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ホワイトクリスマス

10.ホワイトクリスマス



 空はどんよりとした雲に覆われ、朝から寒さが肌を刺した。

しかし、駅前の商店街は活気に満ち溢れていた。

どの店の店頭にも“SELL”と書かれたビラが貼られている。

そして、クリスマスツリーのイルミネーションと“ジングルベル”の曲が、行き交う人たちの心をよりいっそうかき立てているようだ。

「こりゃあ、久しぶりにホワイトクリスマスになるかもな!」

携帯電話ショップの男性店員が空を見上げてそう言った。

中から、女性の店員もでてきて空を見上げた。

女性の店員は腕組みをして早々に店の中へ引き上げていった。

店内に流れているラジオ番組のパーソナリティが“今夜は夕方から降り始めた雪が、日付の替わる頃にはうっすらと積もるだろう。久しぶりのホワイトクリスマスになるだろう”と伝えていた。


 通知票を開くと、国語4、数学5、理科(物理)5、社会(政治・経済)4、英語4、音楽5、美術4、体育5、家庭科5といった数字が並んでいる。

「うわー!いいなあ!と、いうよりさすがだね!」

そう言って恭子の通知票を後の席から覗き込んだ仁美は、自分の通知票と見比べてため息を付いた。

「どーれ、見せてみなさい!」

恭子が振り向いて、仁美の通知票を取り上げた。

恭子は、そのまま仁美の机で通知票を広げて、自分のと比べてみた。

国語5、数学3、理科(物理)4、社会(政治・経済)5、英語3、音楽4、美術3、体育5、家庭科5。

「あら、凄いじゃない!」

「そんなことないわよ。“3”が3つもあるし。それに、恭子に『凄い』なんて言われても、ありがたみが感じられないわ。」

「何言ってるのよ。私にしてみれば、政治・経済で“5”を貰う人なんて神様みたいだわ!」

「そうなのよねぇ!国語も得意だし、私って、新聞記者に向いてるんじゃないかしら!」

「いいかもね!」

「そうよね!もしそうなったら、恭子の記事が書けたらいいなあ。」

「私の?」

「そう!恭子がオリンピックで拓さんと一緒に活躍する記事。」

「オリンピックだなんて大袈裟だわ。」

そんな話しで盛り上がる二人をよそに、担任の野村が冬休み中の注意事項を話し始めた。

恭子は正面に向き直り、野村の話に耳を傾けた。


 昼を過ぎても一向に気温が上がる気配はなった。

グランドを周回する部員たちの口元からは一様に白くなった息が吐き出されている。

2週、3週、周回を重ねるごとに、徐々に体が温まり、うっすらと汗をかき始めた頃、空から白いものが落ちてきた。

選手たちは立ち止まって、一斉に空を見上げた。

「予報よりずいぶん早いなあ。」

誰かがそんなことを呟いた。

拓は、かまわずに一人で走り続けた。

すると、いきなり後から肩をポンと叩かれた。

振り向くと、篠塚が走りながら拓に言い寄ってきた。

「練習が終わったらちょっと付き合ってくれないか?」

「今日はちょっと…」

「分かってるさ!デートなんだろう?手間はかけさせないから、ちょっとだけ!なっ?頼むよ!」

篠塚はそれだけ言うと、拓の返事を聞かずに、ペースを上げて拓を追い抜いていった。

「相変わらず、訳わかんねえおじさんだなあ。しかし、あんなに喋りながら走ってるのに全くリズムが替わらない。さすがシノさんだ。」

 拓は、篠塚が参加しなかった国体こそ、連覇を果たしたが、全日本は篠塚が制した。

日本記録保持者とはいえ、百分の1秒を競う世界では、ちょっとした体調の変化で勝負の結果が変わってしまうほど、拓と篠塚の力は拮抗していた。


