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微妙な気晴らし

「そうですね・・・もしかしたら、いえ、もう既に私達はキャベル内の出世抗争に巻き込まれているのかもしれません」


コンスタリオの言おうとしている事は二人とも察しがついていた。その察しの元、シレットが少し深刻な顔でそういうと


「くそっ!!そんなことをしている場合じゃないってのに!!」


とモイスが地団太を踏む。


「・・・明確な敵より、ついつい見失いがちな身内の方がよっぽど恐ろしいのかもしれないわね・・・」


モイスとシレットを見てぽつりとコンスタリオは呟く。そしてある意味それは正しかった。彼ら自身が気付いていない真の敵、ブントの存在を踏まえれば。

その後コンスタリオ小隊は気掛かりを残しつつも街の中を回るがどこも物々しい空気で気晴らしにはなりはしたものの、ブエルスの城下町を回った時とは到底比べ物にならなかった。そして城に戻った早々


「市街地を回れば気晴らしになると思ったんですけど・・・予想した程は出来ませんでしたね・・・」


とシレットが正直な感想を漏らす。それに対して


「おいおい、お前が言い出したんだろ・・・まあ、その答えには同意するけどよ」


とモイスも諭したのか肯定したのか曖昧な返答をしてしまう。それだけ彼等の中で判断に困る事だったのだ。


「まあ、戦いから離れることが出来ただけでも良かったんじゃない?そして、この街の裏を知る事が出来たのも」


そんな二人を見てコンスタリオは考えうる最大の肯定意見を述べる。しかしそれにも二人は


「そう・・・ですね」


と苦笑する他無かった。それを終えた後、コンスタリオ小隊はそれぞれの部屋に戻っていく。そして翌日、コンスタリオが起床して食堂に行くと昨日同様に兵士長が前に立ち


「早速で申し訳ないが次の作戦が決定した。次の作戦はスリーリバーマウンテンの奪回だ」


と告げる。


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