」


二人して口ごもってしまった。視線を彷徨わせながら、ごにょごにょとお茶を濁しておく。ナウリシアはというと、小首を傾げて頭の上に大きな?マークを浮かべている。


「ほ、ほら、早くメニュー選んでください!ここは景気良く『でらっくす魔王様セット』で良いですか?良いですよね。むしろ他に選択肢ないって感じですよね。それでライブとチェキの指名はわたしに決まりですよね」


「ちょっと待て。なに、どさくさに紛れて一番高いメニューを入れようとしている。こちとら異世界に転移して無一文&無職の男という絶賛ニート中だぞ。デラックスなんて名前付く注文できるわけないだろ」


「大丈夫ですわ。一番高いメニューなら『秘密の隠しダンジョン!ドキドキ秘密のセット』ですわ」


お嬢様勇者が、誰に対してのフォローなのかいまいち分からないフォローを入れてくれた。でもざっとしか眺めてないけど、そんなのメニューに載ってなかったよ。もしかして裏メニュー的な?秘密のって二回重ねるくらいだからよっぽど隠したい内容なのかもしれない。


と、内々の話があるのか、エリスに他の客から離れた壁際へ連れて行かれる。

何やら悪そうな笑みを浮かべてこそこそと囁いてきた。


「実はですね、この店には常連さん限定の秘密のメニューがあるんですよ。向こうの部屋でお好みの勇者さんから、二人っきりで特別なサービスをしてもらえるっていう。ぐふ、ぐふふ」


それは聞き捨てならない。ちょっとエリスさん詳しく聞かせてもらおうじゃないですか。特別なサービスって何ですかね。


「そりゃあ、こういうお店で二人っきりのサービスって言ったら、もう決まってるじゃないですか、くんずほぐれつの。ムフ、ムフフ。え?お値段?1000Gぽっきりです。それ以上は一切いただきません。おっと、追加料金でいけない葉っぱもあるんですけど、それは使わないと思いますから」


1000G?日本円でいくらだろう。いや、ここはお金の問題ではない。

ほら、元の世界で暮らしていた時は、そういう機会は無縁だったからさ、異世界に転移したことだしさ。これを人生の節目として記念すべき初めての体験をしちゃうってのも、ありじゃないの?突然の展開でまだ気持ちの整理がつかないけど、ここは意を決して大人の階段を上っちゃうべきなんじゃないの?


「本日出勤してる子はですね、うぶな箱入娘のナウリシアちゃんと、真面目クール系のランティエちゃんと、おっとり癒し系の現役OLエクレイアさんと、わ・た・し♡。ささ、どの子にサービスして欲しいですか?」


ナウリシアは接客してくれた子だ。不思議そうにこっちを眺めている。

ランティエと呼ばれた子は黒髪の子。そして、エクレイアさんがカウンターの例のお姉さん。


「エリスはまず除外するとして」


「ちょっと!どうして、わたしだけまず外されるのよ!一番の正統派美少女じゃん!そりゃあ多少、ドジなところもありますよ。でもそれも魅力じゃないですか。口がちょっとばかし悪いところも素直で良い子の証じゃないですし。明るくて元気で...」


なんか必死に訴えているが無視しよう。ここはやっぱり。


「エクレイアさんでお願いします」


即決だった。

正直、みんなかわいい(エリスも含めてね、そこは認めよう)。それぞれ魅力的ではあるが、やっぱり初めてってことで、大人のお姉さんに手取り足取り教えてもらうというシチュエーションに憧れるじゃないですか!


「ふーん、エクレイアさんね。まあ、ああ見えて経験豊富だし、良いかもね」など渋々といった感じで、レジへ向かっていく。そっか、経験豊富か。

伝票を整理していたエクレイアさんにやはり下衆な笑みを含みつつチラチラと此方を見ながら耳打ちし、連れてきてくれた。


「あわわ、秘密のメニューのお相手をご指名いただいたと。本当に私でよろしいでしょうか?」


ウェーブのかかった栗色の髪の先をもじもじと指先で遊びながら、顔を赤らめて上目遣いに見つめる。その清楚な表情と、ニットを突き上げて主張するもののギャップが、本当にあなたで良いです。


