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知らぬは仏なのだろうか?

「引っかかるとは一体何が何です?」


シレットが尋ねるとコンスタリオは自身の感じる違和感を語り始める。


「まずブエルスの市街地に魔神族が潜入した事について。スターが発見したから追跡し交戦、そいつが例の妖術を使ったのはまず間違いないのだろうけど、だったら何故魔神族がいとも簡単に市街地に入ってきたのか、まずそこが引っ掛かるわ」

「そう言われれば・・・そうですね。ブエルスの周囲はお濠で囲まれてるからそう簡単に出入りは出来ないし魔神族がそんな所から侵入出来るとは思えない。となると考えられるのは・・・」

「ええ、それ以前から手引きをした奴が少なくとも市街地に潜入していた。その可能性が高いわね」


シレットとコンスタリオは違和感についてやり取りを繰り返す。そこに


「でもよ、そこまで手を込ませて潜入させた奴が妖術を目撃されるなんてヘマをやらかすか?」


とモイスも割って入る。


「あんたねえ・・・」


シレットが少し呆れ気味に言うがコンスタリオは


「いえ、今モイスが言った事が私の最大の疑問なの」


とモイスの発言を肯定する。


「最大の疑問?」


最大とまでは思っていなかったモイスは思わずその部分を繰り返す。それに対しコンスタリオは首を縦に振った後


「モイスの言った通り、そこまで手の込んだ事をしておきながら術の事はあっけなくばれている。でももし、これがばれたのではなくばらしたのだとしたら?」

「民間人がそれを目撃したという証言も嘘となり、当然どういった経緯でその情報がもたらされたのかと言う事になる。勿論魔神族からすればそれを漏らすメリットは一つもない訳だから・・・」

「そうね、それにその事を知られていなければスターのふりをして更なる侵入を働くことだって出来たのに。その道を敢えて断ったというのであればその目的は・・・」

「何れにしろ、魔神族に借りを返さなければいけない事だけは確かね。この一見は気にはなるけど、今は余計な動揺を与えたくはないわ」


モイス、シレット、コンスタリオの会話は予想以上に膨らむが、コンスタリオは二人に他言しない様に釘を刺す。それに無言で頷き、三人はそれぞれ割り当てられた部屋に戻っていく。彼等の会話はスターの身に起こっている事を知らないが故に語られたものである。果たして彼等と星峰が邂逅した時、何が起こるのだろうか?

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