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18.カヤノちゃんとの対面

ほぼ、ハル視点です。

 「カヤノちゃん、元気だった⁈話してた夜雲ハルちゃんだよ。」



シルヴァスさんが、現在『ハグレ現人神』とされているカヤノちゃんに明るく話しかけた。


カヤノちゃんは人見知りなのか、アスター様を見ながら、ビクビクしているようだ。

だけど、勇気を振り絞ってくれたのだろう。


小さな声で、私達に挨拶をしてくれた。



「私、三十木(みそぎ)カヤノです。その、助けていただいてありがとうございました。」


「助けただなんて…、学校の授業だったの。でも、結果的にそうなって良かった。」



そう、カヤノちゃんに帰した後、私は一気に彼女に話し続けた。



『私は今、現人神養成学校に通っていて、

冥界神の素質もあるみたいなんだけど、

将来は、現人神として地上勤務を希望しているの。


あなたはどんな神様が懸かっているの?

それより孤児院には慣れた?


実は私も地上の孤児院に少しだけいたことがあるのよ。


でもすぐに冥界の孤児院に移動させられちゃったから、

ほんのちょっとだけどね…。


あ、もしうるさかったら、ごめんなさい。』



私は『自分てこんなにおしゃべりだったっけ?』と言うような勢いで話し続けた。


アスター様も普段はあまり饒舌な方ではない私が一気にしゃべっているので、ややビックリといった視線を私に送っているのがわかった。



「いえ…。」



カヤノちゃんは控えめに答えた。



「面接室に呼び出しちゃったけど緊張しないでね。立て続けにしゃべって、ごめんなさい。私も事故で両親を失くして、もし、何か苦しんでいることがあれば、相談に乗れることがあると思って…。」


「そうですか…。ありがとう、ございます。でも、私は特に…。」



彼女から断りの言葉が出そうなのを察知して、私はその前に彼女の言葉を遮った。



「ここってお部屋はどう?何人部屋?私のいた所は、同性の二人部屋だったの。」


「え…?ええと、部屋は今一人だけです。」


「わあ、個室?同じ孤児院でも施設によって色々なんだね。いいなぁ。」



私が無理に会話を続けようと頑張っているところへシルヴァスさんが口を挟む。



「同じ施設でも波があるんだ。その施設によって満員だったり、あまり利用者が少なかったり。ハルの入っていた所よりここは比較的、余裕があるな。でも、多い所は四人部屋が当たり前だよ?」


「ええ!そうなんですか⁈施設によってそんなにバラツキがあるなんて、知りませんでした。それだと何か不公平になりそう。」


「いやいや、施設ごとに特色があって、集まる里親の系統とか微妙にあるからさ、担当者がその子に最も良いであろう孤児院に振り分けているから、むしろ公平なんだよ。」


「ええ~、そうなんですかぁ?シルヴァスさん、そういえばここはどれくらい面会室で面会できるのですか?」


「んー、確か20分だったっけ?」



カヤノちゃんにシルヴァスさんが話を振る。



「ハイ、基本的にはそうです。でも、特に施設内での食事や作業時間にかからなければ、他に利用者が待っていない限り、臨機応変に延長しても大丈夫なようです。」



カヤノちゃんは、まだ警戒しているのだろう。

小さな声だったが、シルヴァスさんの質問にはっきりと的確に答えた。



「突然だけど、カヤノちゃんていくつなの?」



私はしっかりした回答をするカヤノちゃんの年齢を知らないことに気付き彼女に尋ねてみる。



「12歳です。」


「ええ、12歳⁈しっかりとしているわね!次の歳には現人神養成学校ね。普通、12歳って、もっと子供っぽい喋り方よ?こんなに、きちんと話が出来て、カヤノちゃんてすごい!」



