共生の理由
「何故・・・あの村では人族と魔神族が共生しているんです?」
最も強く感じた疑問を一番初めに出すスター。当然であった、敵対している筈の、しかも自分もそれを肌で感じている種族が弾圧では無く対立でも無い共同体を組織していたのだから。
「その返答は簡単だけど、理解は難しいかもしれない。彼等は望んでそうしているのだから」
枕詞の通り、天之御の返答はスターには理解しがたい物であった。対立している種族が望んで共生している。そんな返答が直ぐに理解出来る筈もなかった。
「どういう・・・事なんです?魔神族と人族が共生を望むとは・・・」
「全ての魔神族が人族を滅亡させる事を目論んで居る訳じゃないって事さ。僕も、ここに居る皆もそうであるように。人族の側はどうなの?」
「戦争に勝たなければ未来は無い・・・そう教え込まれていました。だから共生を・・・」
ここまで言いかけてスターは急に言葉に詰まる。頭の中に嫌な予感がよぎったからだ。だがそれを上手く言葉に出来ない。
「やはり・・・彼が教えてくれた通りですね。人族側は戦争の実態を正確には把握していない」
「となると、此方よりも浸食が酷いと考えるべきか・・・」
スターのその反応を見て空弧と八咫が呟く。そして天之御は
「今の君の反応は人族として当然だと思う、でも戦争の実態は違う。話したと思うけど、この戦争を引き起こしている黒幕が居るって話、覚えてる?」
と問いかける。その問いかけに黙って頷くスター、少し前の衝撃的な話を忘れられる訳も無かった。
「その黒幕は魔神族、人族双方に巣食い、自分達の私腹を肥やす為に戦争を続けさせているんだ。そもそものきっかけすら遠い昔の戦争、利権に利用するにはぴったりなんだろうね」
続くその話にスターは又しても衝撃を受ける。自分達の戦いの意味を根底から否定されたからだ。それを認めたくないという思いと認めなければならないという思い、それが無い面で交錯し、スターの心は揺れる。
「じゃあ、あの村の住民はそれを・・・」
「知ってる。あの村の住民だけじゃなくて、魔神族の正規軍は大体この事実を把握してるよ。僕が広めたからね!!」
天之御の語気が一瞬だけ強まったが、スターは敢えて気付かないふりをした。その理由まで聞く余裕が今のスターにはないからだ。
「私腹を肥やす死の商人ブント・・・奴等こそ戦争を引き起こす集団です」
そこに岬がふと口を割って入って来る。だが今のスターにとっては誰が話したかよりも何を聞いたかの方が重要であった。
「・・・それは分かりました。では質問を変えます、一体何故、私は今まで使った事も無い様術が使えたのですか・・・?」
話を切り替え、新たな質問をするスター、その内心ではこの話をこれ以上聞くともう引き返せなくなる様な不安があった。そしてその不安は後に的中する事になる。




