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スピードじいさん

作者: やまくま
掲載日:2017/08/21

 ゲンジロウおじいさんは、みちを はしっていました。

まわりに たんぼが ひろがる ひろい どうろです。

 ゲンジロウおじいさんは、どんどん スピードをあげて、

もうスピードではしる じてんしゃを おいぬきました。

 

 そう、ゲンジロウおじいさんは、ただの げんきなおじいさんではありません。

はしるのが、めちゃくちゃはやい おじいさんなのです。


「ほっほっほっ。きょうも いいちょうしだ」


 ゲンジロウおじいさんが 赤しんごうでとまると、

ちかくの いえから、さけびごえが きこえてきました。


「きゃあっ、どろぼう!」


 黒いふくの男が はしっていくのが見えます。

ゲンジロウおじいさんが かけつけると、


「あのひと、どろぼうなんです!」


 わかい女ひとが さけびました。

 ゲンジロウおじいさんは、すぐに黒いふくの男をおいかけました。


「うんのわるい どろぼうだ。わしに おいかけられたら、ぜったいに にげられないぞ。まてーっ!」


 ゲンジロウおじいさんは、どんどんスピードをあげて、どろぼうに ちかづこうとしました。

ところが――。

 どろぼうの はやいこと。おいつけないどころか、ずこしずつ、ゲンジロウおじいさんから

はなれていきます。


「まさか! こんなやつがいたとは! むむう、このままでは……」


ゲンジロウおじいさんは、はしりながら でんわをかけました。


「もしもし、ゲンジロウだ! すぐにきてくれ! いま、どろぼうを おいかけているんだが、

 なかなか おいつけないんだ!」


 しばらくすると、ゲンジロウおじいさんの ともだちの シンジおじいさんが はしってきました。

 ながい くちひげが なびいています。


「おお、シンジ。あいかわらず かっこいい ひげだな」


 ゲンジロウおじいさんに ほめられて、シンジおじいさんが ほほえんでいます。


「あの黒いふくの男ですな。ようし、わたしに まかせなさい!」

「たのんだぞ!」


 シンジおじいさんが、スピードをあげました。はやい、はやい。

 あっというまに、どろぼうに ちかづきました。


「まちなさーい!」


 なんと、ふたりは、はしっている車をおいぬきました。


「もうすこしですぞー!」


 ところが、シンジおじいさんは、おいつけそうで おいつけません。

 どろぼうは、まだまだ はやくなっていきます。

 どんどん、シンジおじいさんから はなれていきます。


「なんと! これほどまでに はやいとは!」


 さすがのシンジおじいさんも、おどろきを かくせません。

 ふたりは、せんろぞいの みちにでてきました。みちは さらに ひろくなり、

どこまでもつづくようです。


「ここで にがすわけにはいきませんぞ。ようし」


 シンジおじいさんは、はしりながら でんわをかけました。


「もしもし、シンジです! すぐにきてください! 足のはやいどろぼうに にげられそうなんです!」


 しばらくすると、シンジおじいさんの ともだちの ヒサオおじいさんが はしってきました。

 赤いジャージをきています。


「おお、ヒサオさん。そのジャージをきているということは、

 はしる れんしゅうちゅうだったんですね!」


「そうじゃ! わしがきたからには、もうあんしんじゃ。かならず つかまえてみせるぞ!」


 ヒサオおじいさんが、スピードをあげました。なんというはやさでしょう。

 あっというまに、どろぼうにちかづきました。


「こらーっ! まつんじゃーっ!」


 ふたりは どんどんはやくなり、なんと、とっきゅうでんしゃを おいぬきました。

 こうさてんを とびこえ、どこまでも はしりつづけます。

 けれど、ヒサオおじいさんは、なかなか どろぼうに おいつけません。

 それどころか、どろぼうは、さらに はやくなっていくようです。まるで、かぜのようです。


「なんというやつじゃ! あんなに はやいやつは見たことがない! 

 じゃが、にがすわけにはいかん!」 


 ヒサオおじいさんも がんばってスピードをあげますが、げんかいに ちかづいていました。


「うぐぐ、どうしたらいいんじゃ……」


 ヒサオおじいさんが あきらめかけたとき、だれかが ぬきさっていきました。


「まてーっ! たいほだーっ!」


 それは、かぜのように はやくはしる おまわりさんでした。

 おまわりさんが、どろぼうを あっさりと つかまえてしまいました。


「ごきょうりょく ありがとうございます。おかげで どろぼうを つかまえることができました」


 おまわりさんに けいれいされると、


「いやいや、わしは ちょっと おいかけただけだよ」


 ゲンジロウおじいさんは、てれました。


「それにしても、足のはやい どろぼうでしたな。おまわりさんも たいしたものです」


 シンジおじいさんは、かんしんしました。


「わしらも まだまだじゃな。もっと はやく はしれるように れんしゅうじゃ」


 ヒサオおじいさんは、はりきりました。


「なんてすごい じいさんたちだ……。ごめんなさい」

 

 どろぼうが、がっかりしています。

 めでたし、めでたし。

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