 終業式を終えた恭子と仁美は駅前のショッピングモールにある広場で待ち合わせをしていた。

クリスマスのプレゼントを買うためだ。

恭子は、広場の真ん中にある時計台の下で白いベンチに座って仁美が来るのを待っていた。

手をセーターの袖の中に納めて、ほっぺたを覆っている。

吐く息は白くじっと座っていると、凍えそうなほど寒い。

「まったく、なんでこんな外で待ち合わせすることにしたんだろう?」

そんなことを思いながら立ち上がって、飛び跳ねたり時計台の廻りを歩いたりしていると、頬に冷たいものが触れたような気がした。

恭子は立ち止まり空を見上げた。

空から雪が舞い降りてきた。

「雪?」

恭子は、一瞬、さっきまでの寒さを忘れてしまった。

「どうりで寒いはずね!」

都会では温暖化の影響なのかどうかは分からないけれど、こんな時期に雪が降るのは珍しい。

雪を見てワクワクするなんて、自分もまだまだ子供なんだとそう思った時、聞きなれな声が自分を呼んでいるのに気がついた。

もちろん、声の主は仁美だった。


 ただでさえ、暗くなるのが早いこの季節なのに、空は厚い雲に覆われ、昼過ぎから降り始めた雪が次第に世界を塗り替えていく。

町の明かりに照らされた雪は、いっそう白く輝き、天然のイルミネイションはクリスマスイブの夜を最高に演出してくれた。

まさにホワイトクリスマスとなった。

 拓は本社の玄関口で篠塚を待っていた。

クラクションが2回ほどなった後、ヘッドライトが拓を照らした。

シルバーのセダンな窓から篠塚が顔を出し、拓を手招きしている。

拓は小走りで車に近づき、助手席のドアを開けると、素早く体を押し込み、シートベルトを締めた。

「こんなに雪が積もってるのに大丈夫ですか?」

拓は、篠塚の運転を心配した。

「バカ言え、俺は自分の脚で走れなけりゃあ、カーレーサーになっているところさ!」

自慢げにそういいながら、篠塚はセダンを発進させた。

「ところでどこに行くんですか?」

「まあ、いい!黙ってついて来いよ。」

しばらく走ると、セダンは駅前のショッピングモールの中にある駐車場に入っていった。

駐車券を受け取り、車を空いたスペースに止めると、シートベルトを外してドアを開けた。

「何か買いもんでもするんですか?」

「うん!モノはもう買ってある。受け取るだけだ。」

「だったら俺が来る理由がないじゃないですか。」

「大ありさ!受取人が来なけりゃあ、話にならない。」

「受取人?って、俺っすか?」

「いいから、早くついて来い!」

そう言って、篠塚はショッピングモールに入っているブランドショップへ入っていった。

「頼んでいたものを貰おうか。」

そう、店員に告げると、店員の女性は満面の笑みを浮かべてレジブースの下の方からきれいにラッピングされた大小の箱を二つ取り出した。

それを受け取った篠塚は、大きい箱を拓に渡し、ウインクをしながらこう言った。

「金は後でいいぞ!とりあえず、クリスマスイブに彼女に会おうってヤツがプレゼントの一つも持っていかないんじゃ、お姫様が悲しむぜ!」

「シノさん!」

呆気にとられた拓を残して、篠塚は小さい方の箱をジャンパーのポケットに突っ込むと、駐車場の方へ走っていった。

走りながら、ふりまかずに、手を振って、叫んだ。

「早く行けよ!雪で電車が止まっちまったら大変だぞ!」

一人置いて行かれた拓は、女性の店員に箱の中身を聞いてみた。

店員はニコニコしながら、答えた。

「ヴィトンのポーチですよ。」

「ヴィトンってなんですか?」

女性の店員はクスクス笑いながら、同じ商品を手に取って見せてくれた。