「あ、はい、その、エクレイアさんにぜひお願いしたいかなーって思いまして」


「は、はうー、では、そのお手柔らかにお願いしますです。準備がよろしければ参りましょう。私も緊張しちゃいますが、リラックスして臨みましょうね」


僕はエクレイアさんに導かれて、奥の部屋へと向かう。

後ろから「楽しんできてねー」「頑張ってくださいませ」と、声援を受ける。

心臓がバクバクでとても応えられない。他の従業員やお客さんからどんな視線を投げかけられているのか、考えただけで恥ずかしいが、もうそんなの気にしていられない。ただただ、自分の足元を見つめ、足早に歩いた。


「はう、あの、その、こういうのは初めてですか?」


ドアを閉めると、開口一番、口調に比してあまりにも直球ど真ん中の質問を放られる。


「ははは、はい」


「それじゃあ、その、付けてしましょうか。やっぱり生命にかかわることですし」


付ける?生命にかかわる?

そういう方面の知識に乏しい僕でも分かるぞ。ベイビーちゃんができないようにとか、病気が移らないようにとか、そういうやつですよね。できれば、無しでお願いしたいんですけど。


「はうっ、魔王さまがそう仰るのなら、私は構いませんが。付けるようにっていうのがお店の方針なのですが、お互い責任を引き受ける覚悟があれば、私は無くていいと思うし、やっぱり無しでやるのが本来の姿かなって」


責任。

エクレイアさんと幸せな家庭を築く。そうなると元の世界には帰れないぞ。

・非モテぼっち ⇔ かわいい奥さん

・高校・大学 ⇔ 冒険・探索

・低賃金 ⇔ 一攫千金のお宝

・ブラック企業 ⇔ のんびり異世界ライフ。

よし、帰れなくて全然OKだ。覚悟、あります。


緊張して周囲に全然気を配れていなかったけど、ずっと見つめているのも悪いと、エクレイアさん(特に胸)から目を離して辺りを見渡すと、部屋は思っていたより広い。というか広すぎじゃない?正方形で一辺は20mくらいありそうだ。

そして何もない。こう、お風呂的なのとか、ベッド的なのとか、無いんですかね。


「そう、ですか。あう、その私も全力でお相手させていただくので、存分にDUELを楽しんでくださいね」


え?デュエル?

ピューと指笛を鳴らすエクレイアさん。その視線の先、体毛と同じ色の漆黒の馬鎧をまとった駿馬がどこからともなく現れた。床を蹴り上げる蹄の音に合わせて隆々とした腿の筋肉をうねらせ、一直線に向かってくる。

猛々しく疾走する騎馬が通り過ぎる刹那、エクレイアさんは高く飛び上がり、勢いを落とさぬまま駆け抜ける騎馬に、颯爽と飛び乗った。

なんですか、その超人的な身体能力。呆然とする僕を傍目に悠々と半円を描いて部屋の中央に近づくと、愛馬の咆哮に続き、蹄のたてるコツコツというリズムで拍を取り七五調の名乗りを挙げる。


「賊も輩も寝静まる丑三つ時に影一つ。月さえ雲の陰に逃げ、星は山の向こうに身を隠す。地獄の淵の門番か、はたまた閻魔の右腕か。人呼んで驀進の狂騎士、ogrelancer(オーガランサー)のエクレイア・メナートとはあたいのことさ」


僕の想像してたOLとだいぶ違うんですけど!鬼と槍でしょ。鬼の強さが増す武器といったら金棒だけど、槍も同じくらい与えちゃヤバイって。むしろ金棒より殺傷能力高くねってくらい?そんな物騒なOLは遠慮させていただきます!


