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信じられない光景 ありえない感謝

「今の女の子と母親は人族か・・・!?」


女の子の安らかな笑顔に刹那の癒しを得たスターだが直ぐにそれを打ち消す奇妙な点に気付く。


「今の女の子と母親・・・俺の事を魔神族のお姉ちゃんと言っていた・・・どういう事だ?今の俺は・・・」


そう、スターも一瞬忘れていたが、今のスターの体は魔神族である空弧だった。敵対している筈の魔神族に堂々と近付き謝礼と謝罪をする、そんな事が考えられる筈はなかった。

その事に気付いて周囲を見渡すと、その村には魔神族と人族が居た。だがその光景は雑談をする両族、物品の売買をする両族、普通に村を歩く両族と、少なくともどちらかがどちらかを支配しているとは程遠い光景であった。


「どうなっている・・・この村は・・・俺は幻を見ているのか・・・」


再び頭が混乱し始めるスター、そこに


「ねえ、そういえば聞いた?ブエルスの法皇が処刑されたって話」

「ええ、でもあそこも確か・・・これで又戦局は動くって話だよ」


こう話す魔神族と人族の井戸端会議が耳に入ってくる。だが今のスターにとってはその光景よりも内容が更に衝撃的であった。


「法皇が・・・処刑された・・・!?そうだ・・・こんな事をしている場合じゃない」


そう思ったスターは再び走り出す。一刻も早くブエルスに戻り、自らの目で真実を確かめずにはいられなかったからだ。だが村を出て間もなく少し離れた所に人族の集団を見つける。


「人族の集団・・・数と服装からすると正規軍の特殊部隊か。どうする、この姿で目の前に・・・だが」


接触するかどうかを思案するスター、だが人族の集団の中心部分には巨大な円柱が見られた。それを見たスターは


「あ、あれは!?」


と顔を引きつらせる。


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