「これもらったら、女の子は嬉しいもんなんですか?」

「はい、もちろんですよ。ちなみに、篠塚さんがお持ちになったのはステファニーの指輪なんですよ。」

そんなやり取りをした後、店内の壁に掛けられている時計に目をやると、拓は女性の店員に一礼して、駅の方へ向かって歩き出した。

ショッピングモールは駅ビルと繋がっていて、駅ビルから直接電車のホームへ出られるようになっていた。

拓が切符を買おうとした時、ちょうど上りの電車がホームに滑り込んできた。

急いで切符を買って、ホームを横切り電車の飛び乗った拓は、大事なことを聞き忘れたと思った。

「これって、いったい、いくらくらいするんだろう?五千円くらいはするんだろうな・・・」


 恭子と仁美は、ショッピングモールの中にある、パッケーッジショップに来ていた。

この日の買い物の目的は、プレゼントを買うことではなく、用意したプレゼントをラッピングするための包装紙やリボンを買うためだった。


 実は、秋の新人戦が終わった後、二人でマフラーを編み始めたのだ。

それまで、二人とも編み物などやったことがなかったから、恭子の母親に手ほどきを受けながら、ようやく“手編みのマフラー”が完成したところだった。

恭子はもちろん拓のために、そして、仁美は悠斗のために。


 その頃、悠斗は終業式を終えた後の子供たちを連れて、サッカーの練習試合をするため、隣町の小学校を訪れていた。

「こんな雪の中で試合をしたのは選手権に出た時以来だなあ。」

悠斗が懐かしそうにそういうと、監督の寺西は複雑な表情を浮かべて悠斗の顔を見た。

「もう、引きずってないよな?」

「ああ、怪我のことですか?引きずってたら、こいつらの面倒なんて見ていませんよ。それに、今はちゃんと新しいの目標がありますから!」

悠斗がきっぱり言い切ったので、寺西は微笑んで立ちあがった。

「そうか、新しい目標ねェ・・・まあ、お前なら、きっとやり遂げられるさ。」

そんな寺西の顔を見上げて、悠斗はニッコリ笑った。

 雪はだんだん激しくなり、すぐ先の景色も見えないくらい吹雪いてきた。

寺西は相手校の監督と話し合い、試合を中止することにした。

この時点で2−2の同点だったが、お互い、点を取っていたのでそこそこの収穫はあったとして中止することに同意した。

「さあ、みんな帰るぞ」

寺西はマイクロバスにチェーンを巻きつけて子供たちを車に詰め込んだ。

「監督、将来の日本代表たちが乗ってるんですから、無茶な運転はしないで下さいね!」

悠斗が真顔でそういうと、寺西は分かったと頷いて曇った窓ガラスをヒーターで暖めた。


 恭子と仁美は、それぞれ好みの箱や包装紙を選び終えると、ラッピングコーナーへ行った。

そこでは、ショップの店員がきれいなラッピングの仕方を教えてくれるクリスマス時期だけのサービスをやっていた。

二人は手編みのセーターを箱に入れた。

仁美は白い長方形の箱で蓋が透明のセロハンになっていて中身が見えるもの。

それを、赤い包装紙で包んだ。

そして、グリーンのリボンでクリスマスっぽいらぴんぐにした。

恭子は紺色の丸みのついた筒状の箱のリボンのシールを貼った。

それを、銀色のラッピング用の袋に入れてからブルーのリボンで縛った。

「どお?」

仁美はラッピングし終わったクリスマスプレゼントを掲げて恭子に見せた。

「素敵!まさにクリスマスって感じだよ。私のはどお?」

恭子も自分のを仁美に見せた。

「すごく可愛い!」

二人とも満足げに、笑みを浮かべながら、ラッピングコーナーで貰った、クリスマスツリーの絵が描かれた赤い紙袋にラッピングしたクリスマスプレゼントを入れてパーティー会場へ向かった。