「あのー、なんか猛烈な勘違いしてたようなので確認したいのですが、僕は一体、今からどのような仕打ち、じゃなくてサービスを受けるのでしょうか」


「勇者と魔王が1対1でやるこなんざ決まってるだろ?命の奪い合いさ。それにしても、あたいにダメージキャンセラー無しのガチ勝負を挑むってーと、余程腕に自信があるのか、それとも単なる馬鹿なのか。まあ、槍を交えればすぐに答えがでることさ。近頃、挑んでくる剛の者をちょっくら痛めつけ過ぎたせいか、あんまし相手が現れなくってねぇ。久方ぶりの決闘でヴリュート(この子)も喜んでいるみたいだよ」


今にも駈け出さんと嘶く騎馬に勇ましくまたがるエクレイアさん。開いた右手を横に投げ出すと、その手から黒い一本の線が前後に延び、やがて柄となり先端には巨大な刃が加わり、そうして一本の槍が顕現した。感触を確かめるように振り下ろすと、切っ先が空気を切り裂き、かすかにビュンと音が伝わってきた。その鋭さはピンクのおしゃれワンピに包まれた細腕からはとても想像できないほどって、お召し物もみるみる黒に侵食されてますけど。そして、頑強な鎧になりましたけど。兜も非常にカッコいいです。

もはや、さっきまでとは別人だよ、この人。あのオドオドはどこへ消えたの。

声音だって、すごい変わり様だ。もうね、ぽっと出の新人アイドル声優にはとても演じ分けられないよ。「はうー」の時とは喋り方が全然違うもん。厳しい声優業界をサヴァイヴした実力派の声優さんじゃないと務まらないよ。


「さあ、グズグズしてないで始めるよ。ちょっとは楽しませてくれるんだろうね!」


黒い塊がバズーカのように飛んできた。のが、最期に見た映像だ。


「ぎょぉぉぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあaaaaaaaaaaa」


(以下、残虐な映像が含まれるのでカットさせていただきました)


「は、はうー。ごめんなさい、ごめんなさい」


木目に天井には、アンティーク調のランプが円形に6つ灯っている。灰色の柱にはレトロな掛け時計。どうやらリュビアのホールに戻されたようだ。

そして、だんだんとクリアになっていく視界の大部分は、頭を突き合わせるようにした女の子の4つの顔が占領している。半泣きでオロオロした顔、心配そうに瞳を曇らせる顔、無表情に覗き込む顔、笑いを堪えられず噴き出しそうな顔。

おい最後!


「殺す気か!何が秘密のサービス、ムフフ。だよ!危険な決闘じゃねえかよ!薄々こんなこったろうとは予想してたけどさ」


跳ねるように飛び起きると、不謹慎極まりないエリスの襟首を掴んで全力で揺さぶる。ほんとに、殺す気か!


「いやー、嘘は言ってないですよ、嘘は。それにしても、まさかエクレイアさんにダメージキャンセラー無しで挑むとは、そこまで勇猛というか無茶というかアレな人だとは思わなかったのでー。あと、死にました。死んで生き返らせました」


「ごめんなさい、ごめんなさい、私、馬に乗ると人が変わっちゃうタイプで」


変わり過ぎだ。そんなタイプ聞いたことないし。一体どういうメカニズムなんだろうか。

とりあえず、もとのエクレイアさんに戻ったようで安心ではあるが、まだちょっと怖い。身体が植え付けられた恐怖に震えているのだろう。


「ふー。どうやら無事なようで。もしお食事ができるようなら、美味しくて栄養満点な勇者めしを食べて、元気になってくださいな」


ナウリシアがキッチンへと軽やかな足取りを運ぶ。

「これ」と一言、無表情のクール系女子が、まだ僕に襟首を締め上げられているエリスに一枚の紙を手渡す。確認したエリスが、「あー」とバツが悪そうに僕にも見せてくれる。


「死んでしまったスーさんをですね、復活させるために、いけない葉っぱこと『セリオンの若葉』を使用させていただいたので、これ大変貴重なアイテムでして、1枚5000Gになりまして、都合6000Gのご請求になります」


「ぼったくりじゃねーか!二度と来るかこんな店!」




はい、てなわけで今回は、わたしの働く勇者カフェ『リュビア』を紹介させていただきました!

動画のなかではね、なんか変な勘違いしたお客さんが大変な請求されちゃってますけど、もちろん普通はあんなこと起こりませんからよ。お子様からお年寄りまで老若男女が楽しめる安心安全のお店です。

リセルタにお越しの際はぜひ遊びに来てください。


勇者一同、魔王様のお帰りを心よりお待ちしてます!

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