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獅子身中の虫

「星峰・・・うん、必ず達成しよう!!」


星峰の激励を受け、天之御も首を縦に振る。それは単に激励を受けただけという訳ではなかった。嘗ては自分に憎しみを向けていた相手が今自分と共に同じ目標に向かってくれる、その嬉しさ、心強さに改めて触れた。そんな気持ちがあったからだ。

同じ方向に向かって進んでいる、その思いを胸に天之御は今後の大局を見る。その決意を見届ける様にして外の日は沈み、薄暗い夜が訪れる。


同じ頃、南大陸の首都キャベルにおいて


「本日、東大陸において人族部隊が魔神族に制圧されている町の奪還に向かったが途中で敵の足止めに合い作戦は失敗した。この事から魔神族はこちらの情報を少なくともある程度把握していると思われる。情報の取り扱いには細心の注意を払うように」


という現地司令官の通達が属する全ての兵士に届けられた。コンスタリオもモイス、シレットと共にその通達を確認するがそれを見た直後に


「全く、何を今更・・・」


と呆れた声を出す。


「今更って・・・」


通達の紙を見ながらモイスが問いかけると


「こんな事はブエルスが陥落した時から分かっていたことでしょうに。上にはそれを認めたくない事情があるのかしら?」


と呆れているとも不満をぼやいているとも取れる口調でコンスタリオは返す。


「それに東の大陸が勝手な事をしているという点も問題ですね。これまではブエルスを通して連携が取れていたのにこれじゃ各大陸がお互いに足を引っ張り合う事になります。あるいはそれがブエルスを陥落させた狙い?」


本人は気付いていないが、正解をシレットは呟いた。そな事は知る由もないモイスは


「まさか、そこまで狙ってんのか?第一奴らがブエルスを連携の中心にしてるなんてそれこそ前々からスパイでも・・・あ?」


と呑気な発言をしかけるがその途中でその可能性にその場に居た三人共が気付く。


「そうか・・・もしそれよりもずっと前からスパイが居たのなら」


という可能性に。


「でも、これで益々ブエルス奪回の重要性が増しましたね」

「ええ、このままだと人族全体が烏合の衆となりかねない。そうならない為には連携を何とかして復活させないと・・・」


シレット、モイス、コンスタリオは人族が空中分解する懸念を強める。


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