 “ばれいしょ”の店先には店のイメージには似つかない、クリスマス用の飾り付けが施されていた。

厨房では、仁美の父親が、忘年会のグループのための料理の下ごしらえの余念がない。

アルバイトの店員達が忙しそうにテーブルのセッティングをしている。

カウンター席では馴染みの客数人が既に一杯やっている。

午後、6時を過ぎた頃から、店内は忘年会の団体客でにわかに騒がしくなってきた。

仁美の父親は、宴会客の料理を板前に任せると、別の料理の支度にとりかかった。

「おやっさん、お嬢さんたちのパーティーは何時からですか?」

仁美の父親は、手を休めることなく、板前の質問に答えた。

「6時半からだ。」

「もう、時間がないじゃないですか?手伝いましょうか?」

「大丈夫だ。それに、こっちの料理はお前さんの専門外だ。」

板前は、仁美の父親が用意した材料や調味料を見て、なるほどと頷いて自分の仕事に戻った。

そこには、パスタや生クリーム、霜降りのステーキ肉、レタスに似た見たことのない野菜、トロピカルなフルーツといった洋食の材料が山ほど用意されていた。


 寺西は、子供たちを一人一人自宅の前まで送り届けた。

途中で、“ばれいしょ”の前にさしかかり、そこで悠斗を降ろした。

「じゃあな!」

そう言って寺西は悠斗に手を振った。


 車を降りた悠斗は、店の軒先まで走り、頭や服についた雪を払い落した。

店に入ると、そこは別の世界のように暖かかった。

「うー!暖ったけえ!」

両手を口の前で合わせて、息を吹きかけながら、奥の階段へ向かって店の中を進んでいった。

道中、アルバイトの店員やおかみさんに「早いね!」などとからかわれながら、二階の座敷へ上がっていった。

 見渡すと、二階の座敷もほとんどの席が客で埋まっていた。

悠斗はいちばん手前の個室の襖戸を開けた。

まだ、誰も来ていない部屋にあがりこんで、ジャンパーを脱ぎ、ハンガーに掛けて床の間のポールにぶら下げた。

そのまま、奥の右側の席に腰を下ろした。

すぐに、女将の仁美の母親が熱いおしぼりと緑茶を持ってきた。

「いらっしゃい!寒かったでしょう?試合どうだった?」

悠斗はおしぼりを顔にかぶせて、しばらく上を向いたまま、答えた。

「後半途中で中止!2−2で引き分け。監督が車で子供たちを全員家まで送っていったよ。」

「まあ、寺西先生も大変ねェ。今時珍しいわよね。あんな先生。」

「本当ですよ!ボクもあんな先生に習いたかったなあ。」

悠斗はようやくおしぼりを顔から取って暑い緑茶を一口すすった。

「じゃあ、ごゆっくり!」

そう言って女将は部屋を出た。


 改札口を出た拓は、南口方面へ歩いた。

駅ビルの出口から空を眺めたが、雪は到底やみそうになかった。

篠塚に車で送ってもらったので傘を持っていなかった拓は駅の売店でビニール傘を買った。

“ばれいしょ”までは駅から歩いて10分。

タクシーの乗ろうかとも思ったが、タクシー乗り場には5〜6人の行列があったので、歩くことにした。

道中は見慣れた風景だったが、雪が舞う景色はどこか新鮮に感じた。

白い息を吐きながら、店の明かりが見えるところまで歩いてきた頃には、手がかじかんで、体もすっかり冷え切っていた。

店の前まで来ると、場違いな飾り付けを見て思わず吹き出した。

「なんだか、すごい飾り付けだなあ。」

そう言って、拓は店のドアを開けた。


 恭子と仁美は、帰る途中、あまりの寒さに、ショッピングモールを出たところにある、ハンバーガーショップに立ち寄った。

その時点では、パーティーが始まるまでに、まだ2時間はあった。

二人とも、ホットココアを飲みながら話し込んでしまった。

ハンバーガーショップの店内は、それほど暖房が利いていなかったが、ホットココアのおかげですっかり体も暖まった。