私が大げさに誉めるものだから、カヤノちゃんが少しだけ頬を赤く染めた。


カヤノちゃんは黒い髪だがその瞳はとても茶色がかっている。

もしかしたら、私の様に大和皇国で浮かないようにご両親が染めているのかもしれない。

本当の色は別の色なのではないかと思う。


カヤノちゃんの髪は長めでふんわりしており、カールはしていないが柔らかそうでフワフワして見える。

同じ黒くてもストレートでどこか緊張感の張りつめた私の髪とは対照的である。


唇も淡いピンクで、ぽってりしていて可愛い印象がある。

茶色がかった瞳は深い二重ではないが、パッチリとしていて、それでいて賢そうな光が宿っている。

顔はどちらかというと愛嬌のある丸顔で、男の人に好かれやすいタイプなのではないかと思われた。


先程から何となくアスター様に怯えている感じがしているが、そういう容姿のために何か嫌なことがあったのかもしれない。


アスター様もそれは感じ取っているのか、終始、黙って自分からはカヤノちゃんに質問したりしないようにしているようだ。


この年でこれだけしっかりしているのだから、マッド・チルドレン一派に囚われていた時の事は喋れないのではなく、しゃべらないだけなのだと思う。



何度もアタックすれば、語ってくれるかもしれないと少しだけ、希望が持てた。

私は、瞬時に色々と考えていたが、シルヴァスさんが話を再開し始める。



「12歳と言えば、ハルも13歳の時、ご両親を失くされたよね。やっぱりすごくしっかりしていて、僕驚いたよー!カヤノちゃんとハルは似ているかもしれないね。二人とも本当にカワイイし♡」


「ええ⁈カヤノちゃんの方がしっかりしていますよ。当時の私より一個年下なんですよ?それに断然、可愛いです!!私は、可愛くなんて無かったじゃないですか…。」


「へ?カワイかったよ。」


「もう、そんなことないですってば!シルヴァスさん優しいんですから。でもあんまり真逆のこといわれると、逆に辛いです。恥ずかしいです!!」



私達の勢いに押され、カヤノちゃんも思わず口を開いた。



「あ、いえ、そんな私こそ、可愛いなんて…ないですから。」


「かわいいよ!!」

(シルヴァス&ハル)



思わずシルヴァスさんと私の声がそろってしまった。


全く、中年レディの譲り合いのようである…。


カヤノちゃんが思わず、プッと吹き出している。



何かちょっと、リラックスしてくれたかな?

だとしたら嬉しい。

ここは、カヤノちゃんが本当にカワイイということを伝えたい!



「私、孤児院にいる時、断トツに里親希望者から人気のない子だったの。だから、カヤノちゃんの方が絶対可愛いよ!」



そこで私は、カヤノちゃんを更に推した。


自分は何も気にしていなかったが、一瞬シルヴァスさんとアスター様はハッとした様な顔でシーンとしてしまった…。



何かマズかったみたい。

気を遣わせた?



「…ハルは可愛いというより、綺麗な少女だった。」



ずっと気配を殺していたアスター様が不意に口を開いたので、一同の視線がそちらに向いた。


アスターは真剣な顔で続けた。



「初めて私がハルに会った時、シルヴァスに聞いていたイメージの少女と違って、澄んだ空気感を持った何て美しい子なのだと…凝視してしまった。」



黙っていられずに、つい口を出してしまったようなアスター様の発言に、今度はそちらに向けて一同がポカンとした視線を送る。


その一同の姿を認めた伯爵・アスター様は我に返ったように、急に顔を真っ赤に染め上げた。

そのまま茹でタコの様な顔で、しどろもどろの半怒鳴り状態で口を開く。



「な!なんだ!!お前達、その顔は⁈私が過去のハルに見惚れちゃいけないのか?睨んでたわけじゃないんだぞ!」



何ということだろう!


アスター様ってば、私が気にしていると思って、気を遣ってくれてるのだ。

『優しいんだな』とハルは思った。



 残念なことにアスターが優しさからそう言ってくれたと思ったハルには、彼が過去に本気でそう思っていたということが、全く伝わっていなかった…。



 今まで、何となく体が大きくて精悍な雰囲気のアスターに警戒心を抱いていたカヤノの方は顔を真っ赤にして慌てるアスターの姿を見て態度が柔和になっていた。


アスターはアスターで当時13歳の子供に自分が一目ぼれをしたと告白したのも同然であることに気付かずにいる。




ハルとアスターはある意味お似合いすぎる鈍感な二人だった…。



シルヴァスだけが一人、渋い表情を顔に浮かべている。




 この日を境にハルは、人間界でアルバイトがある度にカヤノに会いに行った。



そして、少しづつではあったが、保護される前の事をカヤノが話してくれるようになったのだ。




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