初めての戦い
「人族側ブントの部隊は魔神族側ブントが奪還を許したピスティア・タウンを消滅させる為、あるいはブエルスに侵攻する為に部隊を派遣してきています。目的はどちらか分かりませんが・・・」
兵士から略式の説明を受ける星峰、しかし判断材料はそれだけで十分であった。広域
殲滅武装を持ち出している時点でこれが真っ当な作戦ではないと判断出来るからだ。
「もう来ていたのか、足が速い奴だな」
その声と共に八咫、岬、空弧も駆けつける。
「侵攻の目的はどちらかは分からないけどあの部隊をここから先に生かせる訳にはいきません!!」
「ああ、あの武装の惨劇を繰り返させるわけにもな!!」
八咫が行った惨劇という言葉に引っ掛かりを覚えた星峰だが、今はそれどころではないと気付かない振りをした。
「あの武装を持っているとなると奴らは最悪自爆覚悟でそれを使いかねない・・・
兵士部隊は後方からの支援砲撃に徹してください!!」
岬はそういうと兵士を後方に下がらせ、自身は人族部隊に向かっていく。
「私も前に出るわ」
星峰はそういうと腰かけている剣に手をかけて引き抜く。
「初戦にしては厳しい戦いになるかもしれないけど、貴方なら任せられるわ、でも無理はしないで」
「それはお互いでしょう」
入れ替わってからの実践は初めてという意味で互いに気にかけあう星峰と空弧、その様子は先日剣を交えたとは思えない、いや、剣を交えたからこそなのだろうか。
「俺は上から仕掛ける。遅れるなよ!!」
八咫はそういうと飛翔し、岬に続いていく。そしてそれを追って星峰と空弧も移動する。今、魔神族側になって初の戦場に星峰が降り立った。