しかし、ココアが覚めてくると、次第に肌寒くなってきた。

それでも外の寒さに比べたら天国のようだった。

「ちょっと、お手洗いに行ってくるね。」

仁美がそう言って席を立とうとした。

そのとき、仁美の後方の壁に掛かっていた壁掛けの時計が目に入った恭子はハッとした。

6時35分。

「仁美、たいへん!もう、時間過ぎちゃってるよ!」

「えっ?過ぎてるって、今、何時よ?」

そう言って仁美は店内を見まわして時計を捜した。

恭子が指差した方を見て目の色が変わった。

「やばい!お手洗いなんて入ってる場合じゃないわね!走るよ!」

そう言うと、自分のトレーに恭子のカップを乗せ、空いた恭子のトレーと重ねて返却ブースの戻すと、紙袋と上着を手にとって店を出た。

恭子も慌てて仁美に続いた。

 二人は走って“ばれいしょ”向かった。

勢いよくハンバーガーショップを飛び出した仁美は、100mもしないうちに立ち止った。

「もうダメ!走れないよ。恭子、先に行って!」

「なに言ってるの?ほら、お店はもうすぐそこじゃない!」

恭子にそう言われて正面を向いた仁美の眼には、色とりどりの電飾が巻きつけられたプラスチック製の巨大な雪だるまと、暖簾代りにぶら下がった万国旗が見えた。

その場所だけは異様な雰囲気を醸し出していたが、あたりはすっかり雪化粧をして静まり返っていた。

走っていた時には景色を眺める余裕すらないほど、必死だったが、こうして立ち止って、周りの景色を目にすると、それぞれの家の玄関先にはきれいなイルミネーションが施されていて、白銀の世界をより一層、神秘なものに感じさせていた。

恭子も仁美も、こんなクリスマスイブの夜を経験したことがなかったので、思わず、パーティーに遅刻していることさえ忘れてその場にたたずんだ。

背の高い仁美と、恭子のシルエットはまるで、恋人同士のようだった。


 二人が帰ってこないので、心配になった仁美の父親は店の外に出て、辺りを見回した。

すると、道路の向こう側でカップルがイチャついているのが見えた。

「まったく、最近の若いもんときたら、恥を知らんのかねぇ。」

そう思って、大声でアベックをからかった。

「おい!おめえら、そんなところでイチャイチャしてないで、早く家に帰えんな!」

すると、そのアベックは驚いて振り向き、こっちを向いた。

店の明かりに照らされた二人の顔を見て仁美の父親はギョッとした。

アベックだと思っていた二人は、仁美と恭子だった。

その瞬間、仁美が駆け寄って来て、ほっぺたに平手を叩きつけた。

「何考えてんの?このくそおやじ!」

仁美はそのまま、雪も払わずに店の中へ入っていった。

「恭子、何してるの?早くいくわよ!」

恭子は、赤い手形がついたマスターの顔をしみじみと眺めながら頭を下げた。

「お世話になります。」

ほっぺたを押えて、ボーっとしていたマスターが我にかえって押えていない方の手を差し出し、恭子に応えた。

「なーに、いいってことよ!」


 二人が二階の座敷へつくと、当然ながら、悠斗と拓はすでに席についていた。

「遅れちゃって、ごめんなさい。」

二人が気まずそうに謝ると、拓と悠斗は目を見合わせて、クラッカーを鳴らした。

「メリークリスマス!」

クラッカーの細い紙テープと小さな色紙の切れ端を頭から受け止めた恭子と仁美に拓と悠斗は満面の笑みを浮かべて迎えてくれた。

恭子は、嬉しくて、目が潤むのを感じて、涙がこぼれ落ちないように紙テープを拭うふりをして眼を拭いた。

「メリークリスマス。」

久しぶりに会った拓は、一段と男らしくなったように思えた。






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