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使用者を選ぶ剣

星峰達が勝利を飾る光景、その一部を近くの森の中から何者かが見つめていた。その何者かは星峰達が帰還するのを見届けると森の中を何処かへと移動していく。


「無事に任務を遂行出来ました」


帰還直後、空弧は真っ先に声を挙げ、天之御に作戦の成功を伝達する。


「ありがとう、よくやってくれたよ」


天之御も笑顔を浮かべ、帰還した一行を出迎える。その光景は魔王と呼ばれる存在とはやはり思えない。


「初戦にしては上出来だったわね・・・所で、ずっと気になっていたんだけど、どうして空弧は私が今持っている剣をそのまま使わず、新たに別の剣を使用しているの?そもそもこの剣があんな所に置いてあったこと自体妙だし・・・」


戦いの感想を述べた星峰はついでにずっと思っていた些細な疑問を口にする。だがその疑問を口にした後、その場に居た全員の顔が変わる。聞かれたくないという様な顔ではない、寧ろどう説明したらいいのか分からない、そんな雰囲気が醸し出されていた。動揺が起きて暫くした後、空弧が口を開く。


「使わないんじゃない・・・使えないのよ。私にその剣は」


動揺した顔でそう告げる空弧、だが星峰の疑問はそれでは解けず


「使えない?それはどういう・・・」


と更に疑問を話す。


「私が入れ替わりの妖術を使い、貴方と体を入れ替えた直後、その剣は弾かれてしまったの。それも直後にいきなりね・・・そして何度拾おうとしてもその剣は私を拒絶したわ。まるで磁石の同極の様に・・・」


空弧が語った回答は所見では到底信じられなかった。だがその顔は嘘を言っている顔ではない、直感的にではあるが、星峰はそう思った。


「それどころか君以外の誰もその剣には指一本触れる事すら出来なかった。まるで本当の意味での君以外、拒絶している様だった」


そう言葉を続けたのは天之御だった。そして


「だから魔術を使い、あの場所まで動かすのは苦肉の策だったんだよ」


と続け、これで疑問が解けたのか星峰は


「この剣が・・・私以外を・・・?」


と少し落ち着いた声で話す。


「もしかしたら、それが理由であの時ブントは君の故郷を襲撃してきたのかも知れない。あるいは君の父上は君に剣を託すつもりだったのかもしれない。最も、その剣が君以外を拒絶する理由は皆目見当がつかないけれど・・・」


天之御にも分からない理由で他者を拒絶する剣、それには星峰も素直に喜ぶ事は出来なかった。


「もしかして、父はその事を聞いていて・・・だから僕を・・・?」

「僕を・・・って、どういうことです?」


天之御がふと呟いた声を聞き逃さなかった星峰は迷わずそこを聞く。すると天之御は


「ふふ、まだ分からない?僕の顔」

「顔・・・!!ま、まさか!?」


と聞き、言われるままに顔を見つめた星峰は少し困惑した顔を浮かべ


「そ、その顔は・・・」


と困惑しながら言う。


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