振り出し?いや、前進?
「え・・・あ・・・」
魔神族の兵士に話しかけられ、返答に詰まるスター、そんな様子を見て魔神族の兵士は
「貴方が空弧様と入れ替わった人族であることは承知しています。ですがそれでもあの村を狙う集団を撃退してくれたのは紛れもない事実です。ですからお礼は当然でしょう」
と極めて冷静に対応する。
「ここに居たんだね、探したよ君」
次の瞬間に聞こえてきた聞き覚えのある声、それは紛れもなく天之御と空弧の声であった。その姿を見たスターだがその足は走るどころか歩くことすらしない。今自分がした事のショックが大きく、最早足を動かす気力もなかった。
「やれやれ・・・漸く追いついたと思ったら奴等の部隊を撃退していたなんて」
「ふざけないで下さい・・・貴方達がやらせたのでしょう」
自分がこんな事をするはずがない、空弧がかけた妖術によってそうするように仕向けられた、そう思ったスターは天之御と空弧に詰め寄る。だが空弧は
「・・・信じられないかもしれないけど・・・私はそうした妖術はかけていないわ」
と告げるが、スターは当然信じられるはずも、ましてや納得出来る筈もない。
「だからふざけないで下さい!!それに、今まで使ったこともない妖術の使い方がいきなり頭に浮かんで来たり・・・」
そう言いかけたスターだが直後に気を失いその場に倒れこんでしまう。
「ここまでずっと無我夢中で来て疲労していたんだね・・・君、この兵器を含む事後処理は任せるよ。引き続き奴等への警戒は怠らないで」
天之御が兵士にそう告げると兵士は静かに敬礼し、空弧と共にスターを担いで瞬間移動を行う。
次にスターが目を覚ました時、そこは牢屋・・・ではなく天之御の部屋に寝かされ、八咫や岬、空弧と共に見守る天之御の顔が目に入ってくる。
「ここは…結局振出ですか・・・」
強い失望感を込めて一言を出すスター、そんなスターに
「ねえ、何から聞きたい?君の質問に答えてあげるよ。そうしたら少しは混乱も落ち着くかもしれない」
と魔王らしからぬ優しい言葉をかける天之御。自分自身で考える事では限界を感じていたスターはその言葉に不意にありがたみを覚える。




